「トヨタ クラウン」と言えば、日本を代表する名車のひとつですが、最近はその立ち位置が変化しつつあり、新型ではSUV化するという噂さえあるほどです。クラウンの魅力はどこにあり、そして新型はどのようになっていくのでしょうか?
初代の登場から67年、苦境に立つ現行クラウン
長らく国産高級車の代名詞とされてきたクラウンですが、初代の登場は1955年までさかのぼります。当時の日本は戦後の苦境を乗り越え、いままさに高度経済成長の花が咲こうとしている、そんな時代でした。富裕層が徐々に増えたことで、トヨタは国産初の高級車の開発に着手、1955年に初代クラウンが誕生しました。
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その後、クラウンは時代の変化に合わせたフルモデルチェンジが行われ、現在は15代目になっています。当然、初代クラウンと現行クラウンではデザインも機能も大きく変わっていますが、一部の例外や派生モデルを除いて“日本を代表する高級車”というコンセプトは変わらず、また、どの世代も“4ドアセダン”が基本となっています。その意味では、現行クラウンもたしかにクラウンの系譜を受け継いでいるのです。
そんなクラウンの最近の販売状況はかんばしくありません。月間販売台数目標は4500台ですが、2021年の月間販売台数の平均は1784台と、目標を大きく割り込んでしまいました。
不振の要因にはレクサス車やアルファードが台頭も
ただ、これはクラウンそのものに原因があるというよりも、社会のトレンドの変化が大きいとも考えられます。例えば、SUVやミニバンが台頭したことで、セダンというカテゴリー自体の人気が低迷してしまっています。また、かつてに比べて価格帯の近い輸入車が増えたほか、“身内”のレクサスが台頭してきたことも要因でしょう。
さらに、主要な顧客であった法人や官公庁のニーズの変化もクラウンにとっては向かい風となっています。これまではフォーマルな場ではセダンが適しているとされてきましたが、現在では、「アルファード」のような、室内空間が広く多人数乗車も可能な高級ミニバンへと需要が流れてしまったのです。
その結果、クラウンを購入しているのは、往年のクラウンファンやセダンファンなどが中心で、新規客はそれほど多くないというのが現状のようです。
走行性能は欧州セダン並み、燃費性能は抜群!
一方、マーケットがかつてに比べて大きく変化していることをうけて、クラウンも時代に合わせた進化を遂げています。
例えば、現行クラウンはトヨタの新しい自動車づくりの考え方である「TNGA」にもとづいて開発された新プラットフォームを採用し、さらに世界一過酷なサーキットと言われるドイツのニュルブルクリンクで徹底した走り込みを行いました。その結果、欧州プレミアムブランドのセダンに負けるとも劣らない走りの良さを手に入れています。一方で、日本国内専用車であるという現行クラウンの性格を活かして、全幅は日本の道路環境に適した1800mmに抑えられているため、利便性は十分です。
また、トヨタの強みである燃費性能や環境性能についても、ライバルを大きく引き離しています。現行クラウンには2Lターボエンジン、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドの3種類のパワートレインが用意されていますが、カタログ燃費(WLTCモード)は、それぞれ12.4km/L、20.0km/L、16.0km/Lとクラストップレベルです。
さらに、トヨタでは現行クラウンを「挑戦と革新を続ける初代コネクティッドカー」と位置づけているように、車載通信機DCMを全車に標準搭載しています。これにより、遠隔で走行アドバイスや車両診断が受けられる「eケアサービス」や「LINEマイカーアカウント」をはじめとしたコネクティッド機能が利用できるようになりました。
メインの顧客が60代以上では、せっかくの魅力も生かせない
現行クラウンの高い走行性能、優れた燃費性能、そして最先端のコネクティッド機能など、魅力的な性能・機能を持っていることは間違いありません。どちらかというと30~40代の人にこそ適していると言えそうですが、実際には現行クラウンの顧客の多くは60代以上となっています。
その背景には、クラウンが長い歴史の中で築き上げてきたイメージ、例えば「いつかはクラウン」という言葉に代表されるような「アガリのクルマ」というものが大きく影響しているのかもしれません。つまり、30~40代の人にとってクラウンは「自分には関係のないクルマ」となってしまっているのが、現行クラウン苦戦の根本的な要因と言えそうです。
メディアにはSUV化の噂まで!次期クラウンはどうなる?
現行クラウンが登場したのは2018年のため、順当にいけば2024年頃がフルモデルチェンジの時期となりそうですが、巷では2022年後半にも次期型が登場する可能性が噂されています。次期クラウンはSUV化するという話も聞こえてきますが、事実なのでしょうか?
業界関係者によれば、クラウンのSUV版である「クラウンクロス」の開発が進められているのは事実のようです。ただし、これは次期クラウンそのものというよりも、あくまでプラットフォームなどを共有する派生車という位置付けになると見られます。
逆に言えば、クラウンをSUV化するというよりも、新型の高級SUVに対して「クラウン」の名前を冠することで、現代的なSUVに強いブランド力を持たせるということなのかもしれません。
クラウンはクーペや
一方、メインとなるのは、やはり4ドアセダンのようです。ただし、現行クラウンよりもさらにスポーティな印象が強められたクーペスタイルになると言われています。
車種が多様化した昨今では、同じ高級車でも、室内空間が広く多人数乗車も可能なミニバンやSUVのほうが使い勝手が良いシーンは少なくありません。では、セダンの強みはどこにあるのかと言えば、それはミニバンやSUVよりも全高が低く空力性能に優れていることなどによる「走りの良さ」にほかなりません。つまり、クラウンもスポーティな4ドアセダンから、4ドアのスポーツカーという性格を強めていくものと考えられます。
もちろん、フルモデルチェンジのたびに、最新の装備を採用してきたことから、次期クラウンにもさらに強化された運転支援機能やコネクティッド機能が搭載されることは間違いないでしょう。
次期クラウンについて、現時点ではトヨタから公式な発表はありません。ただ、クラウンを取り巻く情勢の変化や、これまでクラウンが築き上げてきた価値を考えると、これらの予測が大きく外れることはないでしょう。
レポート:Peacock Blue K.K.
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みんなのコメント
高齢化が進む中で、だれがこの巨大市場(60歳以上の購入者)を掴もうとしているのだろう。トヨタ以外のメーカーはその市場を捨てている?
昔の、爺ちゃん・婆ちゃんに比べりゃ、今の60歳以上は元気ですよ。カタログ見ながら、良い車に乗りたい。でも選択肢が、日本車ではクラウンしかないんです。
それ以外はドイツ車に持っていかれている?価格も高いし、燃費も悪いのに。
アガリのクルマ。そこにクラウンの存在価値があって、何が悪いのでしょう。性能が高い車って、その性能を100%活かせないにしても、結局は乗りやすい車なんですよ。