2020年から全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権にシリーズ名称が変更されるのに伴い、41年にわたる歴史に幕を閉じることになった全日本F3選手権。最後のシリーズタイトルをかけて争われた2019シーズンはサッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark)と宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TEAM TOM’S)との一騎打ちだった。
シーズン途中に宮田が駆る36号車が2戦連続で車両規定違反により失格となったこともあり、最終ラウンドを待たずに8月下旬でチャンピオンが決定した2019年の全日本F3。特に参戦1年目だったフェネストラズの活躍ばかりが目立っていたが、シーズンを終えて見ると勝利数は宮田と同じ8勝とイーブンだった。
■ここで屈するわけにはいかない……宮田莉朋、“夢”をかけて全日本F3終盤戦へ
さらに各レースを振り返っても、シーズンの半分近い9レースでふたりが1位と2位を分け合うなど、まさに“一騎打ちのシーズン”だった。特に印象に残っているのがチャンピオン決定の舞台となったツインリンクもてぎラウンド。第1レースの第16戦ではフェネストラズが優勝するも、第17戦ではスタート直後に抜かれかけた宮田が気迫の走りでポジションを守って優勝を飾り、第3レースの第18戦にタイトル争いが持ち越された。
その第18戦は終始フェネストラズがリードしていたが、宮田も最後まで持っている力を振り絞り、0.5秒前後のギャップでプレッシャーをかけ続けた。結果的に順位変動のない淡々としたトップ争いになったが、コックピットで戦っていたふたりは全日本F3の王座をかけて限界ギリギリのところで0.001秒を削りあうバトルを展開した。
宮田「サッシャ選手がいなかったら、自分はこんなに成長できていなかった」
「サッシャ選手は世界レベルのドライバーという、ひとつの基準として見ていました。彼より速ければ、向こう(ヨーロッパや世界)でも戦えると思いますし、逆に彼に負けているようだと日本のフィールドでしか戦えないと思って今シーズンはやってきました」
そう語るのは宮田。シーズン終了後に話を訊いた際、フェネストラズと戦ったことで自身も格段に成長できたシーズンだったと話した。
「嫌な相手とかではなくて、彼に打ち勝つことができれば(世界の舞台で)戦うことができるんだなと思っていました」
「当然、彼よりも前でゴールすることが目標でしたし、彼よりも速く走れば日本だけではなくてヨーロッパで戦えると思っていました。レースでタイム差を付けられると、彼よりも全体的に速かったという証明になります」
「特に外国人ドライバーはスタートから1周目がすごく速いイメージがあります。僕がF3に参戦した初年度のアレックス・パロウ選手もそうでしたし、自分にとってはそこ(スタートから1周目)が一番苦手でした。だから今年はスタートから1周目をどうするかというのをかなり意識していましたし、そこで勝てれば自分は成長したということになります。今までの課題を克服するという意味でも戦っていました」
「そういった意味では、彼が来てくれたことによって昨年(2018年)よりも自分にとってはものすごくレベルアップできるシーズンだなと感じました」
フェネストラズ「ここまで限界まで戦えたのも、莉朋がいたおかげ」
一方、シーズンを通しては宮田に競り勝つことができたフェネストラズも、彼との一騎打ちのバトルはいつも極限の状態での走りを求められたという。
「今シーズンの全日本F3で、ここまで僕が一生懸命になって毎レース戦うことができたのも、間違いなく莉朋がいてくれたおかげだ」
「まずトムスというチームが全日本F3では長年トップの座にいて、参戦初年度となる僕たちにとっては彼らに打ち勝つことが大きなチャレンジだった。しかも莉朋は全日本F3を戦った経験をすでに持っていて、チームのことも日本のコースも全て知り尽くしている状態だった」
「彼が強力なライバルになるであろうことは、開幕前の段階から分かっていた。本当に1年を通して彼は速かったし、特に最終ラウンドの岡山は全く手が出なかった。それに対して僕もチャンピオンをかけて1年間全力で頑張ることができた」
自分が全力を出しても前をゆくライバルがいる。チャンピオンが決定した直後、宮田は表彰台の脇で悔し涙を流していた。しかし、フェネストラズもまた宮田に負けた時のレースは笑顔ひとつなく悔しい感情をあらわにしていた。
ライバルと戦い、その中から得られる経験。それは間違いなくふたりの今後の“財産になっていくことは間違いないだろう。
「ライバルって、一度できたら今後のレース人生においてずっとついてくると思います。それはレーシングカートの頃からずっとそうでした。自分にとっても(ライバルは)強くて速い存在ですし、負けられない相手にもなります。そこに対して苦に感じることはないですし、逆にライバルがいることに感謝をして、これからも戦っていきたいと思います」(宮田)
「莉朋とバトルした1年は間違いなく僕のレースキャリアの中でも貴重な経験になった。日本のレースはヨーロッパと比べるとクリーンにバトルをするけど、特にもてぎラウンドが印象に残った。レース中はお互いが限界までプッシュして、タイムを出し合っていたし、予選も本当にシビアだった。改めてこの1年は勝つのが難しかったとともに、やりがいのあったシーズンだった」(フェネストラズ)
2020年、宮田とフェネストラズのふたりがどのカテゴリーで戦うのかについてはまだ明らかにされてないが、ふたりが同じレースでバトルをする瞬間が、この先必ず出てくるだろう。その“再戦”をふたりとも楽しみにしている様子だったのが印象的だった。
「この1年……もし彼と戦わなければ、あまり成長することもなくチャンピオンを獲っていたかもしれないです。そういう意味で僕にとってはレースキャリアの中で一番成長できたシーズンだったと思うので、ある意味サッシャ選手には感謝しています」(宮田)
「来年はお互いどのカテゴリーに参戦するかはまだ分からない。だけど、もし同じレースに参戦することになれば、彼は全力で僕を倒しにくるだろう。僕もそれ以上のパワーで彼に打ち勝とうと思う。また莉朋とバトルできる日が来るのを楽しみにしている」(フェネストラズ)
モータースポーツ界には、それぞれのカテゴリーや時代で多くのファンが注目した“ライバル対決”がある。国内でいうなら、2年連続でスーパーフォーミュラの王座を争った山本尚貴とニック・キャシディの関係をひとつの例として挙げることができるだろう。
フェネストラズと宮田のライバル対決は今後どのように発展していくのか……2020年の彼らの活躍から、目が離せない。
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