■商品改良で「CX-5」「CX-8」に新たに搭載された新機能
マツダのクロスオーバーSUV、「CXシリーズ」(CX-3/CX-30/CX-5/CX-8)が好調です。
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2019年度半期(2019年4月から9月)の自販連データを見てみると、31位に1万4451台を販売した「CX-5」が入り、37位に9331台を販売した「CX-8」がランクインしています。
また、2019年10月24日に発売されたニューモデル「CX-30」は、2カ月間の受注台数が1万2346台となったことが発表されました。
都会的な雰囲気をまとうCXシリーズですが、そのすべてにAWD(4輪駆動)モデルを用意しています。
今回、そんなCXシリーズのオフロード性能を体験する試乗会が、山梨県にある富士ヶ嶺オフロードコースでおこなわれました。
まずはじめに乗ったのは、2019年10月23日に商品改良がおこなわれたCX-8。グレードは、SKYACTIV-D 2.2を搭載した「XD Lパッケージ」のAWDモデルです。
商品改良のおもな内容としては、i-ACTIV AWD車に装備された新機能「オフロード・トラクション・アシスト」が挙げられます。
これは、悪路からの脱出が困難な状態でも、オフロード・トラクション・アシストのボタンを押し作動させることで、AWDとTCS(トラクションコントロール)が協調してタイヤの空転を抑え、接地しているタイヤへ適切に駆動力を分配し、トラクション性能を最大限に引き出す機能です。
まずはすり鉢状のコースに挑みます。
CX-8の最低地上高は200mmと十分なので、およそ30度ある下り勾配でも安心してアプローチできます。同様に約30度の上り勾配でも、力強くクルマを前に進ませます。勾配の途中でわざと停止してから挑んでも、ヒルローンチアシストと協調して後退することなく、難なくクルマは上がっていきました。
続いてモーグルコースを試乗します。
コブのある場所で、対角線上のタイヤが浮く状態のモーグル走行では、そのまま走行しようと思ってもタイヤが空転し、前に進むことができません。
そこでハンドルの右手奥側にあるオフロード・トラクション・アシストのボタンを押して再度チャレンジすると、今度は「ゴリッ、ゴリッ」とタイヤが路面を捉え、クルマはゆっくりと前へと進んでいきます。
タイヤスリップを止める高いブレーキ圧と、タイヤスリップする前からAWDトルクが増すことで駆動力を最大化しているそうです。
続いて、CX-5に乗り換えてヒルクライムコースに挑みます。SKYACTIV-D 2.2を搭載した「XD PROACTIVE」グレードのAWDモデルです。
CX-5も2019年12月12日に商品改良をおこないました。CX-8同様にオフロード・トラクション・アシストを採用し、悪路走破性を向上させています。
「いちばんキツい場所は、斜度が32度くらいある登坂路です」というとおり、相当な難易度に思えるコースですが、それでもCX-5は苦もなく上っていきます。それも平坦な場所で勢いをつけて上がるのではなく、坂の途中でもしっかり駆動を路面に伝えているのがわかります。
助手席に乗って説明してくれたマツダの技術者によると、今回のCX-8、およびCX-5の商品改良は「ハードウェアの変更はなく、あくまでAWDとトラクションコントロールの協調制御によるものです」とのこと。レスポンスの良いマツダのAWDシステム「i-ACTIV AWD」の素性の良さが光ります。
■マツダのAWDには長い歴史がある
最後に、2019年10月に登場したばかりのニューモデルである「CX-30」に試乗します。SKYACTIV-D 1.8を搭載した「XD PROACTIVE ツーリングセレクション」グレードのAWDモデルです。
それこそ「都会派SUV」と呼ぶにふさわしいスタイリングを持つCX-30ですが、じつは最低地上高175mmを確保し、悪路走破性も考えているとマツダ関係者はいいます。
その言葉どおり、林道のオフロードコースをしっかりと走ることができました。2019年10月登場の新モデルだけに、オフロード・トラクション・アシストも標準装備され、ボタンを押せば何の工夫もいらず、ふつうにオフロード走行が可能です。
今回、CX-5、CX-8そしてCX-30と3台のモデルに試乗しましたが、3台ともに標準装着のサマータイヤで、それも指定の空気圧で、相当な難易度のあるオフロードコースを走破できたのは驚きでした。
また、3台ともにしっかりとしたドライビングポジションを取れることにも感動しました。それぞれ単体で乗ったことはありましたが、3台の異なるCXシリーズを連続して乗る機会は今回がはじめてでした。
きちんとした運転姿勢でドライビングできるため、悪路で揺さぶられてもしっかりハンドルやペダルを操作でき、あくまでも人間中心の「マツダのクルマづくり」思想を垣間見た気がしました。
「CXシリーズのメイン市場である北米には、身近な国立公園などにオフロードコースがあり、休日はそのなかにあるキャンプ場でキャンプをする人が多いのですが、オフロードが広がる国立公園では、2WD車でも走れるダートロード、4WD車が走れる道路のほかに『シリアス4WDドライブルート』といわれる道が存在します。ユーザーが望んでいるのは、そんな道路でもスタックせずに走破できる性能なのです」と、マツダの技術者は語ります。
「CX-8とCX-5に関しては、今回オンロードの走行性を維持したまま、オフロードの走破性をアップしました。今回は開発にあたり、ヤマハ発動機さんの四輪バギー開発チームとの技術交流をおこなったのも初めての試みです」(マツダ技術者)
※ ※ ※
トヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」など本格クロスカントリー車を除けば、4WDといえばスバルの「シンメトリカルAWD」であったり、アウディの「クワトロ」は有名ですが、一般的にそのほかの都会派SUVの4WDが注目されることはほとんどありません。
正直いって、今回CX-5、CX-8、そしてCX-30のハンドルを握るまではその実力を疑っていましたが、マツダのi-ACTIV AWDのオフロード走破性の高さをあらためて実感しました。
「マツダの4WDの歴史は、1984年の3代目ボンゴからはじまります。
そして1985年に、国産車初となる乗用フルタイム4WD『ファミリア4WD』を発売しています。このモデルは『マツダ323 4WD』として世界ラリー選手権でも活躍しました。
その後も2005年に発売した『マツダスピードアテンザ』、そして現在につながる2012年の初代『CX-5』などの開発を通して、電子制御式多板クラッチユニットに高度な制御アルゴリズムを組み合わせるAWDシステムに進化しています」と、マツダ車両開発推進部の福嶋憲吾さんは語ります。
「今回乗っていただいたCX-5やCX-8には、ステアリング操作に応じて後輪トルクをリニアに増加させ、旋回時の安定性を確保するAWDの操縦安定制御が採用されています。
またCX-30には、操舵に合わせてエンジントルクを制御し、荷重状態を最適化してクルマを曲がりやすくするGVCとAWDの協調システムによって、曲がりやすさと安定性を両立しています。
マツダのAWDは、街中でも高速道路でも、ワインディングでも気持ちいい走りを実現しています。それに加えて、今回味わっていただいたように、アウトドアシーンでも力強い走りを楽しめます」と福嶋さんは語りました。
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リアドアとボディのクリアランス幅ズレなきゃいいけど。