アラフィフの筆者が免許証を取得した昭和の終わりから平成の初期は1.5~1.6Lエンジンを搭載したスポーツモデルが多く存在し、当時の多くの若者がファーストカーとして中古車を購入していた。
トヨタAE86型カローラレビン/スプリンタートレノをはじめ、トヨタカローラFX、日産パルサー/サニー、ホンダシビック/CR-X、マツダファミリア、三菱ミラージュと選び放題だった。
新型レクサスNXデビュー直前! 現行NXの中古が過去最高の下落で今が狙い目!!!
しかし時は流れて現在ではこういったモデルの多くは姿を消していて、国産中古スポーツカー相場は高騰している。そんな寂しい時代の若者たちにとって救世主的な存在がスズキスイフトスポーツだ。
安くて、速くて、そしてイジれるという、まさに三拍子揃ったスポーツモデルで、若者から元若者まで幅広い層に人気を誇っている。その証として、どの世代のスイフトスポーツの中古車もAT(CVT)よりMT車のほうが流通台数は多いのだ。
そこで、今回はホットハッチとして高い人気を誇っているスイフトスポーツの先代型、現行型の流通台数や相場などを検証し、どちらが買いなのか? を検証する。
文/萩原文博
写真/SUZIKI、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】クルマ好きの味方! 先代型と現行型のスイフトをチェック!
■先代型スイスポは2011年に登場
まずは、簡単にスイフトスポーツの車種紹介をしよう。まずは通算3代目となる先代型モデルからだ。先代型のスイフトスポーツは、2011年11月~2017年8月まで販売された。
先々代モデルの正常進化版として登場した先代スイフトスポーツ
ボディ骨格に高張力鋼板を使用し、旋回時の安定性を高めた専用設計のリアサスペンションと、大径化したストラットにリバウンドスプリングを内蔵したフロントサスペンションを採用することにより、操舵に対するリアの追従性を向上させている。
さらにスポーティな走行に特化した減衰特性としたモンローのショックアブソーバーを採用している。
搭載するエンジンは最高出力136ps、最大トルク160Nmを発生する1.6L直列4気筒DOHCで、可変吸気システムの採用や吸気VVT制御の最適化、冷却システムの改善など専用チューニングを施している。
先代型に搭載される1.6L直4エンジン。数値はそこまで目を見張るものではないが、クロスしたミッションと合わせ鋭い吹け上がりが楽しめる
トランスミッションには新開発の6速MTとパドルシフト付7速マニュアルモードを採用したCVTを搭載。6速MTは加速性能と燃費性能を両立させるため、2~5速ギアをクロスレシオとしている。
黒を基調としたインテリアにはレッドステッチを施し、精悍さをアップ。そしてスポーツ走行時などに体をしっかりと支えてくれる専用のスポーツシートをフロントに採用している。モデルライフのなかで目立った変更はボディカラーの入替程度となっている。
先代型の内装。内装色は黒を基調としていて、レッドステッチを施し精悍さをアップ。さらに専用のスポーツシートをフロントに採用
■現行型は2017年から
現行型スイフトスポーツはついにボディの大きさが3ナンバーサイズとなった
続いては、2017年9月から販売されている現行型スイフトスポーツ。クルマの骨格にあたるプラットフォームに「ハーテクト」と呼ばれる高剛性、軽量化を両立した新プラットフォームを採用。さらに全幅1735mmの3ナンバーサイズとすることで、トレッド幅を拡大して直進安定性と旋回性能を向上させている。
また、外観デザインでは空力パーツの導入によって揚力と空気抵抗の低減を高レベルで実現し、先代モデル比で約10%も空気抵抗を低減している。
搭載するエンジンは最高出力140ps、最大トルク230Nmを発生する1.4L直列4気筒直噴ターボ。点火制御とターボ過給圧制御をチューニングし、アクセル操作に対する反応を高めて、過給応答性を向上させていて、幅広い回転域でターボラグのない鋭い加速を実現している。
現行型 1.4L直列4気筒ターボは最高出力140psを発生。最高出力を抑え目にすることで、ターボエンジンとしては良好な応答性を得た
組み合わされるトランスミッションは6速MTと6速AT。6速MTは先代と同じ2~5速をクロスレシオ化した同じギア比を採用。一方の6速ATは最適なギア比を設定し、鋭い加速を得られるようになっている。
サスペンションにはスポーティな走行に特化した減衰特性のモンローのショックアブソーバーを採用。さらに専用スタビライザーやブッシュ類の採用によってロール剛性を最適化している。
そして、運転支援システムがパッケージしたセーフティパッケージを設定。衝突被害軽減システム「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、アダプティブクルーズコントロールなど最新の運転支援システムが採用されている。
現行型の内装。カラーは先代のようなブラック基調だが、赤いアクセントカラーがより強調されていて、より今風になった
2020年5月の一部改良で、後退時の安全装備を充実させ、安全性を向上させている。それでは、現行型と旧型のスイフトスポーツの中古車事情を見てみよう。
■先代型の中古車事情
現在、先代型スイフトスポーツの中古車は約378台流通していて、そのうちMT車は約78.8%の約298台を占めている。価格帯は約35.5万~約164万円となっている。
先代型スイフトスポーツMT車の中古車の年式による分布を見てみると2012年が約124台で最も多く、2013年の約60台、2014年の約45台と、年を追うごとに少なくなっていく。スポーツモデルなので、年式よりもコンディション重視で選びたいところ。
先代型スイフトスポーツ。決して速くはないが、適度にスポーティでドライビングを学ぶ教材として優秀だ
大幅な変更がモデルライフの間で行われていないので、車検サイクルのタイミングと流通台数を考えると2013年~2015年式が狙い目だ。この年式で絞っても流通台数は約140台。価格帯は約50万~約164万円となり、100万円以下のプライスを付けた中古車が約82台も流通している。
■現行型の中古車事情
一方の現行型スイフトスポーツの中古車は約386台流通していて、そのうちMT車は約72.2%の約273台を占めている。価格帯は約116万~約365万円で、MT車も同じ価格帯となっている。販売開始から4年が経過しても、現行型スイフトスポーツで100万円以下の中古車は現時点で流通していないのだ。
続いて現行型スイフトスポーツMT車の中古車の年式別の分布を見てみると、最も多いのが2018年式の約93台、続いては2020年式の約78台、そして2021年式の約52台となっている。
販売開始から4年が経過しても、現行型スイフトスポーツで100万円以下の中古車は現時点で流通していない
そのうち2020年~2021年式の中古車のほとんどが走行距離5000km以下というおろしたて中古車が多く占めている。なかには諸費用を含めた乗り出し価格が約177万円という走行距離389kmという個体も見つかる。
すなわち現行型スイフトスポーツは200万円以下でほぼ新車といえる高コンディションのクルマを手に入れることができるのだ。
最も流通台数の多い2018年式の価格帯は約125万~約289万円。修復歴なしで、走行距離5万km以下に絞ると約145万円からとなる。長く付き合うことを考えると、現行型スイフトスポーツはおろしたて中古車を狙ったほうが得策といえるのではないだろうか。
■狙い目の中古スイスポは?
先代型と現行型スイフトスポーツの中古車相場がクロスオーバーするのは100万~150万円で、流通台数は旧型が約378台、現行型が約49台となる。
搭載するエンジンが1.6L自然吸気と1.4 Lターボという違いはあるが、予算150万円以下でスイフトスポーツの中古車を狙うならば、旧型をお薦めしたい。自然吸気エンジンの鋭い吹け上がりはほかに変えがたいものもあるし、ベース車の予算を抑えて、納得いかない部分をチューニングする費用を捻出することができるからだ。
また、走行すれば燃料代もかさむ。せっかくスイフトスポーツを手に入れても燃料代も出せない……、では悲しい。したがってクルマ代、チューニング代、そして燃料代を含めてできるだけ安く抑えたいという人には旧型スイフトスポーツが狙い目だ。
チューニング代、そして燃料代を含めてできるだけ安く抑えたいという人には旧型スイフトスポーツが狙い目
走り込んで腕を磨けば、インタークーラーターボキットを装着すれば、現行型にも負けない走りが味わえるはずだ。
一方、現行型スイフトスポーツの中古車は平均価格が100万円台後半となっている。しかも200万円以下でおろしたて中古車が購入できる。現行型スイフトもどんどんチューニングパーツが開発されているので、しばらくはノーマルで乗り込んで、物足りなくなったらチューニングを施していけばいいだろう。
結論として、自然吸気エンジンのどこまでも延びていくエンジンフィールを楽しみたく、しかも予算150万円以下に抑えたいというのであれば旧型。予算180万円まで出せる! というのであれば、現行型スイフトスポーツのおろしたて中古車を狙うのが得策と言えるだろう。
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ワンクラス上のパワーでタイム狙うなら現行でしょうね。