2ペダルATが主流の昨今。それでもクルマ好きとしてはやっぱり3ペダルMTを推したい。 「ちょっと気になる」あのクルマの3ペダルMTインプレ5選。
※本稿は2022年9月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年10月26日号
今が最後の花道?? それでもトヨタ ホンダ マツダ 各社しのぎを削る3ペダルMTモデル インプレ5選
■トヨタ カローラシリーズ
カローラシリーズには1.2Lターボエンジンモデルに6MTが用意されている。セダンとツーリングでは、1.2Lターボは6MTのみの設定で、スポーツには設定されるCVTの設定がないのもポイント。
あえて3ペダルMTのみとすることで、存在感を際立たせているのだ。
カローラシリーズの6MTには、シフトダウン時にエンジン回転を合わせるiMTがあり、ヒール&トゥを駆使せずともMTドライブが楽しめる。
願わくば、エンジンがもうちょい切れ味シャープだとMTがより楽しいのだが……。
●トヨタ カローラスポーツ(G)主要諸元
・価格:234万円
・トランスミッション:6MT
・WLTCモード燃費:15.8km/L
・全長:4375mm
・全幅:1790mm
・全高:1460mm
・ホイールベース:2640mm
・車両重量:1300kg
・エンジン:直4DOHCターボ、1196cc
・最高出力:116ps/5200-5600rpm
・最大トルク:18.9kgm/1500-4000rpm
トヨタ カローラシリーズ
■ホンダ N-ONE RS
もうこれは、完全に趣味性を追求した6MT仕様の設定だ。
ちなみに、CVT仕様のWLTCモード燃費は21.8km/Lで6MTは21.6km/L。最近はCVTのほうがモード燃費が優れるケースも多いが、MTもがんばっている。
インパネサイドからニョキと生えるシフトノブをカチャカチャ動かすと、思いのほかショートストロークで小気味よく、カチカチとシフトが決まって操作が楽しくなる。
エンジンは回してナンボって特性じゃないから、MTでなきゃってものでもないけれど、運転の楽しさを味わえるのよ!
●ホンダ N-ONE(RS)主要諸元
・価格:199万9800円
・トランスミッション:6MT
・WLTCモード燃費:21.6km/L
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1545mm
・ホイールベース:2520mm
・車両重量:840kg
・エンジン:直3DOHCターボ、658cc
・最高出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.6kgm/2600rpm
ホンダ N-ONE RS
■マツダ CX-30
コンパクトSUVのCX-30をあえて3ペダルMTで乗るというのは、かなりコアなMT派でないと、なかなか理解ができないかもしれない。
しかし、マツダの2ペダルATは6速で、現代主流となった8速、あるいはCVTと比べるとドライバビリティ面でやや劣ることは否めない。ここはあえて6MTで軽快に走らせるというのも悪くない。実際、マツダの6MTはシフトのタッチが上質で操作自体が心地よい。
WLTCモード燃費は6ATの17.4km/Lに対し6MTは18.5km/Lと4%程度向上。
●マツダ CX-30(X Lパッケージ FF)主要諸元
・価格:367万9480円
・トランスミッション:6MT
・WLTCモード燃費:18.5km/L
・全長:4395mm
・全幅:1795mm
・全高:1540mm
・ホイールベース:2655mm
・車両重量:1470kg
・エンジン:直4DOHC、1997cc
・最高出力:190ps/6000rpm
・最大トルク:24.5kgm/4500rpm
マツダ CX-30
■ホンダ シビック
シビックにはCVTと6MTの設定があり、価格は同じ。WLTCモード燃費も16.3km/Lで両モデル同じというのも面白い。
1.5Lターボエンジンのシフトダウン時の回転落ちのレスポンスが少々鈍く、シフトアップ時もスパスパとした切れ味がイマイチ欠けるため、MTの魅力を引き出し切れていないのは残念なのだが、MT自体のシフトフィールは剛性感があり、タッチもカッチリしていて心地いい。
MTを操る楽しさを味わわせてくれる。ちなみに6MTはCVTに対して30kg車重が軽い。
●ホンダ シビック(EX)主要諸元
・価格:353万9800円
・トランスミッション:6MT
・WLTCモード燃費:16.3km/L
・全長:4550mm
・全幅:1800mm
・全高:1415mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量:1340kg
・エンジン:直4DOHCターボ、1496cc
・最高出力:182ps/6000rpm
・最大トルク:24.5kgm/1700-4500rpm
ホンダ シビック
■マツダ マツダ3ファストバック
積極的に3ペダルMTモデルを国内向けにも設定するマツダ。ファストバックでスポーティな走りを味わえるマツダ3にも6MTの設定がある。
CX-30同様、2ペダルATはやや古さを感じさせる6速のため、同じ6速の3ペダルMTのメリットが生きてくる。カチカチ決まる、剛性感の高いシフトフィールも心地よく、ドライブが楽しい。
特に、SKYACTIV-Xエンジンを搭載するモデルだと、燃費の差も気になる。6ATの17.4km/Lに対し6MTは18.5km/Lと約4%向上する。
●マツダ マツダ3ファストバック(X Lパッケージ FF)主要諸元
・価格:358万3780円
・トランスミッション:6MT
・WLTCモード燃費:18.5km/L
・全長:4460mm
・全幅:1795mm
・全高:1440mm
・ホイールベース:2725mm
・車両重量:1430kg
・エンジン:直4DOHC、1997cc
・最高出力:190ps/6000rpm
・最大トルク:24.5kgm/4500rpm
マツダ マツダ3ファストバック
■3ペダルMTは進化しているのか?
基本的なメカニズムは完成されつくした感のあるマニュアルトランスミッション。
20年ほど前であれば5速が一般的だったものが、今では6速がMTの主流で、ポルシェの7速MTもあるが、他メーカーには広がってはいない。
基本的なメカニズムとしては完成の域に達した感のあるマニュアルトランスミッション。多段化もポルシェの一部を除けば6速が一般的だ
やはり、現実的な操作性などを考えれば、フロアシフトのマニュアルトランスミッションは6速がちょうどいいバランスだろう。
技術的な進化という点では、見た目にはわかりにくいが、シンクロメッシュ機構の強化によるシフトフィールの向上や、トランスミッションケース自体の剛性アップ、取り付け剛性の向上などによって、格段にスムーズで滑らかなシフトフィールが得られるようになっている。これもまた、地味ながら進化である。
わかりやすい進化といえば、電制でエンジン回転を合わせてくれるメカだろう。日産がZ34型フェアレディZで初めて採用した「シンクロレブコントロール」が代表的だが、トヨタがカローラに採用するiMTは発進時のクラッチミートでのエンジン制御もやってくれるため、発進ミスのエンストを効果的にフォローしてくれる。
シフトダウン時のエンジン回転合わせを電子制御でやってくれるのは、エンジンスロットルがバイワイヤーになったことの恩恵。MTの進化としては画期的だ
ま、MTを扱いなれたベテランにはむしろ邪魔に感じることもあろうが、MTドライバーの間口を広げるためにはありがたい進化だ。
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