現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 改良は歓迎もいつ買えばいいかわからない!! マツダ3の早期大幅変更の是非

ここから本文です

改良は歓迎もいつ買えばいいかわからない!! マツダ3の早期大幅変更の是非

掲載 更新 88
改良は歓迎もいつ買えばいいかわからない!! マツダ3の早期大幅変更の是非

 2020年11月19日にマツダ3が改良を受けた。マツダは日本メーカーの中では、年次改良を施して、クルマを進化させることに執心している。

 年次改良と言えば安全装備の最新バージョンへのアップデート、燃費の向上などが常套手段だが、マツダ3はクリーンディーゼルとデリバリー開始後1年も経過していないスカイアクティブXのパワーアップとかなり大掛かりな変更だ。

電動化時代まであと9年 今安くて楽しいHVを買うならどのクルマ?

 改良されるのはユーザーにとってありがたいことなのだが、既存のユーザーにとっては心穏やかでない面もあるハズだ。

 マツダ3の早期変更に対する是非について、渡辺陽一郎氏が考察する。

文/渡辺陽一郎、写真/MAZDA、奥隅圭之、平野陽、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】魂動デザインが結実!! 世界で最も美しいクルマの1台と誉れ高きマツダ3の内外装を画像でチェック!!

納車開始から1年足らずでスカイアクティブXがスペックアップ

2020年11月19日に一部改良されたマツダ3。スカイアクティブXエンジンのソフトウェア改善がメインであり、内外装のデザインに変更はない

 「早くもパワーアップを伴う大幅改良!?」と驚かされたのがマツダ3だ。

 現行マツダ3の発売は2019年5月だが、この時に用意されたのは、1.5Lガソリンエンジンと1.8Lクリーンディーゼルターボのみであった。

 2Lガソリンは発売時期が遅く、SPCCI(火花点火制御圧縮着火方式)を採用するスカイアクティブXは、納車を伴う発売が2019年12月5日まで遅延した。

 発売時期が年末だったので、スカイアクティブXの納車が本格化したのは2020年に入ってからだ。

 それなのにマツダ3は、2020年11月19日に改良を実施して、さまざまなエンジンやメカニズムを進化させた。

SPCCI(火花点火制御圧縮着火方式)の制御を最適化し、最高出力を従来型の180ps/22.8kgmから190ps/24.4kgmにアップさせた

 特に注目されるのはスカイアクティブXだろう。SPCCIの制御を最適化して、幅広い回転域でトルクと出力を向上させた。最高出力は従来の180馬力から190馬力に、最大トルクは22.8kgmから24.4kgmに高められている。

 サスペンションにも変更を加えて、前輪側はスプリング、ショックアブソーバー、バンプストッパー(足回りが縮んだ時に作用する緩衝装置)を改善した。

 後輪側もショックアブソーバーの特性を変えて、走行安定性と乗り心地のバランスを向上させている。

マツダのやり方にユーザーが慣れてきた!?

マツダは、ECUの変更によって、従来モデルを購入したユーザーにも無償アップデートを提供すると表明

 スカイアクティブXの納車が本格化したのは、前述のとおり2020年に入ってからなので、同じ年の11月にエンジンからサスペンションまで幅広く改良されると、すでに購入したユーザーの心境は複雑だろう。

 「変更のタイミングが早すぎる」と感じることもあるのではないか。

 マツダではSPCCI関連のソフトウェア変更について、すでに使われている車両のアップデートも検討しているようだが、サスペンションは無理だ。スカイアクティブXは、どの車両についても、走り関しては購入から1年以内に「旧型」になった。

 スカイアクティブXは、発売から約1年で性能を高めたが、顧客の反応はどうか。また既に使われている車両のアップデートなど、いつ頃から開始するのか。

 「スカイアクティブXは、ほとんど売れていないので、早々と改良しても不満の声はあまり聞かれません。ディーゼルやガソリンのお客様は、改良時期が早いね、といわれます。それでも今のマツダは頻繁に手を加えるので、このやり方に慣れてきたお客様も多いです。仕方ないね、という感じです」

ユーザーのニーズとマツダの販売戦略の乖離

2020年3月、2Lガソリンモデルに4WDが追加された

2019年5月に販売を開始して以降、ちょこちょこと改良が加えられてきたマツダ3

 2019年5月に発売されたディーゼルも、実用回転域の駆動力を向上させて、最高出力を従来の116馬力から130馬力に引き上げた。

 このほか運転支援機能のステアリングアシストも変更を受け、従来の上限速度は時速55kmだったが、改良後は高速域まで引き上げた。2020年11月の改良は多岐にわたる。

 マツダ3は以前から、時間をあけながらグレードを追加してきた。

 2019年5月に1.5Lガソリンエンジンとクリーンディーゼルターボを発売した後、同年後半には2Lガソリン、12月には前述のスカイアクティブX、2020年3月には2Lガソリンの4WD、同年5月にはセダンにも1.5Lガソリンを追加した。

 マツダ3の1.5Lガソリンエンジンでは、充実した安全装備を比較的求めやすい価格で得られる。

 そこで発売当初から注目され、セダンの1.5Lエンジンを求めるユーザーも少なくなかった。

 それなのにセダンに1.5Lがない理由を開発者に尋ねると、「従来型のアクセラでは、65~70%をハッチバックが占めていた。そのために現行型の1.5Lエンジンも、ハッチバック(ファストバック)のみに搭載している」と説明された。

 1.5Lのセダンが欲しいのに、ハッチバックを購入したユーザーもいたわけだ。

 それが発売から約1年でセダンにも1.5Lガソリンが追加されると、「もっと早く教えてくれればいいのに」、「マツダのクルマはいつ買えばいいのかわからない」という話にもなるだろう。

マツダは改良時期を固定すべき

2020年11月の改良でe-スカイアクティブXと名称が変更された(写真上)。フェンダーには専用エンブレムが装着される(写真下)

 このように今のマツダ車では、頻繁に改良を実施したり、なおかつ受注しながら燃費などのデータが未定になっていることも多い。購入時に疑問を感じるメーカーとなった。

 今のマツダでは、ひとつの車種が新しいメカニズムや制御を採用すると、時間をあけず他車にも適用する。従ってCX-30のスカイアクティブXやディーゼルなども、近々同様の改良を実施するだろう。

 このような開発姿勢は、エンジン、プラットフォーム、運転感覚などを大半の車種にわたって共通化した今のマツダの強みだ。

 頻繁に改良を実施して、常に最良のマツダ車であり続ける。エンジンやプラットフォームの種類を限定した代わりに、密度の濃い開発を行えるわけだ。

 多種多様の商品を揃えるトヨタとは違う、マツダならではの生き方でもあるだろう。常に最良のマツダ車を買えるのだから、ユーザーのメリットも大きい。

 その努力(開発者は頻繁な改良を行うには大変な労力を要すると述べている)と、商品力を常に高く保てる効果を考えると、ユーザーから「いつ買えばいいのかわからない」と受け取られるのは残念な話だ。

 ユーザーにとって最もわかりやすい方法は、マツダ車の改良をスケジュール化することだ。

 マツダ3は3月、マツダ6は6月、マツダ2は12月…、という具合に時期を定める。その時期には、メカニズムの改良からボディカラーの追加まで内容はいろいろだが、何らかの手を加える。

 そうなれば購入時に迷ったり、購入後に不愉快になることも避けられるだろう。

 ちなみに昔の日本車は、4年ごとにフルモデルチェンジを行い、その間にマイナーチェンジを挟んでいた。この時代にも改良を頻繁に行ったが、スケジュールを決めていたから文句は出なかった。

MX-30の投入でマツダに変化が!!

2020年10月8日に発表、発売されたMX-30

 MX-30の発売に際しては、最近のマツダでパターン化していた予約受注開始の大幅な前倒しを行わなかった。発表と発売は2020年10月8日で、受注開始は若干早めたが9月下旬だ。

 今までのように注文してから納車まで長々と待たされる不満は解消され、10月11日の日曜日には、販売店で試乗も行えた。良心的な売り方であった。

 MX-30はエンジンやグレードが少ないから可能だった事情もあるが、一時期はメーカー優先になっていたマツダの売り方が、顧客を重視する姿勢に変わりつつある。今後はモデルチェンジの時期も、わかりやすくしてほしい。

 これからのマツダは、MX-30の築いた新しいデザイン路線に沿って、再び背の高いコンパクトカーなども手掛ける。

 MX-30の開発者は、「今までマツダ車に関心を寄せなかったお客様を、MX-30で振り向かせたい」という。そのためには受注方法から改良を実施する時期まで、すべてを顧客重視で行う必要がある。

 2012年に魂動デザインとスカイアクティブ技術で生まれ変わったマツダは、再び新たな発展の時期を迎えている。商品と併せて、売り方も共感を得られるものになってほしい。

【画像ギャラリー】魂動デザインが結実!! 世界で最も美しいクルマの1台と誉れ高きマツダ3の内外装を画像でチェック!!

文:ベストカーWeb 山城颯太
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

【クルマ文化を一緒に盛り上げたい】レーシングドライバー塚本ナナミがS耐参戦へ向け、クラウドファンディング開始!
【クルマ文化を一緒に盛り上げたい】レーシングドライバー塚本ナナミがS耐参戦へ向け、クラウドファンディング開始!
AUTOCAR JAPAN
計画から68年、なかなかできない超重要道路「横浜藤沢線」12月に一部4車線化! 圏央道アクセス担う
計画から68年、なかなかできない超重要道路「横浜藤沢線」12月に一部4車線化! 圏央道アクセス担う
乗りものニュース
ハーレー「“新型”ミドルクラスネイキッド」登場! “440cc”のちょうどいいサイズで扱いやすい! “X”シリーズの新顔「X440」インドで発表
ハーレー「“新型”ミドルクラスネイキッド」登場! “440cc”のちょうどいいサイズで扱いやすい! “X”シリーズの新顔「X440」インドで発表
くるまのニュース
スズキ初の量産EV『eビターラ』、最高評価の5つ星を獲得…インドNCAP
スズキ初の量産EV『eビターラ』、最高評価の5つ星を獲得…インドNCAP
レスポンス
【ホンダ・リード125】定番の原付ニ種スクーター、カラーバリエーション変更で2026年1月29日発売! 価格は35万2000円
【ホンダ・リード125】定番の原付ニ種スクーター、カラーバリエーション変更で2026年1月29日発売! 価格は35万2000円
モーサイ
キャンピングカー市場1100億円突破! なぜ市場は「新車」「中古」で二分されるのか? 市場拡大の裏側で進む変化とは
キャンピングカー市場1100億円突破! なぜ市場は「新車」「中古」で二分されるのか? 市場拡大の裏側で進む変化とは
Merkmal
3列7人乗りSUVがフルモデルチェンジ! メルセデス・ベンツ新型『GLB』発表 車内は広く快適に
3列7人乗りSUVがフルモデルチェンジ! メルセデス・ベンツ新型『GLB』発表 車内は広く快適に
AUTOCAR JAPAN
スズキ「V-STROM 800」2025年モデル 新色となって再評価「この価格はありがたい」など反響
スズキ「V-STROM 800」2025年モデル 新色となって再評価「この価格はありがたい」など反響
バイクのニュース
「なんかこの信号永遠に赤なんじゃねーの?」 信号機の変わるタイミングはどう決まる?
「なんかこの信号永遠に赤なんじゃねーの?」 信号機の変わるタイミングはどう決まる?
WEB CARTOP
“無施錠・エンジンかけっぱなし”の「パトカー」盗まれた!? 逮捕された男「乗り心地が良さそうだと思って」 “車両の管理体制”に賛否両論
“無施錠・エンジンかけっぱなし”の「パトカー」盗まれた!? 逮捕された男「乗り心地が良さそうだと思って」 “車両の管理体制”に賛否両論
くるまのニュース
サンキューピアストリ! ランド・ノリス、初のF1王者は『学びが多かった』チームメイトのおかげ
サンキューピアストリ! ランド・ノリス、初のF1王者は『学びが多かった』チームメイトのおかげ
motorsport.com 日本版
建造中の海自「最新ステルス艦」を捉えたレアショットが公開! 豪州の要人が造船所を視察
建造中の海自「最新ステルス艦」を捉えたレアショットが公開! 豪州の要人が造船所を視察
乗りものニュース
買いたくてもいまだに買えない!? トヨタ「ランクル250」登場から1年半でも“受注停止”の謎 どうすれば手に入る? 販売現場に聞いてみた
買いたくてもいまだに買えない!? トヨタ「ランクル250」登場から1年半でも“受注停止”の謎 どうすれば手に入る? 販売現場に聞いてみた
VAGUE
「スタッドレスとかチェーンある?」「融雪剤はやばい?」雪にまつわるバイクのQ&A
「スタッドレスとかチェーンある?」「融雪剤はやばい?」雪にまつわるバイクのQ&A
WEBヤングマシン
メルセデスが選手権2位を獲得「グラウンドエフェクト時代には苦しみ続けた。新規則の下でタイトルを狙いたい」とラッセル
メルセデスが選手権2位を獲得「グラウンドエフェクト時代には苦しみ続けた。新規則の下でタイトルを狙いたい」とラッセル
AUTOSPORT web
【ディーゼルとPHEV】日産が中国でピックアップトラック『フロンティア・プロ』発表 中国発のグローバルモデル
【ディーゼルとPHEV】日産が中国でピックアップトラック『フロンティア・プロ』発表 中国発のグローバルモデル
AUTOCAR JAPAN
豊田通商グループのプラニック、環境大臣表彰受賞…「Car to Car水平リサイクル」で温室効果ガス削減
豊田通商グループのプラニック、環境大臣表彰受賞…「Car to Car水平リサイクル」で温室効果ガス削減
レスポンス
日本精工、半導体製造向け高精度アライメントテーブル初公開へ…SEMICON JAPAN 2025
日本精工、半導体製造向け高精度アライメントテーブル初公開へ…SEMICON JAPAN 2025
レスポンス

みんなのコメント

88件
  • しかし無駄の多いデザインだな
    会社のビジョンが理解できない
  • 「スカイアクティブXは、ほとんど売れていないので、早々と改良しても不満の声はあまり聞かれません。」

    これすごい寂しいことだけど記事に書いてええんか??
    こっそりディスを入れるなんて。。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

260 . 0万円 350 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119 . 2万円 358 . 0万円

中古車を検索
マツダ MAZDA3 ファストバックの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

260 . 0万円 350 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119 . 2万円 358 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村