かつて日産のほとんどのモデルにラインアップされていたライダー。オーテックが製作していたのだが、今見てもそのオラオラっぷりはアルヴェルなんて目じゃないほど。これ本当に無くしてよかったのか!?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
エルグランドこそ元祖オラオラ!? かつてあったギラギラのライダー廃止は正しかったのか!?!?
■今やアルヴェルの陰に……でも元祖高級ミニバンだったエルグランドよ!!
革命児といっても過言でなかった。そう初代エルグランドはバンベースのモデルではなく乗用車出身のモデルで、豪華な内装と走りの良さがウリだったのだ
フラッグシップミニバンと言えば、先日発売されたトヨタ 新型アルファード/ヴェルファイアの1強時代が長らく続いているが、その先陣を切ったのは1997年に登場した日産エルグランドであることは間違いないところ。
それまで3列シートを備えたミニバンといえば、ハイエースやキャラバンなど商用ワンボックスから派生したモデルが中心であった。
それをどんなに豪華に仕立てたとしても根底に流れる商用車ベースという事実を消し去ることは難しかった。
しかし、初代エルグランドは正式な車名こそキャラバンエルグランド/ホーミーエルグランドとなっていたものの、商用モデルを持たない完全な乗用車としての設計!!
大型のフロントグリルを持った堂々としたスタイルに3.3LのV6エンジン(のちに3.5Lへ拡大)という余裕の動力性能など、それまでの3列シートミニバンとは明らかに異なる個性で大人気となったのだ。
■足回りも専用!! ライダー投入で不動の人気に
ギラッギラのド派手仕様だったライダー。内装も真っ白な本革シートなど超オラオラだったのだ
そんなエルグランドの人気を確固たるものとしたのが、遅れて追加設定されたスポーティグレードの「ハイウェイスター」。そしてオーテックジャパン(当時)が手掛けたカスタマイズ仕様の「ライダー」の2グレード。
この初代エルグランドに設定された「ライダー」は、当時流行していたビレットグリルをフロントに備え、ローダウンを施したスタイルが印象的な1台であった。
ホイールやドアミラーにはアクセントとしてメッキを配する一方で、室内にはホワイトのシート表皮を採用するなど、通常のモデルとは一線を画すカスタマイズモデルに仕上がっていたのだ。
このライダーは、2代目エルグランドにも継続して設定されるが、時代の流れによってビレットグリルが廃れてきたこともあり、新たなライダーのアイデンティティとして太めの横方向のメッキグリルを採用。
効果的なメッキ加飾やローダウンされた足回りなどは初代を踏襲するが、全く異なる新世代のライダーに進化していた。
■300馬力エルグランド!? エンジンにも手を入れたガチ仕様も
そして2007年には2代目エルグランドライダーをベースに、走行性能にまで磨きをかけた「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」を投入。
このモデルは、ライダーが持つ魅力的な内外装はそのままに、専用チューニングが施された足回りや、開口部の大きなミニバンの弱点を補うボディ補強やYAMAHA社製のパフォーマンスダンパーなどを組み込んでハンドリング性能を高めたもの。
さらにハイパフォーマンススペックでは、ポート研磨、イリジウムプラグ、専用ECU、低排圧マフラーといったエンジンチューニングを実施。
そに加え、ファイナルギアやATの変速スケジュールにまで手を加えることでワンランク上の走行性能を実現したものとなっていたのである。
このハイパフォーマンススペックは2011年に3代目エルグランドをベースとしたライダーにも投入。
こちらでは2代目と同じく専用の足回りやボディ補強のほか、エンジンチューニングによって+20PSの300PSを発生するエンジンや19インチホイールが装着されており、先代よりもさらに走行性能に磨きをかけたモデルに仕上がっていたのだ。
■走りはノーマルと一緒に……ライダーからオーテックにチェンジ
現在はオーテックのみとなっているが、ニスモパッケージがアフターで設定されているのは嬉しいポイント!!
そんな唯一無二の特徴を持っていたライダーであったが、2020年10月に実施されたマイナーチェンジのタイミングで、新たに設定された「AUTECH」とバトンタッチする形で終売となる。
新たに登場したAUTECHは、プレミアムスポーティを標榜するモデルで、内外装の質感などはかなりのレベルとなっていることは間違いない。
だが、ライダーハイパフォーマンススペック時代に存在した走りにまつわるチューニングが一切なされていないという大きな違いが存在している。
もともとエルグランドはフラッグシップミニバンとして高い資質を備えていたことはもちろんだが、その走りの素性のよさも人気のひとつとなっていたことは間違いない。
だからこそオーテックもハイパフォーマンススペックを2代に渡って設定してきたハズだ。
それだけに過去の他車種のAUTECHモデルに設定されていた「SPORTS SPEC」のような、走りにまつわる部分にも手が加えられたグレードが欲しいところ。
奇しくも先陣フルモデルチェンジを果たしたヴェルファイアには2.4Lターボエンジンを搭載し、専用のボディ補強が施された仕様が追加されており、遅きに失した感もあるが、果たして……。
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みんなのコメント
トヨタのアルベル→学生時代は大人しい地味な子だったけど、就職してからヤンキー化したおじさん。
アルヴェルのエアロのTRDやモデリスタより、ライダーのほうが控え目でまとまり感があるので、自分は気に入って乗っている。