新型ランクル250が発表されたが、30年以上も続いたプラドの歴史が幕を閉じることに。まさかの事態だが、これファンは納得できるのか!? 実際販売現場はどういうことになってるんだ!?
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部
新型ランクル250爆誕もプラドブランド終焉……トヨタ大胆作戦にユーザーは納得してる!?
■30年の歴史に幕!! 国内のランクルはすべて数字で判別へ
2009年デビューながら先進装備も充実!! ただ未だ超高値をキープしているが、逆に言えばそれだけリセールがいいという裏付けでもあるのだ~
プラドの名が生まれたのは、1990年のこと。プラドは英語で「広々とした」、ポルトガル語では「平原」という意味だ。
ランドクルーザーシリーズの中で比較的ライトな車種とされ、平原を走る広さにゆとりのあるクルマという位置づけが、名前の通り行われた。
その後、現行型の4代目までプラドのサブネームは使われ続ける。日本では、J150型ランドクルーザーを「ランクル」と呼ぶ人は少なく、オーナーを含め多くの人が「プラド」と呼んできた。
プラドは本家ランクル(100・200・300シリーズ)の弟分を示すワードとなってしまう。
加えて、ランクルよりも買いやすく、ランクルよりも市街地で乗りやすい。プラドという名前には、こうしたイメージも付くようになった。
本家ランドクルーザーに匹敵するオフロード走行性能があるにもかかわらず、名前だけで都市型SUVに見られることもある。
本気で作ってきた小さなランクルが、ランクルとして扱われないのは開発陣としても寂しいところだろう。
ランドクルーザーは300もプラドも70でも、全部ランドクルーザーである。これを伝えるために、ランドクルーザーファミリーは、すべて数字で区別するという方式に変わったはずだ。
「ランドクルーザー250はプラドの後継車ではあるが、プラドではない。」開発陣が語ったこの言葉の意味は、非常に深く、プラドと言う名との葛藤を表しているようにも思う。
■プラド≠250!! でも販売現場は名称継続か!?
新型ランクル250は丸目と角目をラインアップ。購入後に角目→丸目など交換も可能とカスタム心を鷲塚む仕様なのも◎
販売現場をみていると、「プラド変わったんだって?」「プラドが250ってなったんだよね」と、プラド=ランクル250というイメージが強く残っていることがわかる。
プラド≠ランクル250という認識には、まだまだ高い壁があるようだ。トヨタはこれまで、あらゆる車にサブネームを付けて区分けを行ってきた。
サブネームは、トヨタとユーザーの間で発展してきた、独自の文化ともいえるものだ。突如やめると言い出しても、沁みついた文化がすぐに消えることは無い。
今回、プラドという名前が消えて、ユーザーがマイナスに感じている部分は少ないが、今後もしばらくプラドという名称は販売現場で数多く耳にすることとなるだろう。
ランクルファミリー全体が、ユーザーへ深く浸透したとき、はじめてプラドの名前が消え、ランクル250という存在が大きく目立っていくはずだ。ランクル250という存在に対しては、まだ受け止め半分、異論半分という雰囲気を感じる。
■名称浸透は販売戦略がカギ!? レクサス流の売り方が得策か?
70も久々に復活し、国内は300と250の3種に!!
レクサスのラインナップは「S」(セダン)「X」(SUV)「C」(クーペ)を車名に刻み、カテゴリーごとにファミリー化されている。
レクサスのセールスコンサルタントは、各ファミリーを階層別に仕訳けており、来店したユーザーが、どの階層のクルマを希望しているのか、どの階層なら合いそうなのかを考えるのだ。
端的に言ってしまえば、LSを求めてきたユーザーに対して、話を聞きながらESが合いそうだなと思えば、迷わずESを薦めるということ。
とくに、RX・NX・UXのSUV群では、当初の希望車種と最終的な契約車両が異なるケースはよくあることだ。
今後ランドクルーザーシリーズを販売する際には、元来続くトヨタの売り方ではなく、レクサス流の販売方法が合うのではないかと筆者は考える。
営業マンは300を希望するユーザーの話を聞いていて、これは250の方がいいなと感じたら、250を推すべき。
そういうつもりでメーカーは250を300に負けない仕様で生み出していると思うし、70から250へ推しを変えるケースも想定されているだろう。
日本市場において、ランクル250がプラド名を捨て去り、ランドクルーザーファミリーの一員になれるかどうかは、今後の売り方次第だ。
300・250・70のランドクルーザー群を一つの塊として考え、提案しながら販売することができれば、ランドクルーザーファミリーの認知度は高まり、ランクル250の名も広がる。
ユーザーは現時点でランクル250という名称に心から納得しているとは思えない。プラドという強大なイメージを消し、ランクル250という存在を世に知らしめるには、今後の販売戦略がカギを握ることになるだろう。
約1年後、トヨタディーラーで「プラド」ではなく、「250」という名前が飛び交っていれば、メーカーの方針にユーザーも納得したと言えるはずだ。
今後、販売方法を含めランクル250をどのように浸透させていくのか。販売のトヨタの腕の見せ所はここからだ。
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