先代と比べ大変身を遂げた現行クラウン。2年の時を経て、もう間もなくラストのクラウンエステートが登場する。待ち望んだクラウンシリーズが全て出揃うということで非常に楽しみだ。そこで今回は、今出ている3つのクラウンのクルマとしての出来を評価していこう。
※本稿は2024年9月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
[クラウンシリーズ]出揃いまであとちょっと! 今こそ知りたい現行クラウンの違いって?
【画像ギャラリー】現行クラウン一気見! 写真からその違いを体感せよ(24枚)
■既出3種のクラウンを評価する
それぞれのモデルに明確な得手不得手が見えてくる
クラウンクロスオーバーは「セダンからSUVへ」という新旧クラウンの架け橋として最初に発売された。したがって外観はSUVだが、ボディはセダンスタイルだ。リアゲートを備えた一般的なSUVに比べると、荷物の収納はしにくいが、後席とトランクスペースの間には骨格があってボディ剛性は高い。
後輪駆動の先代クラウンセダンと同等の小回り性能を得るために後輪操舵も備わり、走行安定性も優れている。それでも全長は約5mと長く、街中では少々運転しにくい。
セダンとSUVの中間的な存在だから、セダンとしてはフォーマルな雰囲気が乏しく、SUVとしては前述のとおり荷室の実用性がいま一歩だ。デザインや機能が中途半端だが、2024年1~6月の1カ月平均登録台数は約1600台だから販売は堅調だ。
クラウンスポーツは、リアゲートを備えたSUVの典型で、荷室も使いやすい。全長とホイールベースが短く、街中でも運転しやすい。後席の足元空間はクラウンクロスオーバーよりも少し狭いが窮屈ではない。
足まわりは少し硬めで運転感覚はスポーティだから、2.5Lハイブリッドは若干パワー不足だ。プラグインハイブリッドは動力性能も高いが価格も765万円に達する。クラウンクロスオーバーRSと同様の2.4Lターボハイブリッドを選べると嬉しい。
セダンはクラウンで唯一、従来と同様の後輪駆動で、外観はファストバック風だがフォーマルな雰囲気を感じる。3mのホイールベースによって後席の足元も広く、乗り心地はクラウンシリーズの中で最も快適だ。パワーユニットは燃料電池車に力を入れた。
価格は830万円だが、約136万円の補助金額を差し引くと、実質価格はハイブリッドよりも約36万円安い。MIRAIと比べても買い得だ。
このようにクラウンシリーズの車種構成は多彩。クラウンの主役は今後登場するエステートだが、現在の3車種も存在感を発揮するだろう。
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