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弟分なのに居住性は下剋上! 同門SUVのホンダ「ZR-V」と「ヴェゼル」の室内をガチ比較した

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弟分なのに居住性は下剋上! 同門SUVのホンダ「ZR-V」と「ヴェゼル」の室内をガチ比較した

 この記事をまとめると

■ホンダのSUV「ZR-V」と「ヴェゼル」の居住性や使い勝手を比較

探したけれど「ガチライバル」不在! 低全高の本格SUVは「スバル新型クロストレック」が独占状態だった

■ ZR-Vはシビックをベースとしてるのが特徴だ

■ラゲッジの広さは ZR-V、居住性ではヴェゼルが1枚上手と言えそうだ

 ホンダのミッドレンジSUV「ZR-V」の使い勝手をチェック

 2023年4月21日、いよいよホンダの新型SUV、ZR-Vが正式に発売を開始した。ZR-Vはヴェゼルと、日本市場では販売が終了したCR-V(海外では新型が登場)の中間に位置するSUVであり、日本国内では事実上のCR-Vの後継車で、北米や中国などでも現地生産で売られるグローバルに展開するSUVである。ちなみに北米などではHR-Vのネーミングで売られているという。

 ZR-Vのプラットフォーム、パワーユニットは基本的に自動車専門家の間でも大好評の11代目シビックがベースだ。ボディサイズは全長4570×全幅1840×全高1620mm。ホイールベース2655mm。そのエクステリアデザインは、最近のホンダ車ではヴェゼル以来の「カッコ良さ」を備えていると思える。とくにフロントマスクはマセラティに似ている……なんていわれもするが、カッコよく、全体のバランスのなかに溶け込んでいればそれでいい。

 タイヤも大径225/55R18サイズが奢られ、しかも筆者も愛車に履いていて大満足しているヨコハマタイヤ史上もっとも静かに走る……いうハイパフォーマンスコンフォートタイヤのアドバンdB V552のサマータイヤを履いているのだから頼もしい。

 パワーユニットは3リッターV6並みの加速とホンダが謳う2リッターエンジン+2モーターのe:HEV(エンジン141馬力、モーター184馬力)、および1.5リッターガソリンターボ(178馬力)が揃い、ともにFFと4WDの選択が可能だ。

 さて、ここではそんな新型ZR-Vと、大好評のヴェゼル、そしてCR-Vのパッケージ、室内空間やラゲッジルームの広さ、使い勝手について比較してみたい。こうしたクルマはアウトドアなどにも重宝されることから、ラゲッジルームの積載性はとくに気になるところでもあるからだ。

 このクラスになれば後席もゆったり。家族や仲間3~5人で乗車する機会もあるはず。そこでまずは後席の居住性を比較してみたい。身長172cmの筆者がドライビングポジションを決めた背後に座ったとすると……、ZR-Vは頭上に130mm、膝まわりに245mmのゆったりとしたスペースが確保されている。CR-Vはさすがに頭上に140mm、膝まわりに280mmもの余裕があった。

 ヴェゼルはどうかといえば、頭上に115mmと、高さ方向ではやや不利。しかし、膝まわり空間はなんとZR-Vをしのぐ、CR-V同等の290mmものスペースがあるのだ。

 1クラス下のヴェゼルの方が居住性がいい!?

 フィットベースのヴェゼルが、ひとまわり大きいシビックベースのZR-Vより後席膝まわり空間が広いのはこれいかに!? と思うだろう。じつはこれにはカラクリがある。つまり、ヴェゼルはラゲッジルームより後席居住空間優先、ZR-Vはより本格なSUVとしてラゲッジルーム優先のパッケージングに仕立てているということだろう。

 それは、ラゲッジルームの容量、寸法を見れば一目瞭然だ。ラゲッジルームの各部寸法は、ZR-Vがフロア奥行880mm、幅1020~1300mm、最低天井高745mmに対して、ヴェゼルは同755mm、1010mm~、780mmと、とくに積載力にかかわる奥行方向が短い。

 そのせいもあって、先代ヴェゼルでは余裕で積めたゴルフバッグが、後席を倒さないと積めないラゲッジルームになっていたりする(ZR-Vは後席使用時でもゴルフバッグ3セットの積載が可能)。なお、重い荷物の出し入れにかかわるラゲッジルームの開口部フロア地上高は、ZR-V700mm、ヴェゼル690mmと、互角といっていいだろう。

 また、後席格納時の拡大したラゲッジルームのフロア奥行は、ZR-Vの1620mmに対してヴェゼルは1550mmでしかなく、車中泊のしやすさ、ベッド長でもZR-Vが有利となる(筆者のドライビングポジション基準の前席背後までの最大奥行はZR-Vが1780mm、ヴェゼルは1740mmで、どちらもフロアはほぼフラット)。

※画像はZR-Vのラゲッジ

 話を後席居住性に戻せば、後席の着座性、立ち上がり性で優位なのは一転、ヴェゼル。その理由はフロアから後席座面先端までの高さ=ヒール段差で、ここが高いほうが、ローソファと食卓の椅子でどちらが掛けやすく、立ち上がりやすいかを想像してもらえばわかるように、着座しやすく、立ち上がりやすいのだ。

 その点を比較すると、ZR-Vは295mm、ヴェゼルは340mmと、ヴェゼルは室内高の高さ(ヴェゼル1240mm、ZR-V1195mm)を生かしてヒール段差が高めに取れていて、着座性、立ち上がり性では有利ということだ。そう、偉大なる発見(!?)として室内高で45mm勝るヴェゼルは、ヒール段差でもぴったり45mm高いのである! ここもまた、後席居住性とラゲッジルームの使い勝手のどちらを優先したパッケージなのかのポイントとなる部分といっていい。

 とはいえ、ヴェゼルよりひとまわり大きいZR-Vだけに、後席に座って「狭い」なんていうことは、少なくとも筆者の身長172cmではまったく感じない……という点も、忘れずに報告しておきたい。後席にゆったり座れ、なおかつ荷物もたっぷり入るのは、間違いなくひとクラス上の、現時点でホンダSUVのフラッグシップとなるZR-Vということだ。

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