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スカイラインよ、どこへゆく 超名門ブランドの現在地

掲載 更新 53
スカイラインよ、どこへゆく 超名門ブランドの現在地

 スカイラインがなぜ売れなくなったのか? という議論は、これまでいくつもの記事でされてきた。もう議論し尽くされた、と言ってもいいだろう。

 もちろんスカイラインの過去を理解することは大切だし、日産の情けない現状には愚痴も言いたくなるものだが、スカイラインファン、日産の自動車ファンにとって必要なのは、「これからのスカイラインはどうなっていくべきなのか?」という議論だと思う。

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 本記事では、いまスカイラインが直面する課題とは何か、そして、次期型以降のスカイラインはどうなっていくべきか、考察していく。

文:吉川賢一/写真:NISSAN

【画像ギャラリー】日本が誇る超名門ブランド スカイラインの歴代モデルを写真で振り返る

ニッサンのスカイラインが戻ってきた!

 2013年9月に登場した、通算13代目となるV37型スカイライン。現在は2019年7月にマイナーチェンジを受けたモデルが販売されており、日産バッヂへと戻されてテールランプが丸目4灯に見える造形へと変更、また「Vモーショングリル」が採用されたことで、「ニッサンのスカイラインが戻ってきた!」と話題になった。

マイナーチェンジで日産フェイスになったV37型スカイライン

 当初は、2.0リッターのメルセデス製ガソリンターボエンジンと、日産製の3.5リッターハイブリッドの2本であったが、マイナーチェンジで、306psを発生する日産製の3.0リッターV6ツインターボを採用(同時にメルセデス製エンジンを廃止)。また405PSの3.0リッターV6ツインターボを積んだ400Rもラインアップした。

 最大のトピックは、ハイブリッドモデルに、高速道路上での手放し運転を可能とする「プロパイロット2.0」を搭載したことだ。

 ほぼ一年がたった現在でも、プロパイロット2.0を搭載する日産車は、これ以外に登場していない。おそらく、やらないのではなくて、開発に相当な労力と時間が必要なのであろう。それほどに高度なシステムだ(つまりコストも高い)。

技術の最大のポイントはプロパイロット2.0だ

 シャシーに関しては、DAS(ダイレクトアダプティブステアリング)が標準装備となり、インテリジェントダイナミックサスペンション(電子制御ショップアブソーバー)がV6ターボのタイプSPグレードにメーカーオプション、400Rには標準装備、といったところが大きなトピックだ。

どういう方向へ進化すべきか?

 現行型スカイラインの魅力は、不快な振動がなく、手応えもしっかりとした極上のステアリングフィールだ。

 DASによる切れ味や安定感は、素晴らしい仕上がりで、わずかなステアリングの操舵で、大小のコーナーをすいすいと駆け抜け、高速走行では怒涛の直進性を誇り、それでいて、キックバックや不快なステアリング振動がない。とはいえ手応えもしっかりとあり、補舵力は軽く疲れにくい。これだけでも価値がある。

DASによるハンドリングのすっきりした印象は、海外メーカーのセダンでも味わえない、V37スカイラインだけの魅力だ

 また、静かで速いパワートレインも魅力だ。マイチェン前から、スカイラインハイブリッドは、回転の滑らかさと加速の力強さで、評判が高いパワートレインだった。改めて乗ってもその良い印象は変わらず、「静かで速い」を具現化した、理想のパワートレインだ。

 V6ツインターボのエンジンもまた、魅力的だ。なめらかにふけ上がるエンジンは、どこまでも加速したくなる「高揚感」をもたらし、走りたくなる気持ちにさせてくれる。時代に逆行するようだが、クルマの魅力はやはりエンジンがあってこそだと感じる。

V6ツインターボエンジンのフィーリングも抜群に良いが、燃費性能はさすがに厳しい

 しかし、目をつぶれないのが燃費の悪さだ。スカイラインハイブリッドの燃費は14.4km/L(2WD JC08モード)、V6ツインターボは10.0km/h(WLTC燃費)だ。3.0リッター超えにしてはマシだと思うかもしれない。しかし、日本で新車購入できる欧州Dセグメントのカタログ燃費(※排気量が大きなモデルを選定)を見てほしい。

メルセデスベンツ C200(2.0リッターガソリンターボ) 12.9km/L(WLTCモード)
BMW 330i(2.0リットターガソリンターボ) 13.2km/L(WLTCモード)
アウディA4 45TFSI(2.0リッターガソリンターボ) 15.5km/L(JC08モード)
※JC08モードとWLTCモードが混在している点はご容赦いただきたい。

 ここから言えることは、Dセグメントで3.0リッター級のエンジンは既に国内では販売していない点、そしてスカイラインはハイブリッドでさえライバルのベーシックカーに燃費で負けている点だ。

 3.0リッター級のエンジンと2リッターを比べて燃費が悪いのは当然だ。しかしライバルの売れ筋ベーシックカーはみなダウンサイジング化をして、パフォーマンスと燃費の両立をしている。

 また、パフォーマンス優先のモデルは「大振り」し、400psを超える超高性能ハイパフォーマンス専用モデルとして別モノ扱いしている。AMG C63SやBMW M3、アウディRS4、などだ。400Rは今回のみのスペシャルな企画だったのかもしれないが、この道を残すのがいいのではないか、と思う。

スカイラインが生き残る道はこれしかない

 小型車にはe-POWERという武器が使える日産だが、ミドルクラス以上に使える低燃費の量産パワートレインがない、という点が、日産スカイラインを苦しめている目下の課題だ。

 インフィニティQ50やアルティマに搭載されているVCターボエンジンも、2.0リッターターボで272ps/39.8kgmとパフォーマンスは既存の3.5リッターエンジン並に十分だが、燃費は米国表示でシティモードが10.2km/L、ハイウェイモードが13.2km/L(※インフィニティQ50の数値)と、ずば抜けていいわけではない。

 ではどうするのか? 筆者の個人的な意見は「全グレード電動化」だ。

 エントリーグレードは、新たな小型エンジンを発電機とするe-POWER化を行い、燃費優先した廉価版とする。そしてミドルグレード以上にはプラグインハイブリッドがいいだろう。アリアのように電動AWD化も考えられる。つまり、世界のライバルに追従するエリートへと進化をさせるべきだ、と筆者は考える。

 そして、その流れとは別に、ファンが心から望み、日産が作りたい、ガソリンターボエンジンのスポーツバージョンを用意するシナリオはどうだろうか。つまり、「スカイラインGT-R」の復活だ。

4WDのスカイラインを打ち出して、スカイラインGT-FOURという名称のスポーツセダンはどうだろうか

 このシナリオは、日本人のスカイラインファンが望む道ではないだろう。しかしながら、R32からR34あたりに栄えた、廉価でコンパクトな後輪駆動のスカイラインは、当時の時代背景があったからこそできたことだ。現代においてそれが通じないのは、ファンの皆さんにもご理解いただけるであろう。

 ドメスティックカーとして細々と生き残るか? 世界と戦えるエリートへ進化させるか? 筆者は後者こそが、スカイラインが生き残る道だと信じている。

【画像ギャラリー】日本が誇る超名門ブランド スカイラインの歴代モデルを写真で振り返る

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みんなのコメント

53件
  • 400Rとしてスカイラインに走りが戻って良かったと思う人達がいるのに、燃費が悪いと突っ込むこのライターは何様?
    走りには拘って改良したのに燃費に文句言うなよ!パフォーマンスと燃費が釣り合わないとダメなのか?
    それなら歴代のスカイラインは燃費悪くてどれもダメだろ?
  • スカイラインとして作ってない車にネームバリューで売ろうとスカイラインと名付けた感
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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