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過激な性能こそ正義だった! 馬力競争が激化した頃のターボ車3選

掲載 更新 46
過激な性能こそ正義だった! 馬力競争が激化した頃のターボ車3選

■荒削りだったハイパワー車を振り返る

 もともと航空機や船舶用に開発されたターボチャージャーは、1970年代になるとレーシングカーに用いられるようになり、次第に市販車にも搭載されるようになりました。

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 国産車では1979年に発売された日産「セドリック/グロリア」に初めてターボエンジンが搭載され、そこから一気に他メーカーにも波及し、1980年代になると国産車の高性能化が加速しました。

 ターボエンジンは手軽に高出力化が可能だったことからスポーティなモデルでは定番となり、各メーカー間でパワー競争が勃発し、カタログ上の数字を競うようになります。

 まだ技術的には成熟していなかった頃のターボ車は、ブレーキや足まわりといったシャシ性能が追いついておらず、過激なモデルが急激に増えていきました。

 そこで、パワー競争が激化していた頃の荒削りな高性能ターボ車を、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「スカイライン2000ターボインタークーラーRS」

 1970年代に排出ガス規制が強化され「牙を抜かれた」といわれた日産5代目「スカイライン」でしたが、1980年に2リッター直列6気筒SOHCエンジンにターボチャージャーを装着した「スカイライン2000GTターボ」を発売。

 145馬力(グロス)を発揮し、2.4リッター自然吸気エンジンと同等のパワーを手に入れました。

 そして1981年に発売された6代目では2リッター直列4気筒4バルブDOHCで150馬力(グロス)を発揮するFJ20E型エンジンを搭載する「スカイライン2000RS」を発売。

「DOHCエンジン=高性能」というイメージを広め、さらに1983年にはFJ20E型エンジンにターボチャージャーを装着し190馬力(グロス)まで出力を高めたFJ20ET型エンジンを搭載する「スカイライン2000ターボRS」が登場しました。

 パワー競争という背景から高性能化は止まらず、1984年にはターボチャージャーによって圧縮された空気を冷却して、充填効率を高めるインタークーラーを装着し、最高出力205馬力(グロス)に高められた「スカイライン2000ターボインタークーラーRS」を発売。リッターあたり100馬力を超え、2リッターエンジンではトップクラスに君臨することになります。

 一方で、シャシ側の性能はそれほど向上しておらず、いわゆる「ドッカンターボ」という出力特性もあって、速く走らせるにはドライバーの技量が重要だったといいます。

●三菱「ギャラン VR-4」

 三菱は1969年にスポーティなセダン、初代「コルトギャラン」を発売。国内外のラリーで活躍するなど、高性能さをアピールしました。

 その後、ラリー参戦車両は初代「ランサー」、「ランサーEX」へと代わり、好成績を残しましたが、ラリーの世界では4WDではないと勝てなくなり、三菱はグループB車両の「スタリオン4WD」を開発。

 しかし、過剰な性能から事故が多発したため、グループB自体が消滅し、4WDはお蔵入りしてしまいます。

 その後、ラリーはより市販車に近いグループAで争われるようになり、世界ラリー選手権に参戦することを目的に、フルタイム4WD+ターボエンジンを搭載した「ギャラン VR-4」を発売。

 ギャラン VR-4の外観は控えめなエアロパーツが装着されるにとどまりつつも、エンジンは最高出力205馬力(ネット)という高出力を発揮する直列4気筒DOHCターボで、フルタイム4WDと相まって、加速性能はFR車を大きく凌駕するほどでした。

 さらにマイナーチェンジを繰り返すと段階的にパワーアップが図られ、1990年には2リッターエンジンながら240馬力に到達。

 ギャラン VR-4は当初の目的だった世界ラリー選手権での勝利も獲得し、次世代のラリーマシンである「ランサーエボリューション」シリーズ誕生の礎になりました。

■「打倒日産!」を旗頭に開発されたトヨタのGTカーとは

●トヨタ「スープラ3.0GT」

 1978年に発売されたトヨタ「セリカXX」(輸出名:スープラ)は、「セリカ」と主要なコンポーネンツを共有する上位車種としてデビューし、2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載することで北米市場を主戦場としたモデルでした。

 2代目セリカXXは直線基調のデザインをまとうボディに、「ソアラ」と同じ170馬力(グロス)を発揮する2.8リッター直列6気筒DOHCの5M-GEU型エンジンを搭載して、一気に高性能化を果たします。

 しかし、ライバルである日産3代目「フェアレディZ」は3リッターV型6気筒SOHCターボエンジンを搭載し、230馬力(グロス)を誇っていたことから、セリカXXは出力的に劣っていました。

 そこで、1986年にセリカXXから輸出名と同じ「スープラ」に車名変更を伴うフルモデルチェンジをおこない、最高出力230馬力(ネット)を発揮する3リッター直列6気筒DOHCターボの7M-GTEU型エンジンを搭載する「スープラ3.0GT」が登場。

 スタイリングは直6エンジンを格納するロングノーズかつクサビ型のウェッジシェイプの3ドアクーペで、高性能なGTカーというイメージを前面に押し出します。

 大排気量だったことから低速トルクも大きく、市街地でも快適な走行が可能で、オールマイティな高速ランナーとして、国内外で人気となりました。

 市販車をベースとしたグループAのツーリングカーレースにも参戦するなど、高性能さをアピールし、スープラは若いファンの憧れの存在へとなりました。

※ ※ ※

 ターボエンジンは現在二極化しているといえます。ひとつはダウンサイジングターボエンジンで、小排気量エンジンの燃費性能と、ターボエンジンのパワフルさ兼ね備えたエコなエンジンです。

 もうひとつは、ターボエンジンの真骨頂ともいえる過激な性能のエンジンで、たとえば日産「GT-R NISMO」は3.8リッターから600馬力を発揮し、メルセデスAMG「A45 S 4MATIC+」は2リッターで421馬力というパワーを絞り出しています。

 こうした超高性能エンジンでもかつてのような気難しさはなく、街なかでもストレスを感じないで走ることができることから、技術の進歩は目覚ましいものがあるといえるでしょう。

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みんなのコメント

46件
  • 馬力はドッカンターボで上がったが、日本にはMAX280馬力と言う縛りがあったのも事実。確かに、日本は山が多くアップダウンの道には馬力の有る方が好まれたが、同時に燃費の悪い車でもあった。実は車は馬力よりもトルクの太い車の方が良い。バブルと言う時期と重なった時代で、車としては面白みの有る車が多かったし、内装も充実していた。今の車には無い「遊び心と運転する楽しさ」も有ったし、今でも輝きを持っているように感じる。
  • K6Aターボのアルトワークスは速かった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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