もくじ
前編
ー M3は変わってしまったのか
ー 想定する購買層を変えたM3
ー 控えめなM3、逞しいRS4
ー 机上ではそっくりな両者
ー M3 「まるで物足りない」
80年代ヒーロー対決 M3スポーツ・エボ vs シエラRSコスワースvs 190E 2.5-16(1)
後編
ー M3 乗り心地は格段に向上
ー あれ、RS4は勝ってしまう?
ー エンジンだけの勝負ならM3の勝ち
ー エピローグ 戦いを終えて
M3は変わってしまったのか
「大切なのは『なにをやるか』ではなくて、『どんなふうに』やるか。結果は必ず後からついてくる」
──これはバナナラマが1982年に出した『It Ain’t What You Do (It’s the Way That You Do It)』の歌詞の一節である。音楽に明るい方はご存知の通り、元ネタはザ・ヴェルヴェレッツ。
冒頭から話が逸れたように思われたらご勘弁を。このフレーズは、そっくりそのまま新型BMW E90型M3に当てはまる言葉なのだ。
ただし、M3に関しては必ずしも芳しい結果というワケではなかった。先月号に掲載した初試乗記を読まれた方は先刻ご承知だろうけれど。
新型M3の初試乗で、われわれはその純然たるパフォーマンスに感嘆すると同時に、意外なほどカドのとれた平穏なキャラクターに驚かされた。簡単に言うと、BMWは420psのV8エンジンを搭載し1000万円超のプライスタグを掲げる新型M3を、大人向けの(そしてよりお金持ち向けの)クルマに仕立てた。
さらにBMWはそのプロセスにおいて、M3というモデルの核を成していた資質のいくつかを見捨て、その結果、新型M3では過去のモデルにあったある種のセックスアピールが埋もれてしまったように思える。
しかし本当にそうなのだろうか。
想定する購買層を変えたM3
見方を変えれば、BMWは想定される購買層に見事に照準を定めたクルマを作り上げたとは言えないだろうか。
確かに2007年の今、ホットロッドスターは時代遅れの感がある。もしかすると、われわれのほうが新型M3の真価を見誤っているのではないか。
この自らに対して抱いた疑念を晴らす方法はひとつ。AUTOCARの伝統に則って、ライバルモデルと競わせて客観的に乗り比べてみるしかない。
そうすればおのずと真実が浮き上がってくる。
ライバル?
もちろんわれわれは傑出したコンテンダーを用意した。それも因縁の相手だ。皆さんもうすうすお察しのとおり、アウディRS4である。
控えめなM3、逞しいRS4
今回、両車の成り立ちについて詳しく調べてみたが、実はこの2台、気味悪いほどに酷似していることがわかった。敢えて極論を言うと、新型M3はRS4の‘パクリ’である。
まずその価格。M3はRS4とほぼ同額。たった1万円安いだけだ。次にエンジン。M3は4ℓのV8を搭載し、その最高出力は420ps/8300rpm、最大トルクは40.8kgm/3900rpm。
これに対してRS4は4.2ℓV8で、最高出力はまったく同じ420psを7800rpmで発生する。最大トルクは43.8kgm/5500rpmと、こちらもかなり近い数値だ。
車重はM3の1655kgに対してRS4が1650kg。5kgしか違わない。0-100km/h加速は、BMWによれば4.8秒、最高速はリミッター制限により250km/h。一方のRS4は、アウディの公称によれば0-100km/hが4.8秒(M3とまったく同じ!)。最高速はもういわずもがなであろう。
机上ではそっくりな両者
どちらのクルマも6段マニュアル・ギアボックスとマルチリンク式のリアサスペンション、そして奇妙なまでに同じ63ℓの燃料タンクを備える。
全長はM3のほうが若干長く4615mm(RS4は4585mm)。しかし、全幅と全高は(欧州仕様の場合)1~3mmの差でしかない。
エンジンはどちらもフロントに縦置きだ。2台とも巨大なクロスドリルド・ベンチレーテッド・ディスクを4輪に装備し、フロントはRS4のほうがわずかに大きく(RS4がφ365mm、M3がφ360mm)、リアはM3のほうが少し大きい(RS4がφ324mm、M3がφ350mm)。
この2台で大きく異なるのは駆動方式とパフォーマンスの特性である。
RS4は4輪駆動で、4輪とも255/40ZR18のピレリPゼロを履く。
M3は後輪駆動で、タイヤは専用開発のミシュラン・パイロットスポーツ。標準サイズは前245/40、後265/40の18インチだが、オプションで19インチのセットを選ぶこともできる。
インチアップに伴うマイナス面が気になるが、BMWのシャシー部門のエンジニアによれば、19インチを装着してもM3のダイナミクス能力にネガは出ないという。先代M3と同じマーケット動向なら、欧州では大部分のユーザーが19インチを選ぶはずだ。
机上での比較ではことほどさように驚くほど似ているこの2台。しかし当然ながら実物を隣り合わせに並べた瞬間、両者の違いが一目瞭然となる。
M3 「まるで物足りない」
RS4は4ドアで、スタイリングは総じてボクシー。M3は(今のところ)2ドアで、パワーバルジや4本出しのエグゾーストの効果もあって見るからに好戦的だが、実際にはフェンダーが大きく張り出したRS4のほうが逞しく見える。
端的に言って、RS4は視覚的なアピールで明らかに勝っている。RS4はすっきりとコンパクトでエレガント。これはM3も同じだが、RSは上記に加えて力強い男らしさを兼ね備えている。
M3にはなぜかそれがまったく感じられないのだ。
BMWは新型M3をあまりマッチョな姿にはしたくなかったのだろう。だとすれば、RS4のほうが視覚的にアグレッシブだとしても、BMW的には問題ないということか。
早速ささやかな勝利を挙げたRS4だが、そのボディは見た目だけでなく実用的にも勝っている。ドアが2枚多いおかげで後部座席へのアプローチも楽だし、トランク容量も大きい(M3:400ℓ、RS4:460ℓ)。そして室内に入ると、M3はさらにRS4に差を付けられてしまう。
RS4のシートはサイドの張り出しが大きく、身体にぴったりとフィットしてくれる。乗り込むのには少々苦労するが、ひとたび腰を下ろせばまさに極楽。M3のシートが駄物と思えるほど(決してそうではないのだが)RS4のシートのホールド性は素晴らしい。
もちろんM3のインテリアがまったくお粗末というわけではない。クロームで縁取られたメーターとカーボンファイバー調のダッシュボード・トリムのおかげで、普通の335iの室内よりも多少スペシャルな感じにはなっている。
しかし、われわれ的にはまるで物足りない。
下側がフラットなステアリングホイールと、ドアとコンソールに本物のカーボンファイバー製トリムが付くRS4に比べると、M3は見た目も雰囲気もまったくスペシャルではない。RS4の入念な仕立てを知るだけに不満だけが募る。
走りでも2台の違いはすぐに明らかになった。
後編につづく。
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