例えば、同じミニバンで性能や仕様に差がなくても、中古車相場で大きく差が付くことがある。それは、中古車は“人気”という要素が価格に与える影響が大きいからだ。
中古車の価格は流通している中古車の台数である「供給」と欲しいユーザーの数である「供給」のバランスで決まる。したがってアルファードのような人気の高いクルマの中古車の価格は値上がりしてしまうのだ。
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しかし、人気というのはそのクルマ本来の性能には全く関係ないことが多く、中には、高いポテンシャルをもっているクルマでも、中古車相場が安くなっている隠れた実力車はあるのだ。
そこで、今回は実力が高いにもかかわらず、中古車相場が割安な隠れた実力車を3台紹介する。
文、写真/萩原文博
[gallink]
N-BOXの派生モデルに留まらないこだわりが満載
まず紹介するのは、わずかひと世代で生産終了した軽自動車のホンダN-BOXスラッシュだ。2014年12月~2020年2月に販売されたN-BOX スラッシュは、旧型N-BOXのルーフを100mm低くしてリアに向かって絞ったルーフラインが特徴のハイトワゴン。
ルーフラインを絞りつつ、ウィンドウラインを逆にせり上げることでクーペのようなスタイルを演出。また、電動パーキングブレーキの採用やリアドアもスライド式からヒンジ式へと変更されたプレミアムモデルだ。
N-BOXスラッシュの最大の特徴はインテリアで、7つの個性的なスタイルを設定。ユーザーそれぞれのライフスタイルにピッタリのこだわりのプライベート空間を演出することができる。
そして、注目が一部のグレードに設定されていたサウンドマッピングシステム。360Wのパワーアンプと8個のスピーカーとサブウーファーを組み合わせた合計9スピーカーで車内をコンサートホールへと変貌する。
さらに、高音質を楽しめるように、サウンドマッピングシステム搭載車は防音材をプラスし、静粛性も高めている。
搭載されているエンジンは58ps&65Nmを発生する自然吸気と64ps&104Nmを発生するターボの2種類。駆動方式は全車にFFと4WDを設定し、トランスミッションは全車CVTを採用している。
現在、N-BOXスラッシュの中古車の流通台数は約444台で、平均価格は約115.7万円。中古車の価格帯は約30万~約179.8万円となっている。サウンドマッピング装着車を積極的に狙いたい。
実力差以上に人気に差が出たエルグランド
続いて、紹介するのはフラッグシップミニバンの日産エルグランドだ。2021年10月の新車販売台数を見てみると、トヨタアルファードが4588台。そして日産エルグランドは202台で販売台数は約22倍という圧倒的な差が付いている。
この販売台数差ほどアルファードとエルグランドの実力差はないと思うが、人気という要素がユーザー心理に与える影響の大きさを感じる。
3代目にあたる現行型エルグランドは2010年8月に登場。クルマの基礎にあたるプラットフォームを一新し、駆動方式は従来のFR(後輪駆動)からライバルであるアルファード/ヴェルファイアと同じFF(前輪駆動)に変更された。
搭載するエンジンは3.5L V6と2.5L直4の2種類。組み合わされるトランスミッションはCVTで駆動方式は2WDと4WD。ライバル車が用意するハイブリッド車がないのは物足りない。
駆動方式を変更した恩恵によって床面が低くなったことで、全高を低く抑えても車内空間が拡大したこと。そして、低重心化したことで乗り心地が向上している。しかしここにエルグランドの人気を失墜させる要因が発生する。
全高を低くしたことにより、従来モデルの特徴だった圧倒的な存在感が薄まっただけでなく、トランクにゴルフバッグが積めなくなるという致命的なデメリットが発覚し、利便性を悪化させてしまった。これによりアルファード/ヴェルファイアに圧倒的なリードを許すこととなったのだ。
巻き返しを図るため、2014年1月にエルグランドはビッグマイナーチェンジ実施。内外装の変更をはじめ、安全性能の向上。そして、インテリアでは特別感と高級感を演出した。さらにプラットフォームまで手を加えて、ゴルフバッグを縦に入れられるように、ラゲッジルームの床面の高さを低くした。
さらに3列シートに前方向240mmのスライド機能を追加することで、3列シートに人が座っていても荷室長を確保しました。利便性は向上したものの、人気の差を埋めることができなかった。そしてエルグランドは2度目のマイナーチェンジを2020年10月に実施。
このマイナーチェンジでは、内外装のデザインを一層。インテリアでは、センターパネルに10インチの大型ディスプレイを配置し、その周りをピアノブラックで仕上げてプレミアム感を演出している安全装備では、全方向から運転をサポートする360°セーフティアシストを全車標準装備し、安全性能を向上させている。
今回採用された運転支援システムにより、アルファードを上回る運転支援システムを手に入れた。
モデルライフが約11年と長くなっているため、現行型エルグランドの中古車の流通台数は約1388台と豊富。平均価格は約186.5万円で、価格帯は約37万~約525万円だ。現行型エルグランドの中古車を狙うのであれば、運転支援システムが拡充した2014年1月のビッグマイナーチェンジ以降のモデルだ。
サスペンション形式や空力性能にマツダのこだわりを感じるミニバン
最後に紹介するのは、最新の車種ラインアップからミニバンが消えてしまったマツダがかつて販売していたビアンテだ。ビアンテは2008年~2018年まで販売されたミニバンで、ライバルはヴォクシー/ノア、セレナ、ステップワゴンだった。
ビアンテが属するクラスは、5ナンバーサイズを基本としているに対して、ビアンテは全幅1770mmの全車3ナンバーサイズ。その効果により、当時クラス最長となる2,990mmの室内長と1450mmの室内幅を確保し、クラスで最も広い室内空間を実現していた。
マツダはミニバンのビアンテでも、マツダらしい高い走行性能を発揮させるため、軽量かつ剛性の高い高張力鋼板を多用しつつ、局部剛性を効果的に高めている。
その結果、大きな開口部を持ちながらも、優れたボディ剛性を実現したプラットフォームを採用。専用開発されたサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式を採用していた。
特長的な外観デザインは、Dピラーの形状を最適化するなどボディの空力特性を向上させると同時に、床下の整流を行なうことにより、優れた横風安定性を実現。Cd値(抗力係数)でクラストップを誇った。
搭載されているエンジンは、最高出力165psを発生する2.3L直列4気筒と最高出力151psを発生する2L直列4気筒直噴エンジンの2種類。組み合わされるミッションは2WD車が5速AT、4WD車が4速ATだった。
現在、ビアンテの中古車は約448台流通していて、平均価格は約46.7万円。中古車の価格帯は約10万~約185.8万円と幅広い。強力なライバルが多く、人気薄ゆえに割安感が非常に高いミニバンとなっている。
快適な乗り心地と、多人数乗車でも安心感のある車両挙動を実現しているビアンテは同じクラスの中で卓越した走行性能を実現したミニバンの実力派モデル。100万円以下でミドルサイズミニバンの中古車を狙っている人にはベストバイとしてオススメしたい。
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みんなのコメント
車名を冒頭に掲示すべき!
人気=リセールバリューですからね。
少しの差でもリセールが期待できるからと言うだけで割高な方を買うのが日本人です。