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リアワイパーをつけるには寒冷地仕様にするしかない? おじさんを迷わせる複雑なオプション設定の謎

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リアワイパーをつけるには寒冷地仕様にするしかない? おじさんを迷わせる複雑なオプション設定の謎

 新車を購入する際に一番悩むのはグレードと装着するオプションではないだろうか。自分の好みの装備が付いたクルマを、なるべく安く手に入れたいと思うからだ。

 しかし近年はセットオプションが多く、好みの装備を付けることで、あまり欲しくないものまでついてくることもある。もちろんその分価格も高くなってしまう。

リアワイパーをつけるには寒冷地仕様にするしかない? おじさんを迷わせる複雑なオプション設定の謎

 グレードの装備一覧とオプションのリストを眺めていると、そのうち頭がこんがらがってくるほどだ。これに加えて特定のオプションは半導体不足の影響で納車が遅くなってしまうなんてこともある。

 今回はマイチェンしたばかりのカローラの購入例を参考に、最近のオプション設定の難解さについて解説する。

文/小林敦志、写真/ベストカー編集部、TOYOTA

■マイナーチェンジしたカローラを買う!!

筆者が購入した2022年10月に改良を行ったトヨタ カローラ(G 2WD)。写真のカラーはブルーメタリックだが、小林氏はシルバーメタリックをチョイス

 筆者は2022年10月に改良を行った、トヨタ・カローラセダンの1.5L直列3気筒ICE(内燃エンジン)を搭載する、“G”グレードを正式発売前の2022年9月に予約発注と言う形で契約した(納車は2023年1月予定)。

 トヨタ車全般の傾向としてはオプションの数が多めとなっている。国内販売台数でトップを誇るトヨタでは、トヨタ車を購入する客層も実に多彩になる。さらに一般の個人所有のほか、法人での仕事用のニーズなども多い。

 つまり、使い方に広がりがあるので、標準装備は抑えめとして、あとは購入者個々で判断して選んでほしいという流れになっていると聞いたことがある。

 筆者が選んだGグレードは、W×BとXグレードの中間に位置するグレード。装備内容は専用装備も含めW×Bの方が多いのだが、シルバーメタリックのボディカラーを選ぼうとしたら、W×Bには用意されていなかった。

 また専用装備も多いW×Bは魅力的なのだが、単純に最上級グレードと呼ぶには少々“クセの多い”グレードなのであえてW×Bは選ばなかった。

 Xグレードは昭和のころの表現では“スタンダードグレード”に近い簡素な装備内容となっており、社用車やレンタカー向きなのは明らか。オプションで装備を増やすのにも限界があるのでGグレードとなった。

 筆者は改良前の現行カローラセダンからの乗り換えとなるのだが、下取り予定車ですでに標準装備のアナログメーターをオプションのTFTカラー液晶を採用したデジタル計器盤に変更して乗っていた。

 今回もGではアナログメーターが標準装備なので、改良によりデザインは変わったが、Gでオプション設定されている7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを選択した。このオプションは単体装着が可能となり、その価格は8250円(税込)である。

 筆者の周囲の人にこの話をすると、「8250円でオプション設定するのならば標準装備してもいいのではないか」と異口同音に返答してくれるのだが、トヨタとしてはGとXについては、あくまで“アナログメーターありき”となっているようである。

 ただし、W×Bでは7インチではなく、グローバルカローラシリーズでも採用されている12.3インチタイプのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となっている。

 セダンのハイブリッドや、ステーションワゴンのツーリングでもグレード体系は同じでメーターの設定も同じなのだが、3つしかグレードがないのに、メーターが3種類用意されているのは、“ぜいたく”とも表現できるが、あまり気にしない人ならば“めんどう”と感じるかもしれない。

 筆者としては、12.3インチもしくは7インチのカラー液晶ディスプレイタイプに統一してもいいのではないかと考えている。

■なかなかにややこしい近年のオプション設定

2022年10月に改良を行ったトヨタ カローラでは、リアワイパー単体ではオプション装着できず、寒冷地仕様としてセットオプションのひとつとなっていた

 日本でのカローラ以外も含むセダン人気の凋落はいまにはじまったことではないが、新興国など日本から海外への中古車輸出では人気が高い。

 その海外輸出先でセダン人気が高いとされる、パキスタンやバングラデシュなどでは、道路環境が悪い(泥はねが多い?)こともあるのかリアワイパー付きのセダンが歓迎されるという。

 そこでリアワイパーをオプション装着しようとしたら、セールスマンがそのようなオプションが見当たらないと話す。下取り予定車のカローラセダンでは寒冷地仕様を選ぶとリアワイパーが装着できたと伝えると、改良後モデルでも寒冷地仕様とセットオプションのひとつとなっていた。

 リアワイパーだけ欲しかったのだが、ウインドシールドデアイサー、リアヒーターダクトなど、寒冷地に居住していない筆者としてはそれほどニーズを感じない装備もついてくることになった。ちなみにオプション価格は3万6300円(税込)であった。

 ディスプレイオーディオは8インチが標準となるが、画面がやや小さいと感じたので10.5インチタイプをオプションで選んだ。これは後で気がついたのだが、標準サイズだと4スピーカーだったのが6スピーカーになった(6スピーカーが標準装備と思っていたので助かった)。

 ここまではいいのだが、セットとしてバックガイドモニターに録画機能が付き、さらに標準装備となるETCがETC2.0になるとのこと(ETC2.0は単体で価格表示されれているが、これを選ぶとディスプレイオーディオは8インチから10.5インチにセットで変更となる)。

 ちなみにオプション価格は12万1000円(ディスプレイオーディオ)+1万6500円(ETC2.0)となり、今回のメーカーオプション総額は18万2050円となった。つまり、メーカー希望小売価格(1.5Gの車両本体)は222万円なのだが、それが240万2050円となった。

 トヨタ車のなかでは、メーカーオプションのラインナップは少なめなのだが、それでも予約発注ということもあり、セールスマンと慎重にオプション内容を見ながら選択するほど、セットオプションはややこしいものに感じた。

 これがミニバンになるとメーカーオプションがかなり多くなる。現行ノア&ヴォクシーが正式発売になったころトヨタ系ディーラーを訪れると、「あまりにメーカーオプションが多く、しかも組み合わせが複雑なので覚えきれない」とセールスマンがこぼしていた。

 メーカーオプションが増えることは車両発注時のオプションコード番号を増やし、装着する、しないという車種が同じ生産ライン上に流れるので、単に作業が増えるだけでなく、そのオプション設定にかかるコストも車両価格に反映されてしまうのである。

 そのため、ある意味コード番号を集約しコストをおさえるということもあり、セットオプションというものが目立つようになっているように見える。

トヨタ ノア。ミニバンはメーカーオプションが多く「数があるうえに組み合わせも複雑なので覚えきれない」とこぼすセールスマンも

 ちなみにコード番号で管理するところもあれば、メーカーオプションの組み合わせをいくつかのパターンに限定し、同じグレードでもそれぞれ異なる車両型式番号や独自の発注番号を設定して発注時に使い、ある意味コストアップを抑制しているようなメーカーもある。

 例えば、あるメーカーのコンパクトハッチバックを、大手小売りチェーンが本部のエリアマネージャーが担当店舗をまわる社用車として大口発注した時に、“リアワイパーはいらない”と言ってきたそうだ。

 しかし、そのクルマには“リアワイパーレス”というメーカーオプションがなかったので、その案件だけのために新たなメーカーオプションとして増やすことになると、作業上の手間が増えるだけではなく、そのオプション設定にかかるコストを車両全体に価格転嫁するということになりかねない。

 そこでリアワイパーを装着してラインオフし、その後“架装”という扱いでリアワイパーをなくしたという話を聞いたことがある(費用面では値引きアップなどで調整したようだ)。

 選択肢が多いというのは、ある意味消費者個々に寄り添ったもので顧客満足度が高いようにも見えるが、そのオプションを装着しなくとも車両価格にコストアップ分は上乗せされることになるものと考えてもらいたい。

 また現場のセールスマンも把握しきれないような状況にもなっている現状では、その選択権が消費者に完全に委ねられているともいえないだろう。

 平時では、セールスマンの立場に立てば、納期がかかりそうなオプション装着をやめさせ、お客が必要としないオプションでも、それがつけば納期が早めになるので装着を誘導するといった、やりとりも珍しくなかった。

 いまの販売現場は完全にマンパワーが不足している。さらにディーラーでは人件費負担も重くのしかかっており、日本でも着実にオンライン販売が増えてきている。ただ、いまのように複雑多岐なメーカーオプションというものが残れば、その進化を鈍化させる危険をはらんでいるとも考えている。

 いまの多くの新車の装備やオプションの内容を見ていると相変わらず“対面販売”に固執しているように見え、オンライン販売といえども遠隔操作でセールスマンと商談ができるだけにとどまり、その先へ進まないのではないかと危惧している。

 今後は買い方の多様性を重視し、スマホやPC端末への入力だけでも新車が買えるようなニーズが高まっていくのは避けられないとも思うので、シンプルなグレード体系やオプション内容というものが必要ではないかとも考える。

 「車両価格は割安に見えるけど、結局必要なオプションをつけるとそれなりになる」とは、いまどきの消費者の共通認識になろうとしており、それが面倒で新車購入に積極的になれないという話も聞く。

 いま若者を中心に日本でもジープブランドのラングラーの人気が高いが、このモデルではメーカーオプションは存在しないとのこと(その分ディーラーでパーツ装着などを行うことになるのだが、納車までの間にじっくり検討できるので好評とのこと)。

 そのような、面倒な交渉も少なくスマートに買えるのも、いまの若者には受け入れられているのかもしれない。

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みんなのコメント

16件
  • 色々書いてあるけど
    新車を購入する際に
    予算内でグレードや追加装備を熟考しているのが
    1番楽しい時間だと思うけどね
  • 「選択のパラドックス」として有名だけれど、あまりオプションを細かく分けてもかえって選べなくなるだけ。そしてセットオプションとした方が、ひとつふたつ要らない装備が含まれててもほとんどの場合バラで選ぶより安上がりになる。(マツダはそこらへんもう少し絞ったほうが良い気がする)

    昔トヨタ・プラッツで、寒冷地仕様を選ばないとフロント間欠ワイパー、リアデフロスターがつかなくてびっくりした記憶がある。雨が少ない地域ならそれでもよかったのだろうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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