昨年の東京モーターショーを始め、大阪/東京モーターサイクルショーにも出展されて観客から熱い視線を集めていた新型ゴールドウィング。17年ぶりのフルモデルチェンジとなったこの注目車に試乗する機会を得た。(PHOTO&REPORT:近田茂)
Gold Wing Tour……2,959,200円
ドゥカティ、2020年にフロントおよびリヤ・レーダーの安全装置を搭載!!
Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission〈AIRBAG〉……3,315,600円
Gold Wing……2,732,400円
日本の「ホンダ」というメーカーの偉大さをつくづく思い知らされる。なぜならスーパーカブが世界市場を席巻する一方で、プレミアムな居住性で頂点を極めたゴールドウィングが、アメリカ市場を筆頭に大きな市場を開拓した。事実アメリカではリタイヤ世代の夫婦がゴールドウィングで旅をする姿が成功した者の証として一種のステータスになっており、まさに憧れの存在なのだ。片や庶民向け、一方はリッチなユーザー層という、両極端の市場で支持を集め、さらに近年ではビジネスジェットでも躍進する、その企業力には心底感心させられる。
さて本題に戻ろう。今回の主役は17年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型ゴールドウィング。試乗車は“ツアー”の7 速DCT 仕様である。
同社4 輪のレジェンドを思わせる光学レンズ10眼のLED ヘッドライトとシグネチャーランプは斬新かつ精悍なフロントマスクを魅せる。全体のフォルムはシェイプされた印象で、親しみやすさを覚える。実際41kgの軽量化と、全長55mmのダウンサイジングを達成。身長170cm、大柄とは言えない記者にとっては、とてもありがたい進化だ。
これに加えて、ウォーキングスピードモード(微速前後進機能)が追加され、車庫からの出し入れに押し引きする力が不要になる。モーターではなくエンジンを動力に活用おり、動き出しやギャップの乗り越えも挙動が優しい。巧みに制御されているのでとても扱いやすかった。
他にもスマートフォンと連携するApple Carplay にも対応するなど、まるで自動車のような最新機能の充実ぶりに、驚かされるばかりである。
今回のもう一つの見どころが、フロントに採用されたダブルウィッシュボーンサスペンションである。ステアリング軸もろとも懸架される方式で、ライダーが操作するハンドルバーからは2 本のタイロッドを介してステアリングを操舵する。サスペンションの作動特性とフロントフォークの剛性確保に優れるお題目は理解していたが、果たしてどうだろうか……。
それは荒れた路面で明確な差を体感することができた。非常に優れた乗り心地を発揮してくれたのである。従来型とはバネ下の動きが異なり、前輪は実に小気味よく上下に動いているが、その暴れは車体には伝わってこない。決してフワついたソフトな感触ではなく、衝撃吸収性が格段に進化しているのがわかる。片支持プロリンク式リヤサスペンションの作動特性も良く、大きなギャップでの突き上げ感が緩和されていた。後席にも優しい乗り味になっている。今回、試すことはできなかったが、おそらくアウトバーンレベルでの直進安定性にも大きな進化が期待でき、長距離高速クルーズでも安心感が伴い快適で疲れ知らずの旅を提供してくれることは確かだ。
あえて欲を言うならば、標準装備のクルーズコントロールに前車追従機能も追加して欲しかった。もし採用されれば、またひとつ世界初のエポックになったのに惜しいと思った。ホンダさんのことだから、今後の商品力向上に期待したい。
そしてもう一つ、走行中に気づいた点があった。極低速域での操縦安定性がいまいち把握しづらく、扱いにくい印象を受けたのだ。これは素直なインプレとしてクリアに書かせていただいたが、実は後日談があって、割と単純な整備ミスが発覚。詳細は割愛するが、タイロッドを採用した新しい操舵系には、今までとは違った整備要件があるのだという。設計ミスで無かったことに胸を撫で下ろした次第である。
注目のDCT はギヤリングが従来よりも高められ(6 速MTも)、なおかつクロスした7 速化で変速制御がスムーズ。手動操作もできるがそれは無用と思えるほど自動変速にお任せのままで気持ちよく走れた。6 速2000rpm当たりで7 速トップへ入る。その時の速度は80km/hエンジン回転数は1700rpmに過ぎない。その悠然たるゴージャスな乗り味は、まさしくゴールドウィングならでは。その乗り味は感涙ものであった。
リビング気分のタンデソファー!
「まずは前のシートに跨ってからタンデムステップの上に両足で立って、そのまま後ろのシートに移動すると座りやすいですよ」とホンダ・ゴールドウイングの技術スタッフさん。
乗り降り慣れが必要ですが、大きな背もたれにどっかりと身を預けてみれば座り心地は抜群。ソファーのような安定感に包まれて、まるで自宅でくつろいでいるようなリラックスできる気分でした。 バイクや前のライダーにしがみつく必要がないので、オートバイに慣れていない人にもお勧めです。
誰もが安心してタンデムシートでの旅を楽しむことができると思いますよ。あまりに快適なのでうっかり寝てしまわないよう気をつけてくださいね(笑)
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