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100台以上の「跳ね馬」を所有した父 フェラーリ250 GT ルッソ 娘が継いだプロトタイプ(1)

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100台以上の「跳ね馬」を所有した父 フェラーリ250 GT ルッソ 娘が継いだプロトタイプ(1)

スティーブ・マックイーンも大切にしたクーペ

たおやかな曲線美をまとう、フェラーリ250 GT ルッソ。ここまで優雅なクルマは、決して多くない。イタリア・トリノのピニンファリーナ社がデザインを手掛け、モデナのカロッツェリア、スカリエッティ社が製造したボディには、純粋さが漂う。

【画像】娘が継いだプロトタイプ 250 GT ルッソ 同時期のフェラーリ 365 GTB/4「デイトナ」も 全147枚

同時期には、もっとパワフルで、もっとアグレッシブなフェラーリも存在した。生産数は、アストン マーティンDB4やDB5より遥かに少ない351台。活発な走りをイメージさせるが、同時にラグジュアリーさに満ちている。

銀幕の大スター、スティーブ・マックイーン氏も、妻がプレゼントしてくれた250 GT ルッソを大切にしていた。熱狂的なフェラーリ・マニア、スティーブン・ピルキントン氏を父に持つスージー・ピルキントン氏も、深く理解し、家族のように扱っている。

彼女の曽祖父に当たるリチャード・ピルキントン氏は、グレートブリテン島中西部、ボルトンの町で自動車の整備工場を創業。1920年代にはモーリスのディーラーとなり、ビジネスを発展させた。

リチャードの息子が経営を継いでからも、ディーラーは好調だった。ラリーやスプリントレースなどにも、積極的に挑んだという。

その後、父のスティーブンへバトンタッチ。現在は既に事業から引退したが、今でも英国ではフェラーリの第一人者として知られる人物だ。魅力的な跳ね馬を、これまで何台も所有してきた。

100台以上のフェラーリを所有していた父

「父は初め、エレクトロニクスの技術者でした。クルマが大好きで、定期的に売買することはあったようですね」

「ところが、わたしの弟が生まれる頃に、他人のために働くことは自分に向いていないと考えたそうです。それから、本格的にクルマの取り引きが始まりました」。スージーが振り返る。

「母は、出産へ不安と期待を膨らませている時期でした。父はキャリアを積んでいたので、歓迎される決断ではなかったですね。1971年のことでした」

スティーブンは、ベントレーやロールス・ロイスなど、高級車を中心に取り扱った。中でも、フェラーリには特別な思い入れがあったらしい。

「以前から父は、フェラーリの技術が好きだと話していました。形や音も。お金儲けのために、仕事をしていた感じではなかったです」

不意に世界を襲ったCOVID-19によるロックダウンの中、スージーは古い領収書や請求書、写真などの整理を始めた。そこで、スティーブンが100台以上のフェラーリを所有していた過去を知ったという。

基本的には転売前の一時的なものだったが、中には自分のクルマとして長期間乗られていた個体もあった。最初のフェラーリは、1970年に購入した右ハンドルの250 GTEだったそうだ。

「ブルーのボディで、フロアが酷く錆びていました。リアシートへ座れないくらい」。それでも、このブランドへ強く惹かれた父は、250シリーズだけでも50台近くを取引した。ここには、2+2の250 GTEも複数台が含まれていた。

コロンボV12を搭載する250 GT ルッソ

スージーの弟が生まれた頃のファミリーカーは、当時1100ポンドで購入したフェラーリ275。赤ちゃんを運ぶかごが、シート後方へぴったり収まったようだ。一方でスティーブンは、365 GTB/4、デイトナは重すぎるという理由で共感していなかったとか。

他にもディーノは20台以上を、250 カリフォルニア・スパイダーは2台を仕入れた。F40も、1台だけ購入したらしい。金字塔の1つといえる、250 GTOも所有していた。シャシー番号3527GTの個体を、20年ほど維持していたという。

この250 GTOは1962年の公道レース、ツール・ド・フランスで、ベルギーのルシアン・ビアンキ氏とクロード・デュボア氏のペアが優勝争いを繰り広げたフェラーリそのもの。スティーブンは、それで頻繁にイベントへ参加し、仲間と交友を深めたらしい。

数多くのフェラーリが彼を通り過ぎていったが、今回ご紹介するシルバーの250 GT ルッソは、一家へ残った特別な1台だ。発売は1962年で、技術者のジョアッキーノ・コロンボ氏が設計したV型12気筒エンジンのティーポ168、2953cc仕様を搭載する。

フェラーリは、1950年代後半から販路を世界規模へ拡大。1960年代にかけて、量産体制も整えられていった。特に2+2レイアウトの250 GTEは、述べ1000台近くが生産された成功作になった。

250 GT ルッソは、ティーポ539Uと呼ばれるシャシーがベース。エンジンの搭載位置を前方へずらすことで車内空間が広げられるなど、250 GTEと設計思想では共通する。長いリアサスペンション・スプリングが流用され、優れた乗り心地も得ていた。

この続きは、フェラーリ250 GT ルッソ 娘が継いだプロトタイプ(2)にて。

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みんなのコメント

2件
  • f20********
    250でも人気薄モデルは500-600万円で買えた時代があったような・・・。もちろんGTOやLMは2億、4億、8億と上がり今や20-30億(いずれも円)がザラ。それに付き合うようにGTEやLUSSOも上がってしまいましたね。。。
  • hon********
    1枚目の写真、往年のマッチボックス・スーパーファストNo.75の箱絵を思わせる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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