近年自動車メーカーが力を入れているのが、複数車種の基幹部分となる要素を共通化させるプラットフォーム化の手法。設計や生産のコストを下げるためにもよい手段だが、しかしこれは大変なことだ。
プラットフォームは、ひとたび新規で起こせば10年間は使われ続けるという。逆に言えば、ひとたび“しょぼい”プラットフォームを世に出してしまえば、その後10年間はそこから新車を生み出し続けねばならなくなる、ということでもある。
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10年先を見越したものを作らなければならないし(さらっと書きましたがこれだって大変なことです)、また一方では、ライバルメーカーがよりよいプラットフォームを生み出してしまうかもしれない、その動向だって注視していなければならないだろう。
まさにメーカーの命運を分ける「背骨」なのだ。
今回は、3名の自動車評論家に、プラットフォームとそこから生み出される走りを軸に「優秀車(GOOD!)」と「残念車」とを選んでもらった。
「優秀車」はスバル、ボルボ、ホンダが分け合う格好になった。全車、ベストカーの試乗で高評価を得ているモデルだ。
そして、最新プラットフォームを採用すればもっと走りがよくなるのにもったいない! という「残念車」についてだが……、ご覧いただければわかるが、まさかの日産車3台が挙がるという結果に。
販売好調とは言え、今年はとうとう新車販売ゼロの日産。「日本を見捨てたのか!?」なんてキビしい声も聞こえてきますが、そんな声を吹き飛ばすくらいの大活躍、ベストカーは期待してますよ。
※本稿は2018年5月のものです
文:国沢光宏、鈴木直也、渡辺陽一郎、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年6月10日号
■国沢光宏がチョイス!
【GOOD!】 SUBARU XV
やはりSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)でしょう。とにかく車両の動きに奥ゆきがある。良質のサスペンションとブレーキを組み合わせたら、世界トップ級の乗り味持つクルマが作れることだろう。衝突安全性や、エンジン以外のパワーユニットにも対応できるのもスゴイ。
【残念!】 NISSAN ノート
このところ日産は日本をメインマーケットにしている車種のプラットフォームを変えていない。セレナもノートも、です。なかでも2002年にマーチでデビューしたBプラットフォームを使っているノートに乗るたびに、「さすがに古く感じるようになりました!」と思う。そろそろ新型にチェンジが必要ですね。
■鈴木直也がチョイス!
【GOOD!】 VOLVO XC40
プラットフォームだけの問題じゃないのは重々わかっているつもりだが、それでも最近乗ったクルマで鮮烈だったのはボルボXC40の走りのよさだ。腰高なSUV、しかも20インチの大径タイヤ、そんな条件のなかで、しなやかな乗り心地と軽快なハンドリングが両立しているのはおみごと!
【残念!】 NISSAN セレナ
e‐POWERが飛ぶように売れているし、乗っても“ベスト都市生活ミニバン”と評価できるんだけど、それだけに残念なのが従来型のCプラットフォームを使いまわしていること。当たりは柔らかいものの、ちょっと追い込むとグニャッとくる足回りや、路面からの振動を増幅しやすい2列目シートなど、改善すべきポイントが残されている。
■渡辺陽一郎がチョイス!
【GOOD!】 HONDA ステップワゴン
プラットフォームが最も優秀な車種はステップワゴンだ。現行型は5代目で、プラットフォームは2005年に発売された3代目から使っている。フラットフロア構造と低床設計を高次元で両立させ、車内が広く乗降性もいい。低重心だから安定性と乗り心地のバランスが優れ、熟成が進んでいる。
【残念!】 NISSAN リーフ
現行リーフは、プラットフォーム、フロントピラー(柱)、前席のドアパネルなどを先代型と共通化した。ホイールベースの数値も等しいが、車両重量は現行型のほうが70kg重い。乗り心地は適度に柔軟だが、峠道などではボディの揺り返しが大きい。操舵感も少し曖昧で、プラットフォームの古さを感じさせる。
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