この記事をまとめると
■予想に反して売れないクルマも多いが、今回はその逆となったクルマを紹介する
市場を切り開いた偉大なクルマが敗北! 「後出しじゃんけん」でバカ売れしたクルマ4選
■売れすぎるとそれはそれで問題が発生するケースがある
■予想より売れまくったことで、今では看板車種となったクルマも存在する
売れすぎて問題が発生したクルマもある
予想に反して売れなかったクルマは多い。どの車種でも成功させるつもりで発売するから、販売ランキングの下位にいるクルマは、すべて予想に反して売れなかったことになる。
その一方で、予想以上に売れ行きが伸びて、笑いながら苦しんだクルマは少ない。たとえば現行ヴェゼルのPLaYは、納期が約1年に達して受注を中断した。メーカーは「予想以上に売れたから」というが、これは単なる需要の読み間違いだ。
なぜならヴェゼルは、1カ月の販売計画を5000台に設定して2021年4月に発売されたが、2021年7~12月の1カ月平均登録台数は5428台だった。新型コロナウイルスの影響によるパーツやユニットの供給不足もあるが、目標台数を大幅に超えたわけではない。そもそも販売計画は、その車種が生産を終えるまでの平均台数として設定される。モデル末期には売れ行きが下がるから、発売直後は販売計画の1.2倍は売らないと計画を達成できない。ヴェゼルの販売計画が1カ月に5000台なら、発売直後は6000台を売る必要がある。このような具合だから、予想以上に売られるクルマは、ほとんど存在しないのだ。
予想の倍以上売れた車種は今や看板車種に
その少ない予想以上に売られた車種として、まず1993年に発売された初代ワゴンRが挙げられる。発売時点では、1カ月の販売目標を5000台としていた。開発の過程では、社内的に3000台であったが、発売直前に5000台まで増やした。それが実際に発売すると、翌年の1994年には、1カ月平均で2倍以上の1万2000台に達した。1995年には1万7000台、1996年には2万台を超えて、軽自動車の販売1位になっている。
一般的にクルマの売れ方は、発売直後がもっとも多く、時間の経過に伴って売れ行きが下がる。ところが初代ワゴンRは、前述のどおり増加傾向を辿った。時間の経過に伴って、着実に市場に浸透していったから、1カ月の販売目標は5000台なのに1996年には4倍の2万台を超えたのだ。
2001年に発売された初代フィットは、1カ月の販売計画を8000台に設定していたが、2002年の1カ月平均は2万899台に達した。2003年は前年に比べて下がったが、1万5190台だから、販売計画の約2倍に相当する。同じホンダ車でも、前述のヴェゼルとは売れ方がまったく違う。
2011年11月に登場した初代N-BOXは、1か月の販売計画が1万2000台だった。それが2012年の1カ月平均は1万7596台、2013年は1万9583台に達している。2014年は1万4994台に下がったが、2015年には盛り返して1万5410台になった。2016年も1万5531台だから、一貫して1万2000台の計画を上まわっている。
以上のように予想以上に売られたクルマには初代モデルが多い。N-BOXは最初から目標が1万台を超えたが、ワゴンRやフィットは控え目だ。慎重に目標を設定して発売したところ、好調に売られている。
販売台数の予想と現実について、多くの商品企画担当者が次のように述べている。「これなら売れる! と安心して発売すると、意外に伸び悩んで困ることが多い。むしろ心配しながら発売した商品が成功している」。これはクルマに限った話ではないだろう。
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