先代N-BOXが一躍人気になったことで売れ行きを伸ばした
2020年度(2020年4月から2021年3月)の軽自動車届け出台数を見ると、ホンダN-BOXが19万7900台を達成して1位になった。2位はスズキ・スペーシアで14万5319台、3位はダイハツ・タントで12万8218台だ。
N-BOXがバカ売れするほどホンダの苦悩も増加! 結局ダイハツ&スズキが勝ち組の軽自動車ビジネスの難しさ
過去を振り返るとN-BOXは、先代型を販売していた2015年/2015年度から、一貫して軽自動車の届け出台数1位であり続ける。軽自動車の販売総数では、ダイハツとスズキに次ぐ3位がホンダの定位置だが、車名別販売1位はN-BOXが守る。
なぜダイハツやスズキの軽自動車は販売1位になれないのか。背景には複数の理由がある。
まず先代N-BOXが成功したことだ。空間効率を徹底的に高め、前輪駆動の軽乗用車では最も広い室内を確保した。燃料タンクを前席の下に搭載したから車内後部の床が低く、後席を畳むと大容量の荷室になって自転車も積みやすい。
軽自動車の小さなボディと、広い車内の組み合わせには、誰もが驚かされた。後席や荷室を使わないユーザーも、購買意欲を刺激され、先代N-BOXは好調な売れ行きを達成している。
先代モデルの大ヒットにより、ホンダはN-BOXが好調に売れる自信を得たから、2代目の現行型には十分な開発費用を充当した。内外装の質を高め、前席は座り心地も上質だ。乗り心地も快適で、エンジンなどのノイズは小さい。運転支援システムは、タントやスペーシアに先駆けて採用され、すべての機能が「N-BOXで十分」と思わせる。先代型が好調に売れたから、乗り替え需要も豊富で、2017年以降は小型/普通車まで含めて国内販売の総合1位になった。
N-BOXが好調な理由として、ほかの軽自動車の伸び悩みもある。もっともわかりやすいのは、N-BOXのライバル車となるタントの動向だ。先代タントは2013年に発売され、2014年度には21万4867台を届け出して、軽自動車の販売1位になった。この時に先代N-BOXの届け出台数は18万8922台だから、軽自動車の2位であった。
国内におけるホンダ車全体がダウンサイジングしていった
しかし現行タントは、2019年に発売されて2020年度は前述の12万8218台だ。新旧タントの届け出台数を発売の翌年度同士で比べると、現行型は先代型の60%しか売れていない。現行タントは先代型に比べると、走行安定性や後席の座り心地を向上させて、シートアレンジも高機能だ。商品力は向上したが、話題性が乏しく売れ行きも伸び悩む。スペーシアも含めて、ライバル車はN-BOXに太刀打ちできない。
さらにいえば同じホンダのN-WGNも低調だ。2020年度の届け出台数は6万1421台だから、N-BOXの31%に留まる。N-WGNも後席が広く、荷室はボードによって棚状に活用できる。車間距離を自動制御できるアダプティブ・クルーズコントロールは、N-BOXでは時速25kmを下まわると解除されるが、N-WGNは停車するまで制御を続ける。価格はN-BOXよりも20万円ほど安い。
このようにN-WGNの商品力はN-BOXと同様に高いが、人気ではおされてしまう。スズキの販売店では以下のように説明した。「ワゴンRの競争相手になるホンダ車は、機能や価格を考えるとN-WGNだが、お客様が比べるのはN-BOXだ。ハスラーなども含めて、どの軽自動車でもN-BOXと競争する」。
そして最近は、安全装備や運転支援機能の採用、消費増税などによってクルマの価格が高まった。2001年に発売された2代目ステップワゴンのDの価格は196万円だったが、2005年の3代目G・Lパッケージは217万3500円だ。2009年の4代目G・Lパッケージは225万7000円になり、2015年に発売された現行型のGは、発売時点で248万円だった。改良を受けた2021年式Gホンダセンシングは271万4800円だから、約20年間でステップワゴンの価格は1.3~1.4倍に上昇した。
その一方で平均所得は1990年代の後半をピークに下がり、今でも20年前の水準に戻っていない。クルマが値上げされて所得が減れば、新車に乗り替える時は従来よりも小さな車種を選ぶ。その結果、ステップワゴンからフリード、さらにN-BOXへというダウンサイジングの流れが生まれた。
ダイハツやスズキには、ダウンサイジングの母体になる小型/普通車は少ないが、ホンダは豊富だ。つまりN-BOXはホンダのダウンサイジング需要にも支えられて好調に売れている。
この影響でN-BOXが売れ行きを伸ばすほど、ホンダの小型/普通車は登録台数を下げる。2020年度に国内で新車販売されたホンダ車のうち、N-BOXが32%を占めた。ホンダのブランドイメージも変わり、かつてはスポーティカーが中心だったが、今は小さなクルマのメーカーになった。その結果、軽自動車の届け出台数にフィットとフリードの登録台数を加えると、2020年度に国内で売られたホンダ車の81%に達する。N-BOXの高人気を発端に、国内におけるホンダ車全体がダウンサイジングした。
この販売動向はホンダにとって喜ばしいことではなく、最近は決算期に実施する残価設定ローンの低金利やディーラーオプションプレゼントから、N-BOXをはずすようになった。商品が好調に売れるのは好ましいことだが、売れすぎてコントロールが利かなくなると、ほかの車種に悪影響を与えてしまう。その典型がN-BOXだ。昨今指摘されている生態系の変化に似たところがある。
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みんなのコメント
ぜんぜん違う。もともとN360とかシビックとかスーパーカブが中心でしょ。