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フォルクスワーゲンの電気自動車、パイクスピークを制し最速タイムを更新!

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フォルクスワーゲンの電気自動車、パイクスピークを制し最速タイムを更新!

フォルクスワーゲンが電気自動車(EV)のI.D. Rでパイクスピークの記録更新を成し遂げた。それもEVクラスで最速だっただけでなく、エンジン車も含めたすべての記録を塗り替えるレコードタイムを叩き出したのだ。

パイクスピークは、ロッキー山脈に連なる山のひとつでコロラド州に位置する。その麓に近い標高2862mのスタート地点から4302mの頂上まで一気に走りきるのがパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム。第1回大会は1916年に開催されており、北米ではあのインディ500に次ぐ歴史を誇っている。

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パイクスピークの難しさは、まずそのコースにある。19.99kmのルートには大小156のコーナーが連なっており、平均勾配は7%にも達する。しかも、コースのほとんどにガードレールがなく、ひとたびコースアウトすれば数百m下の谷底に落ちても不思議ではない。ただし、死亡事故は意外にも少なく、100年を越す歴史のなかで命を落とした参加者は5名のみともいわれる。

この競技のもうひとつの難しさが一発勝負であること。レースウィーク中には4日間のプラクティス・セッション(うち1日は公式予選)が設けられているが、決勝レースはワンアタックのみ。したがってドライビングミスが許されないのはいうまでもないが、山の天候は変わりやすく、20km近いルートの大半が晴れていても一部で雨が降ったり、ひどいときには雪や霰が降ることも珍しくない。つまり、パイクスピークを制するには速さだけでなく運も必要なのだ。

なお、第1回大会以来、パイクスピークのコースは長らくダート路面だったが、1990年代半ばに環境団体が「車両の走行によるホコリで周辺の湖が汚染される」とコロラド州に訴え出たため、2001年から2012年までにかけてコースを順次舗装。現在は全線が舗装路となっている。

なお、これまでの記録はコースが舗装された直後の2013年にセバスチャン・ローブがプジョー208T16という専用車両でマークした8分13秒878。フォルクスワーゲンはEVクラスのこれまでの記録である8分57秒118(2016年、ドライバーはファイズ・ミレン)を打ち破ることを目標に据えていた。

レーシングカーのI.D. Rはルマン24日間などを戦うプロトタイプカーに近い成り立ちで、モノコックはフルカーボン製。フロントとリアにそれぞれ1基ずつモーターを搭載し、最高出力680psと最大トルク650Nmを絞り出す。ちなみに最高速度は240km/hだが、0-100km/h加速は2.25秒で、これはF1さえ凌ぐ速さだとフォルクスワーゲンは主張する。

ドライバーには2014、2016、2017年にパイクスピークを制したフランス人のロメイン・デュマを起用。これまでアウディとポルシェで2度、ルマン24時間の栄冠を勝ち取ったことがあるので、その名を聞いた読者も少なくないだろう。

I.D. Rのプロジェクトは昨年10月にスタート。ただし、エアロダイナミクスなどに比較的コンベンショナルな技術を投入することで短期間にマシンを仕上げた。レースウィークに入ってからも順調にプラクティスをこなしていったが、いずれもコースを3分割したうちの1カ所を走行するのみで、19.99kmを走りきった際のタイムは誰にも予想できないまま、決勝日を迎えた。

当日は爽やかな青空の下、午前8時にまずモーターサイクルの競技が始まる。この途中でアクシデントが発生したためにスケジュールが多少遅れたが、この間にパイクスピークの山頂付近は次第に雲に覆われ、フォルクスワーゲン関係者をやきもきさせた。

デュマは10時10分ごろスタート。途中140mph(約224km/h)オーバーのスピードをたびたび記録しながら駆け上っていたが、頂上近くの一部は雪が降っており、一度ならずコースアウトを喫しそうになったという。

それでも最後まで走りきると、7分57秒148をマーク。目標としていたEVクラスだけでなく、ローブの記録も上回る大成功を収めたのである。

大記録を打ち立てたデュマは「素晴らしい! もともとの高い目標をさらに上回る記録を樹立できました。今週末に入ってから史上最高記録をマークできる可能性があることには気づいていましたが、これはテクノロジーからドライバーに至るまで、チーム全体で勝ち取った勝利です」と語り、喜びを爆発させた。

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