ディーゼルでは欧州の厳しいCO2削減目標は達成できない
圧縮着火という特性から、素性として燃焼効率に優れたディーゼルエンジンは、CO2排出量の削減において有効なパワートレインと言われていた。しかし、NOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の排出という大気汚染につながるネガもあった。そうした部分で“ごまかし”を指摘されたのが、フォルクスワーゲン・グループを中心とした「ディーゼルゲート」と呼ばれた大事件だ。これにより『クリーンディーゼル』は、クリーンなイメージを棄損した。そのためフォルクスワーゲン・グループは電動化へ舵を切った、いや切らざるを得なくなったといえよう。
CO2削減のためにディーゼルが正義、という錦の御旗を掲げることができなくなった欧州では、都市部を中心に古いディーゼル車を排除する動きも生まれている。さらにガソリン車を含めてエンジン車を販売禁止にすべしという政策さえも出てきている。その背景には「ディーゼルゲート」によるイメージダウンだけがあるわけではない。パリ協定によって目標とされた自動車のCO2排出目標値は、内燃機関では到底クリアできないレベル。少なくともハイブリッドであることは必須であろうし、最終的には再生可能エネルギーによる発電を利用した電動車両しか生き残れないかもしれない、というくらい厳しい状況となっている。
少なくとも欧州では、そうしたディーゼルを否定するのがトレンドといえる。そうしたなか、日本市場ではマツダと三菱の2社が、クリーンディーゼル推しの姿勢を見せている。
マツダはフルモデルチェンジで名前を変えたMAZDA3において、従来のアクセラに用意していた2モーターハイブリッドをなくし、まずはガソリンとディーゼルを設定した。さらにガソリンを使うクリーンな圧縮着火エンジンといえる「SKYACTIV-X」が真打に控えている。将来的には電動化も考えているというマツダだが、現時点では内燃機関推しの姿勢だ。
ディーゼルエンジンにしても、MAZDA2(旧デミオ)には1.5リッター、MAZDA3(旧アクセラ)には1.8リッター、MAZDA6(旧アテンザ)には2.2リッターと、3種類を設定している。いずれも4気筒のエンジンということは、燃焼室の設計もそれぞれ別に行なっているというわけで、非常に手間のかかったディーゼルエンジンといった印象を受ける。
しかし急激な電動化シフトは難しい……
日本市場におけるクリーンディーゼルはマツダが孤軍奮闘しているという印象も強いが、どっこい三菱も力を入れていることは忘れられない。三菱といえばアウトランダーPHEVによって電動化においてもトップランナーといえる存在だが、デリカD:5やエクリプスクロスに2.2リッターのクリーンディーゼルを搭載している。
このディーゼルエンジンはNOx処理のために「尿素SCRシステム」を搭載しているのも特徴だ。もっともアドブルーと呼ばれる尿素水を使った後処理システム自体は、欧州ディーゼルでは珍しいものではないが、それでも国産の乗用ディーゼルとしては先を見越した環境対応技術を載せてきたという印象を受ける。つまり、三菱におけるクリーンディーゼルは一過性のものではなく、未来を託すパワートレインと考えることができる。
内燃機関だけでは欧州のCO2規制をクリアできないのは事実だろうが、だからといって急激な電動化シフトは、それが急な方向転換ゆえに強い反動も考えられる。電動化一本に絞るのはリスクが大きいという見方もできる。マツダにしても電動化を完全否定しているわけではなく、三菱に至っては電動化とクリーンディーゼルの両面展開といえる。両社とも現実的な解を求めたときに、現時点ではディーゼルをラインアップすることが価値を生むと判断したのだろう。
もっとも、クリーンディーゼルの開発には多大な予算が必要だったはずで、それだけの開発費を回収することを考えると、トレンドが電動化に向かったからといっておいそれとディーゼルを廃止にするというわけにはいかないことも影響しているかもしれないが……。
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