■Honda R&D Americas(以下HRA)が開発した「究極のオフロード車」
米国市場で35年以上の歴史を持つホンダは、世界最大級のカスタムショー、通称SEMAショーに自動車メーカーとしてほぼ毎年出展しており、近年はすっかりSEMAの常連となっています。今年のホンダブースも例年通り、身動きも取れないほど多くの来場者で賑わっていましたが、幅広い展示スペースの中で最も注目を集めていたのはSEMA2018で世界初公開となった「Rugged Open Air Vehicle(ラギッド・オープン・エア・ヴィークル)」です。ホンダ4輪車とヘビーなオフロード車とは少しイメージし辛いですが、いったいどのような車なのでしょうか。
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■SEMAショーの会場では市販化を望む声も多数
この車は、すでに北米で生産・販売されているホンダ「リッジライン」(SUVトラック)をベースに、ホンダ「パイオニア1000」(北米専用のオフロードバギー)を合体させたようなスタイルが印象的です。
ちなみに、リッジラインはアキュラ「MDX」、北米仕様のホンダ「オデッセイ」「パイロット」とプラットフォームを共用するSUVトラックで、日本での販売は過去ありません。これまで、ホンダ車といえば日本でも北米でもスポーティかつ洗練された知的なイメージの車が多かったので、このようなごっついスタイルの究極のオフロードヴィークルとはかなり意外な印象でした。取材した日は開催3日目でしたが、ホンダの展示ブースには写真撮影の順番を待つ人であふれかえっていました。
大注目となったホンダ「ラギッド・オープン・エア・ヴィークル」、SEMA会場での反応を米国ホンダに聞いてみました。
「予想はある程度していましたが、予想以上でビックリです。『この車、早く販売しないの?』という声がとても多くて驚いています。あくまでもコンセプトモデルですから、今すぐに販売ということはないと思いますが、SUVの本場ともいえるアメリカで興味を持ってもらえることは嬉しいですね。
北米ではSUVなどのライトトラック市場は近年急拡大しており、また、パイオニア1000が属する「サイドバイサイドヴィークル」の市場も日本に入っているポラリスを始め、競合が大変多いです。その市場に向けて今回、『ホンダもオフロード車の世界でこんなことができますよ!』という提案です。
パーツもこれまでのホンダ車に使われたものを多く採用していますが、いずれもヘビーデューティな仕様にカスタマイズされています。例えばリッジラインのボディとサスペンションはさらに強化されており、特徴ある赤いバケットシートは、シビックタイプRから移植しました。
もちろんそのまま移植したわけではなく、苛酷な気象条件、走行環境でもいかんなくその能力を発揮できるよう、パイオニア1000で採用されている防水シートの素材で作られているのがポイントです」(アメリカホンダモータース 山田遼氏)
■気になるエンジンは3.5リッターV6を搭載
搭載されるパワートレインは3.5リッターV6エンジンで、4WDシステムはi-VTM4を搭載しています。2インチのリフトアップが施されており、タイヤサイズは33インチ。究極のオフロード車を目指しただけあって苛酷な使用状況を考慮して開発された部分も多々あります。
ドアはパイオニア1000同様のものを採用していますが、ベッドとテールゲートパネルは新たにカスタム設計されています。また、RAMマウントから生えているスマートフォンホルダーも耐久性、強度とも抜群といいます。
SEMA2018のホンダブースには今年も世界で定評ある発電機から、各種の2輪車、コンパクトカーやセダン、最新のハイブリッド車にGT3 参戦車両やラリー優勝車でじつに幅広い展示となっていました。
またブース全体のコンセプトは昨年同様、床はコンクリのままでカーペットなどを敷かず、車両の周囲に斜めにひかれた短い赤いラインだけ。これはサーキットにおけるピットをイメージしているそうです。ブースの外周部をSUVなどライフスタイル系の車を展示し、中心部に向かって行くにつれレーシー度が高まるという展示形態となっており、中央部はGT3のNSXが鎮座していました。
床がコンクリむき出しなのはそんな意味があったのかと、毎年SEMA取材をしている筆者(加藤久美子)も初めて知りました。
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