■軽トラ荷台で仕事をしたり移動店舗に活用!?
ダイハツが相次いで軽トラを使った実証試験を始めましたが、使われている車両はまるでモーターショーに登場するコンセプトモデルのような斬新な風貌です。
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これらを、ナンバーを付けて公道で走らせてしまうのですから驚きです。
ダイハツは一体どのような実証実験をおこなっているのでしょうか。
ひとつめの実証は、新潟県妙高高原で2021年1月12日からレンタカーサービスとして始まった、「モバイルワークステーション」です。
軽トラ「ハイゼットトラック」の荷台に、対面式のシートを備えたスモールオフィスをしつらえました。
ターゲットユーザーは、スキーやスノーボードの愛好家で、コロナ禍でもウインタースポーツを楽しみながら、自然豊かな環境でリモートワークすることを想定しています。
貸出しはニコニコレンタカー妙高高原店がおこない、料金(消費税込)は6時間・2420円、12時間・2635円、24時間・4070円。実証試験とはいえ、多彩な機能を持っている車両としてはお値打ち価格設定だと思います。
実証は、2021年3月31日までおこなわれる予定です。
もうひとつが、三重県いなべ市での「Mobile-HUTTE(モバイル・ヒュッテ)」プロジェクトです。
テーマは「うごくまち」として、ハイゼット トラックの荷台に移動用店舗を装着。移動用の飲食店や物販店を想定しています。
Mobile-HUTTEは箱状物体で、寸法は長さ1958mm×幅1408mm×高さ1208mm(屋台展開時1815mm)で、シンク付きの飲食店向けが2台、シンク付きの特別仕様が1台、そして物販用が2台の合計5台を仕立てました。
実証試験は2021年2月20日から21日に開催される「いなべの里山に学ぶ!山辺アクティビティ未来体験」(いなべ市・立田公園)を皮切りに、1年程度をかけて各種イベントや都市部でのPRキャラバンをおこない車両設備や運用方法を検証します。
その結果を踏まえて、来年度以降の一般貸出を目指す予定です。
この、いなべ市での試みは「ニューノーマルに対応した地域活性化施策」という命題となっています。
詳しいことを運用の実務を担当する、一般社団法人 グリーンクリエイティブいなべの担当者・一橋俊介氏に聞きました。
それによると、いなべ市は三重県鈴鹿山脈に近い自然豊かな環境にあり、市として自然を活かした街づくりを進めてきました。
その一環として、2015年に市役所内プロジェクトとして「グリーンクリエイティブいなべ」が立ち上がり、2019年4月に法人化しています。
ダイハツとの出会いは、クルマを使った旅行を提案するイベント「カートラジャパン2019」にグリーンクリエイティブいなべが出展した際、同じく出展していたダイハツ側から声がかかったとことです。
いなべ市には、市民や企業で数多くの軽トラがあり、軽トラを使ったスキームに興味を持ったといいます。
山辺でおこなうイベントや新しく開発するキャンプ場、カートラベル対応のドックラン付きの施設など、飲食店などインフラがない状況で、機動性とコストパフォーマンスを踏まえて、Mobile-HUTTEをフル活用したいということです。
さらに、観光客向けのみならず、地元住民向けにも施策を講じたいといいます。
そのほかにも、いなべ市の観光PRとして、来年度は月1回のペースで名古屋市中心部でのマルシェにもMobile-HUTTE搭載のハイゼットでの出店を予定しています。
■なぜ軽トラで実証実験をおこなう? ダイハツの狙いとは
妙高高原やいなべ市での軽トラを使った斬新な実証試験について、ダイハツの狙いはどこにあるのでしょうか。ダイハツの大阪本社に直接聞いてみました。
まず、前提となるのが、2017年3月に発表した中期経営計画「D-Challenge 2025」です。
このなかで、「モノづくり」と「コトづくり」を主軸に事業を推進し、ダイハツブランドの確立を目指すとしています。
「コトづくり」では、高齢者、女性、地方の人々を中心に社会とのつながりの強化を目指します。
ダイハツ大阪本社にある、コーポレイト統括本部・新規事業戦略室では、軽自動車を活用した地方での具体的な実証のアイディアを練っているなかで、妙高高原、いなべ市のアイディアが実現したといいます。
また、ダイハツの近年発表したショー・コンセプトモデルを振り返ってみると、軽トラ関連でさまざまな発想がありました。
たとえば、2019年の東京モーターショーでは、人々の「つどい」をテーマとし、その後に「タフト」として量産した軽クロスオーバー「Waku Waku(ワクワク)」と並んで、近未来型軽トラ「Tsumu Tsumu(ツムツム)」を出展しています。
直近では、バーチャルでの開催となった東京オートサロン2021年に出展した「ハイゼット ジャンボキャンパーVer.」があります。
こうしたコンセプトモデルに見られるような、「モノづくり」としてのハードウエアとして見える化するだけでなく、ダイハツは「コトづくり」の現場も次々と生み出そうとしているのです。
今後については、「コトづくりを具体的に事業化することの難しさは、ダイハツとして十分に認識しています。(コトづくりのショーケースという観点で)実証試験を通じて、全国各地でのダイハツ販売店とそれぞれの地域での対応を考えていきたいと思います」(ダイハツ大阪本社)と方針を説明しました。
ダイハツが推進する、軽トラ「コトづくり」戦略。これからも、ユーザーや販売店が、あっと驚くような地域に役立つアイディアがドンドン出てきそうです。
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