もくじ
キア・スティンガーGT
ー キア初のフラッグシップに
ー ダイナミックなFR
電気自動車(EV)3台対決 日産リーフ vs VW e-ゴルフ vs ルノー・ゾエ
ボルボXC40
ー コンパクトSUVの理想形
ー 安全装備も満載
アウディA8
ー 高度な自動運転技術
ヒュンダイi30N
ー ホットハッチ市場に参入
日産リーフ
ー 内燃機関のライバルに脅威を
ジャガー I-PACE
ー 伝統的ジャガークオリティのEV
イノベーション・アワード:ウエストフィールド
ー バッテリー駆動の自動運転ポッドを開発
キア・スティンガーGT
キア初のフラッグシップに
この10年ほどの間にキアはどんどん強大になってきた。品質や質感は大躍進を遂げ、シティカーから7座のSUVに至るまで、ほぼすべてのクラスで主流メーカーの代用品と見られがちだったブランドから脱皮したのだ。
2006年にフォルクスワーゲンから移籍してきたデザインのチーフ、ピーター・シュライヤーがこの変革の立役者だ。昨年、われわれのスターメー・アワードを受賞したシュライヤーのおかげで、キアのデザイン言語には新風が吹き込まれ、今やこの韓国の自動車メーカーのクルマは、どれもみなとても魅力的なデザインになった。
しかし、キアにはフラッグシップと呼べるものがなかった。安くて信頼性が高いだけのクルマを作るメーカーというブランド・イメージを、もう一段高めるために必要なクルマだ。乗って走り出したとたんに「こりゃすごい」と叫んでしまうような。
新しいスティンガーGTは正真正銘のキア製である。この新型の重要性を見過ごしてはならない。長いボンネット、飛びかかるようなファストバックのルーフライン、沈み込んだ力強いスタンス、それに目を引く「タイガー・ノーズ」グリル(シュライヤー・デザインのアイコンだ)など、見た目のデザインだけでも魅力的だが、さらに魅力的なのは走り始めてからである。
ダイナミックなFR
スティンガーGTは、キアが欧州の最上級のクルマと肩を並べる魅力的なドライバーズカーを造れることを世界に示す、ダイナミック性能に優れた後輪駆動のクルマだ。キアはBMWのM部門からアルバート・ビーアマンを引き抜いてスティンガーの開発主査に据え、ニュルブルクリンク北コースで時間をかけて入念にこの新型グランドツアラーを開発した。
このような意欲作にはそれにふさわしいエキサイティングなパワートレインが必要である。搭載された370psツインターボV6エンジンは、静止から97km/hまでスティンガーを4.7秒で加速させる。キアはこの最強のスティンガーの商品性に自信をもっており、ガソリンとディーゼルモデルの販売を同程度と見込んでいる。
しかしもっとも驚かされるのは、スティンガーが利益を生まないかもしれないということを知っていながら、キアが製品化を認めたことだ。初めてのことである。スティンガーはキアの意欲の表れであり、将来を先取りするものとして認識されるべきクルマなのだ。
ボルボXC40
コンパクトSUVの理想形
XC40は、それがクルマの世界にもたらしたものゆえにゲームチェンジャーなのではない。コンパクトSUVなら、高価なものから安価なものまでさまざまなメーカー製のクルマが山ほどある。この意味ではボルボのベビーSUVに新味はない。
しかし、このクルマが素晴らしくゲームチェンジャーとしての意義を主張するのは、コンパクトSUVの要件を見事に達成したやり方にある。すべての有能な自動車メーカー同様、ボルボはこのマーケット・セグメントが非常に重要であり、企業の命運を左右しかねないことに気付いている。
しかしボルボは、顧客ショールームに展示するために拙速にXC40の開発を行うのではなく、十分に時間をかけて慎重に行った。
そのためにまず、XC40だけでなくボルボのすべての小型車とグループ会社で用いる新しいコンパクト・モジュラー・アーキテクチャー(CMA)を開発した。この新型プラットフォームにより、2019年までにすべてのクルマを電動化するというボルボのコミットメントの達成が容易になった。そして、R&D部門のボスだったピーター・メルテンスの言葉を借りれば、ボルボのユーザーは「大きなクルマのオーナーと同じプレミアムな技術メリット」を享受できるようになる。
安全装備も満載
つぎにルックスだ。一目でボルボだとわかるボクシーで実用的な形だが、同時に兄貴分のXC60やXC90よりもずっとファンキーで若々しい。エクステリア・デザインのオリジナル・スケッチを描いたのは、まだ30代前半のブリット・イアン・ケトル。これはその副産物に違いない。
そしてもちろん、2020年までに自動車事故による死亡者や重傷者をゼロにするというボルボの公約により、XC40には先進的なセーフティ・テクノロジーが満載されている。
この結果、快適で洗練され、望めばリラックスできると同時に、その気になれば自在に振り回すこともできるコンパクトSUVが誕生した。安全で実用性に富み、インテリアもエクステリアも魅力的なクルマだ。
特別に画期的なクルマという訳ではないが、理想的なコンパクト・クロスオーバーのハードルを一気に引き上げたことは、もちろん称賛に値する。
アウディA8
高度な自動運転技術
数年前、アウディの広告でカモフラージュされたRS7がホッケンハイムリンクを240km/hの最高速度で周回する様子を覚えているだろうか。何も変わった様子はない。四輪駆動でツインターボV8を搭載した素晴らしく速いクーペだ。クルマに誰も乗っていなかったことを除いては。
この特別なRS7は無人車だったのだ。このプロジェクトから得られた成果は、技術的に最も進歩したフラッグシップセダン、新型アウディA8にさっそく反映されており、さらに多くの技術成果が出番を待っている。
例えば48V電源システムにより、この巨大なラグジュアリーセダンは最大40秒間、エンジン停止状態で走行することができる。また3チャンバーのエアサスペンションは全グレードに標準である。さらにアクティブ電子制御サスペンションは前方の道路の状況を先読みする。しかし最も進歩した技術は、一定の条件下で人間の制御なしに走行することができる能力である。従来とは全く異なり、世界を進歩させるクルマだ。
「アウディAI」と呼ばれる一連の技術を用いて、SAE基準のレベル3に相当する高度な自動運転を世界で初めて実現した。60km/hまでならA8は混雑した高速道路でもまったく人間のアシストなしに走行することが可能だ。
それ以上の速度になったり、前方の車列がばらばらになると、トラフィック・ジャム・パイロットと呼ばれるシステムが、ドライバーに再びハンドルを握るよう警告する。またキャビン内の小型カメラでドライバーが疲れたり居眠りしていないかを検出する。このような場合には、クルマは駐車スペースやガレージに自動的に停車する。
洗練されたソフトウエアにって実現されたこの能力は、渋滞の際などにドライバーの負担を軽減する。これを備えたA8は先進的クラスにおける本当の先駆者である。このクラスにはヘビー級の技術ライバルであるメルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズ、それに比較的最近参戦したテスラ・モデルSがいることを考えると、これは至難の業であり、A8が瞠目すべきクルマであることは間違いない。
ヒュンダイi30N
ホットハッチ市場に参入
自動車産業において新たなセグメントに割って入ることはとても困難だ。ホットハッチのような、人気で競争の激しいセグメントであればなおさらである。にもかかわらず、ヒュンダイはそんな偉業を達成した。新設されたNと呼ばれる高性能車部門が手を加えたi30のことだ。
i30Nはとてもインパクトのあるクルマであり、本誌の評価ではフォード・フォーカスSTやプジョー308GTiといった既存のライバルよりも上である。高価な四輪駆動のメカニズムを持たない限り、どんなライバルにも対抗できる走行性能やスペックを持っていることが第一の理由だ。
さらに、エンジン、ダンパー、ステアリング、LSD、スタビリティ・コントロール、エグゾーストなどのセッティングがすべてカスタマイズ可能なのだ。それもライバルたち、例えば素のVWゴルフGTiを下回る価格なのである。こんな素晴らしい性能、アイデア、使いやすさがお手頃な価格で手に入ることが、i30Nをゲームチェンジャーたらしめる理由なのだ。
何か特別なことが起ころうとしていた兆候はあった。ヒュンダイは技術の才能に多額の投資を行い、特にBMW Mのエンジニアリングを指揮したアルバート・ビーアマンをプロジェクト・リーダーとして迎え入れた。このクルマの至るところに彼の手が入っている。ステアリングはしっかりした適度な重さで、Nモードでは好みのセッティングをワンプッシュで呼び出すことができる。
さらに電子制御装置は完全にオフにすることができるといった具合だ。このクルマのちょっと変わった狙いを象徴している。ヒュンダイはここ数年WRCに出場し、かなりの成果を収めている。このクルマは知らないひとには驚きかも知れないが、実際には然るべくして現れたのである。
i30Nは欠点もあるクルマだ。キャビンは暗く平板で、英国の道ではダンパーは洗練に欠け、ターボエンジンにはもっとリニアな感覚が欲しい。しかし、このクルマは眠っているように見える巨人が手掛けた、肥大したホットハッチにおける勇敢で魅力的な最初の試みなのだ。
日産リーフ
内燃機関のライバルに脅威を
この日産のEVハッチバックはすでにしてゲームチェンジャーだ。2010年の発売以来、30万台以上が販売されている。他のゼロ・エミッションのライバルたちは、手ごろな価格で航続距離と使い勝手をうまくバランスさせることに成功していない。最近ではだんだんと近づいてはきたが。
この第2世代のモデルが日産に素晴らしい業績をもたらした理由はここにある。このクルマでリーフはあっという間に自称ライバルたちのトップに返り咲いた。航続距離は1.5倍、パワーは4割増し、トルクは25%増えた。さらにトリム・レベルにもよるが、クルマの価格は実際1500ポンド(22万円)ほど下がっているのだ。政府の補助金を使うと価格は2万2790ポンド(335万円)からとなる。
しかし2代目には数字以上の良さがある。日産はボディを強固にし、ロールを抑え、ステアリングをクイックかつ以前より自然な重さにして、リーフのドライバビリティを改善した。これは燃費を理由に電気自動車を購入する多くのひとたちにも重要だ。またこの改良で、リーフのダイナミック性能は取って代わろうとしている内燃機関の高性能ハッチバックにより近づいた。
もちろん、リーフからの過去最大の脅威に晒されているのは、これら内燃機関のライバルたちである。買い替えを考えている顧客の背中をこれほど強く押す電気自動車はほかにない。もちろんこの価格帯では皆無だ。
われわれの試験では、新しい40kWhのバッテリーのおかげで、実際の航続距離はクラストップの270kmだった。本当の「ワンペダル」ドライブを実現するeペダルのような回生ブレーキの新技術も導入された。またプロパイロットと呼ぶ機能により、単一レーン走行中は自動運転も可能だ。
しかし、第2世代のリーフが非常に魅力的な購買対象であるのは、実際の航続距離の長さと価格の安さが理由である。走行距離が大したことない大多数の英国人ドライバーにとって、内燃機関にこだわる理由はここ数年で徐々に減っているばかりか、全くなくなってしまったと気づくひとも多いだろう。
ジャガーI-PACE
伝統的ジャガークオリティのEV
もしあなたがこれぞゲームチェンジャーというクルマをお探しなら、この新型I-PACEがそれである。ジャガーは70年にわたり、伝統的に快音を発するエンジンを搭載した背の低いセダンを作り続けてきた。長いボンネットでないと収まらない、エレガントなカムカバーを被せたエンジンだ。
そのジャガーが、ショートノーズで、見た目よりキャビンも広く、おきて破りのモーター駆動によりまったく音を出さない純粋な電気自動車を発売したのだ。
しかしちょっと待ってほしい。このクルマには伝統的ジャガー・クオリティが確かに存在するのだ。背が高い紛うことなきSUVであるが、他車と違って本当に美しい。パフォーマンスも驚愕すべき水準で、0-97km/h加速は4.5秒、最高速度は201km/hだ。航続距離は十分長く(現実的には390km)、新しい充電ポイントを見つけなければという心配もない。
このクルマは驚くほど俊敏で、グリップも素晴らしく、運転すれば紛れもなくジャガーである。注文を付けるとすれば、英国の酷い道での乗り心地の改善だが、他の点ではこの最新鋭のジャガーは本当に素晴らしい出来なので、われわれはとても楽観している。
イノベーション・アワード:ウエストフィールド
バッテリー駆動の自動運転ポッドを開発
1950年代スタイルの組立自動車で有名な会社にイノベーション・アワードを贈呈するとは、と怒り出す人もいるかもしれない。しかしウエストフィールド以外にはありえないのだ。
ウエストフィールドのスポーツカーは、市販車の中で最も軽く運転の楽しみに特化したクルマだ。一方、新しいバッテリー駆動の自動運転ポッドは、車輪が4つであること以外、スポーツ250のようなクルマとはおよそかけ離れている。ウエストフィールド・オートノマス・ビークルという子会社が設計・製作した6座のポッドは、混雑した市街地、大学のキャンパス、ビジネスパーク、空港やショッピングセンターで使われることを想定しており、既に800万km以上の実走行試験をこなしている。
ウエスト・ミッドランズは2018年に1台15万ポンド(2200万円)の自動走行シャトルを100台調達する予定だ。需要にこたえるため、昨年ウエストフィールドは社員を2倍に増やした。
ウエストフィールドは、新種のスポーツカーとそれに搭載するハイブリッドと電動のパワートレインも開発中だ。今年後半に生産が始まる予定のライトウエイト・クーペとロードスターにはGTMのバッジがつく。価格は3万ポンド(440万円)程度で、従来の内燃機関エンジン、小型軽量のヴァンケル・ロータリー・エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド、または純粋なEVという3種類のパワートレインが選択可能だ。
ウエストフィールドが進める両極端のベンチャー事業は、やがていつの日かひとつに交わるだろう。社長のジュリアン・ターナーは、GTMスポーツカーが完全自動運転の機能も備えるときがやってくると思っている。ふたりのユーザーの間を自動で行き来するのではないかと考えている。
ウエストフィールドは、絶望的に時代遅れのクルマで後ろ向きのビジネスを行う会社ではまったくない。とても輝かしい未来をもった最先端の企業なのだ。
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