メーカーの動きを先読みして製作されたFD1改シビックタイプR!
K20Aと6速MTを移植して仮想FD型タイプRを創出
「メカチューンか? ターボか? 異なるアプローチで覚醒した2台のアルテッツァ!」3Sエンジンの可能性を示すチューンド
時は2006年、FD2シビックタイプRが発売される1年前のことだ。
「ホンダが発売する前に、次期シビックタイプRを作ろう!」と立ち上がったホンダ車チューンの老舗“スプーン”。当時の現行型シビック(FD1)で唯一5速MTの設定がある1.8Gをベースに、K20Aと6速MTを丸ごとスワップする…というのがその内容だ。エンジンとミッションの換装作業に要した時間は約10日。スプーンの仮想FD型シビックタイプRはすぐに走り出した。
見た目でベース車と違うのは、ブラックメッキ化されたフロントグリルモールや18インチのレイズCE28N、その奥にチラッと覗くスプーン製4ポットキャリパーくらいなもの。少なくとも、その外見からはK20Aが搭載されてるとは想像できないほど、さりげなくまとめられてる。
その印象は意外なことに、ボンネットを開けても変わらない。K20Aと6速MTがあまりにも自然に収まっているからだ。
これは、スプーンのアンテナショップ“タイプワン”で行われたエンジン換装作業の様子。元々、搭載されていたのは1.8L直4SOHC+i-VTECのR18A型。それに代えてK20Aが載せられたのだ。
エンジン&ミッションマウントは現車合わせでワンオフ製作されたもの。スペースに決して余裕があるわけではないが、モノコック側の加工をほとんどすることなくK20Aと6速MTが収められている。
スロットルはR18Aが電子制御式なのに対して、K20Aはワイヤー式。エンジンはDC5用ECUで制御されるが、FD1純正ECUも各種信号を元に様々な制御を行うため、両者の間には変換ECUが介在する。
ステアリングホイールが交換されるくらいでインテリアはノーマルのまま。後に発売されたFD2のオールブラックインテリアに比べるとベージュでかなりイメージが異なる。よりシックで大人のスポーツカーという仕上がりだ。
「新車が出てからチューニングを始めるのではなく、メーカー的な動きをしていかないと今後の時代の流れにはついていけない。このシビックタイプRはそんなことを考えているスプーンからの提案なんです」と代表の市嶋さん。このクルマが製作された2006年から14年以上経った現在でも、スプーンがホンダ車チューニングの最前線を突き進んでいるのは、このような弛まぬ努力と探究心によるものなのかもしれない。
●取材協力:スプーン 東京都杉並区荻窪5-2-8 TEL : 0120-112-095
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