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「甘辛」の丁度いいバランス! メルセデスAMG CLE 53へ試乗 直6マイルドHVで449ps M4のライバル未満

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「甘辛」の丁度いいバランス! メルセデスAMG CLE 53へ試乗 直6マイルドHVで449ps M4のライバル未満

アグレッシブな見た目 直6ツインターボで449ps

メルセデスAMGのモデル名の末尾に付く数字は、概して性能を表している。通常は63が最もパワフルな仕様で、53はその1つ下の設定だと考えて良いだろう。

【画像】「甘辛」の丁度いいバランス! メルセデスAMG CLE 53 競合の上級クーペと比較 全149枚

今回試乗したメルセデスAMG CLEは、53の方。ワイドなスタンスで、見た目はカッコいい。四輪駆動だが、オプションでドリフト・モードも付けられる。最高出力は449psで、0-100km/h加速は4.2秒と、不満なく速い。

確かに、BMW M4の方がさらに速い。それでも、現実的にすべての能力を解き放つことは、英国や日本のような島国では難しいはず。英国価格は、7万3075ポンド(約1490万円)からだ。

AMG CLEには63も登場予定で、これにはV8エンジンが搭載されるとか。だが、プラグイン・ハイブリッドになるという噂もある。ドライバーズカーとして考えれば、直列6気筒ツインターボエンジンを搭載した53の方が、シンプルで望ましい可能性はある。

AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、メルセデス・ベンツはCクラスとEクラスのクーペを統合し、CLEを発売した。AMG版ではバンパーが専用デザインで、パナメリカーナ・グリルとスポイラーやディフューザーが、明確な差別化を生んでいる。

トレッドは通常のCLEより前で58mm、後ろが75mm広く、それに合わせてフェンダーも拡幅されている。ドアミラーも独自アイテムで、見た目はなかなかアグレッシブだ。

電圧48VのマイルドHV 車内は見慣れた雰囲気

M256M型と呼ばれる3.0L直列6気筒エンジンは、ドイツ・アファルターバッハでハンドメイドされる、本物のAMGユニットではない。とはいえ、ツインターボのブースト圧は1.5barまで上昇し、電動コンプレッサーも追加され、大幅に強化されている。

トルクコンバーター式の9速AT内には、23psを発揮する電気モーターを内蔵。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドとなる。また後輪操舵システムが標準装備で、AMGライドコントロールと呼ばれる、アダプティブダンパーも追加費用で組める。

7500ポンド(約153万円)のプロ・パフォーマンス・パッケージを選択すると、カーボンファイバー製トリムだけでなく、座面が低くなるバケットシートやダイナミック・エンジンマウントに加えて、先述のドリフトモードも実装される。

試乗車のインテリアはナイトエディションという仕様で、カーボンファイバー製トリムに、アルカンターラ巻きのステアリングホイールが組み合わされていた。プレミアム仕様の場合、レザーとウッドトリムで仕立てられ、上品な雰囲気になる。

標準アイテムのスポーツシートは、サイドサポートが頼もしく、座り心地は良好。だが、座面はやや高めだ。車内の雰囲気は、見慣れたメルセデスAMG通り。最近のモデルらしく、若干高級感に乏しい素材も一部に用いられている。

タッチモニターは大きく、実際に押せるハードボタンは最小限。ステアリングホイール上のコントローラーで、ドライブモードを変更でき便利だ。

重層的なサウンド クイックなステアリング

予習はこのくらいにしておこう。エンジンを始動させると、4本出しのマフラーから想像するより、最初のひと吠えは静か。アイドリングストップも積極的に作動する。

右足を倒せば、不満なくパワフル。重層的でスムーズな、直列6気筒サウンドが心地良い。ドライブモードを本気側へ切り替えると、変速時にババッとマフラーが鳴るが、エンジン音自体は大きく変化しないようだ。

9速ATの仕事は迅速だが、デュアルクラッチ・ユニットではない。ATモードのままで回転数を引っ張ると、レブリミットの手前でソフトリミッターが介入し、柔らかくシフトアップされる。

乗り心地は、通常のCLEより悪いということはない。低速域ではやや鋭い揺れが伝わり、ロードノイズも大きめながら、全般的にはM4より隔離性が高く快適。日常的にも乗りやすいと感じるはず。

ステアリングは、重めでクイック。ロックトゥロックは2回転もない。後輪操舵システムは、舵角が2.5度と控え目なものだが、機敏な回頭性に貢献している。可変レシオのステアリングラックと相まって、小気味いい。情報量豊か、というわけではないけれど。

フロントタイヤの幅は、265とワイド。ミシュラン・パイロットスポーツS5だから、グリップ力は間違いない。

連続するカーブを積極的に走る場合は、姿勢制御が引き締まるスポーツ・モードが好適。正確なステアリングへ呼応するように、身のこなしの流暢さが増す。基本的には、安定志向ではあるが。

M4のライバルではなくても丁度いいバランス

今回の試乗では、正確な燃費を確認できなかった。カタログでは10.4km/Lがうたわれているが、449psを引き出せば、遥かに届かないことはいうまでもない。

アグレッシブな見た目を持つクーペのCLE 53だが、M4の直接的なライバルとまではいえないだろう。しかし、英国価格はBMW M440iより若干高い程度でありながら、動力性能は遥かに高く、スタイリングも魅力的。訴求力は高いように思う。

通常のメルセデス・ベンツCLEには450があり、こちらにも直列6気筒エンジンが搭載されている。だが、そこまでスポーティではないし、スタイリングのインパクトも強くはない。適度に優しいAMG CLE 53は、丁度いいバランスにあるのかもしれない。

◯:力強く個性を感じる、滑らかな直列6気筒エンジン 好印象な内外のデザイン 日常と非日常をバランス良く両立させている
△:重めの車重 潜在能力を発揮させるには、プロ・パフォーマンスを選ぶ必要がある

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+(英国仕様)のスペック

英国価格:7万3075ポンド(約1490万円)
全長:4855mm
全幅:1935mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:10.4km/L
CO2排出量:217g/km
車両重量:1925kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:449ps/5800-6100rpm
最大トルク:56.9kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)

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