この記事をまとめると
■スズキの新型コンパクトSUV「フロンクス」
100年の間には冒険したクルマも! 「名車」だらけのスズキが生んだ「迷車」6台
■中谷明彦さんが一般道で試乗する機会を得た
■FF、4WDそれぞれのインプレッションをお届けする
日本ではFF・4WDから選択が可能!
スズキが新型コンパクトSUVとして「フロンクス」を登場させた。今回は一般道での試乗機会を得られたのでリポートしよう。
フロンクスとは「フロンティア」と「クロスオーバー」を合わせた造語であると説明されているように、その位置付けはスタイリッシュな都市型スポーツSUVといったところだ。車体ディメンションとして全長は3995mm。全幅1765mmで3ナンバー登録となるが、全高は1550mmで立体駐車場に入る高さに抑えられている。最低地上高は170mmで悪路踏破性を高めるクリアランスが確保されている。
パワーユニットは1.5リッター4気筒NAエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、さらにトランスミッションは6速のトルコンATを採用している。駆動方式はFF前輪駆動と日本専用仕様として4WDが設定されている。
すでにご存じの方も多いと思うが、フロンクスはインドにあるスズキのグジャラート工場で生産され国内に輸入される輸入車であるが、4WDは日本専用である。というのは、おもな輸出・販売先はインドおよび中東、アフリカ、南米などであり、非降雪地域となっているからだ。
まずはFFの通常モデルに試乗してみる。外観デザインはスタイリッシュで、コンパクトSUVとしては洗練されていて秀逸だ。ホイールベースが2520mmと大きく、前後オーバーハングは小さくされて躍動感がある。
ボディパネルの整形もボリューミーで存在感がアピールされている。ただ前後バンパー下部のアンダーガード風な加飾は見た目だけのガードであり、真実を知るといささか過剰な演出のように見える。
運転席に乗り込むと、インパネのデザインや装備、シートの出来ばえもよく快適さと豪華さが与えられているのがわかる。ステアリングにはテレスコピックとチルト機構が備わり、シートのハイトアジャスターと相まって理想的な運転姿勢をとることができた。
4WDはFFと比べて質感が低い
エンジンを始動させ、走り始める。マイルドハイブリッドは助手席下に配置されたリチウムイオンバッテリーとISGジェネレーターによって稼働するが、EVモードはもちろんない。
エネルギーモニターをメーターやセンターモニターに表示させることができるが、エンジンのアシストをするだけなのでアイドリングストップ時以外はつねにエンジンが稼働する。
車両重量1070kgという軽さもあって走りは軽快だ。ターボ付きエンジンや電動モーター駆動のストロングハイブリッドほどのトルクは期待できないが、市街地をゆっくり流すには手ごろな大きさでパワートレインのドライバビリティにも優れる。最小回転半径が4.8mという小ささで取り回し性もよく、市街地向けというのも頷けるのだ。
40~60km/hのクルージングでは室内が静かでロードノイズが低く、遮音性能は優秀だ。ショックアブソーバーやパワーステアリング特性などは日本専用のチューニングというだけあってNVH性能も優れていて、段差や路面継ぎ目通過時もショックを過剰に感じさせない。ボディ剛性が適切に振動を減衰して走りの質感は相当高い。
ただ市街地走行での燃費はメーター表示で13km/Lほど。燃料タンク容量は37リッターと軽自動車サイズなので航続距離は500kmに満たないため、やや不満の声が出そうだ。
次に4WD仕様に乗ってみる。日本専用モデルというだけに、仕上がり具合に注視してみた。4WDシステムはトランスミッションからリヤアクスルにプロペラシャフトを伸ばし、リヤデフ直前にビスカスカップリングを設置して前輪スリップ時に駆動を伝える簡易的な4WDシステムとなっている。ビスカスは簡単なメカニズムで安価であるが、熱に弱く拘束力も弱い。雪道の発進アシストと安定性確保のための生活4駆といった性格付けだ。
4WDは車重が1130kgと大人ひとり分ほど重量が増す。それに対処するため(最低地上高をFFと合わせる)スプリングレートを高めているが、それが予想以上に影響してか乗り心地が硬く、FFで感じられたNVHの高特性も低下してしまっている。さらにプロペラシャフト周辺からの振動もフロアやステアリングに感じられ、質感が下がってしまっているのは残念だ。
完成度の高いFF仕様に対し4WDは熟成不足感が否めなかった。今冬、国内の雪道で多くのデータを得て、今後の進化にフィードバックされることをいまは期待している。
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みんなのコメント
中谷氏は分かってないな。今どきの軽自動車は30Lも入らないよ。