タイヤの存在感をアピール(?)
この記事の公開日は2023年10月26日。今から30年前の今日――すなわち1993年10月26日に発売された名車をご存じであろうか? 答は、S14型系・日産シルビアである。
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【画像12枚】デビュー当時のS14、その詳細を見る
S14型は、日産のスペシャリティカー、シルビアの六代目にあたるモデルで、その発表は発売の2週間前、1993年10月12日に行われた。美しいボディスタイルが世界的にも高い評価を受け、良好なセールスを記録した五代目・S13の後継となるだけに、そのモデルチェンジは非常に注目を集めたものであったが、このS14は基本的にはキープコンセプトながら、車体を3ナンバーサイズへと拡大していたのがポイントであった。
スタイリングも先代の方向性を継承したものと言える、バランスの良いオーソドックスな3ボックス・クーペである。ただし、S13にあった面のメリハリやシャープなエッジ、流麗なラインといったものは失われ、全体にぼんやりとした丸みに包まれていたのが特徴だった。日産ではこれを、「水平基調の流れるようなスタイリング――ホリゾンタルストリームシェイプ」「タイヤの存在感をアピール」などと説明していた。
プラットフォームは先代の流用であり、FRレイアウトはもちろん前ストラット/後マルチリンクのサスペンションなども変更はないが、ボディの拡大に合わせた改良により「操縦安定性の向上としなやかな乗り心地を実現した」としていた。SUPER HICASについては、後輪の操舵ユニットを油圧式から電動モーター式アクチュエーターに変更している。
ラインナップなどは先代を継承、安全・環境保護にも配慮
グレード構成も先代を継承し、ベーシックなJ’sとその装備を充実させたQ’s、そしてトップモデルのK’sの3種が基本で、J’s以外にはType Sが設定され、合計5種。エンジンはJ’s、Q‘sにツインカム16バルブのSR20DE(160ps)、K‘sにはそのインタークーラー付きターボ仕様であるSR20DET(220ps)を搭載、これらもまた先代から引き継いだものであったが、細部の改良(高応答NVCS=可変バルブタイミング機構の採用など)によりいずれも最高出力が向上していた。
この当時は、安全対策や環境保護への対策強化も重視されてきた頃で、S14においてもそうした配慮がなされている。安全性の面では衝撃吸収ボディ構造やSRSエアバッグ・システム(運転席・助手席)、全席ELR付3点式シートベルト、サイドドアビームなどを採用。環境対策としては、三元触媒にパラジウムを採用(従来は白金・ロジウム)、エアコンの冷媒をHFC134aに代替、樹脂部品などに材質を表示、アスベスト材を全廃する、などの施策が行なわれている。
トランスミッションは5速MTと、E-ATと呼ばれるフルレンジ電子制御AT(4速)の2種類で、全モデルにこのふたつが設定されており、バリエーションは合計6種類となる。当時の希望小売価格はK’sタイプSのE-AT車で259.4万円/5MT車で249.7万円、Q’sタイプSで218.4万円/208.7万円、J’sで179.4万円/169.7万円であった(いずれも東京地域、消費税別)。
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