初代や2代目に比べ、人気の伸びない3代目
執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
英国の中古車サイトを簡単に調べてみたが、フォルクスワーゲン・ゴルフの初代や2代目GTIには、依然として高値が付いている。中には2万4000ポンド(364万円)という例もあった。
一方で3代目はそうでもない。走行距離5万7900kmで、2.0L 16バルブ・エンジンのGTIに、8995ポンド(136万円)が付いていたのが最高値。日本から輸入された1台だった。英国なら、1500ポンド(23万円)前後という例も多くある。
1992年から1997年に販売されていた3代目の人気の低さは、何が原因なのだろう。ちゃんとGTIだし、30年近く前のクラシックなゴルフだ。引く手あまたの需要を得ても、良さそうに思えるのだが。
実際のところ、3代目ゴルフは極めて高評価な初代と比較され、成功作ではない後継モデルという見られ方をしてきた。増えた車重と不足気味のパワーを、当時のジャーナリストは指摘した。
モデル末期の1996年には、プジョー306 GTi-6という強力なライバルも登場。2.0L 4気筒エンジンを搭載し、最高出力167psを発揮したのに対し、ゴルフGTIは150psに留まっていた。
プジョーなら、クロスレシオの6速MTが選べた。ゴルフは一般的な5速MTだった。フォルクスワーゲンが先代の成功にあぐらをかいていたとも思えない。だが、結果的にライバルへ追い越されてしまった。
当時しのぎを削った306 GTi-6の残存台数は限定的だが、3代目ゴルフGTIなら、英国に沢山の中古車が出回っている。モダンクラシックとして、価格高騰の波にも乗ってはいない。今こそ3代目の魅力を味わう絶好の機会といえる。
今振り返れば悪くないホットハッチ
3代目ゴルフGTIの発売は1992年。初めは2.0Lの8バルブエンジンを積んでいた。最高出力は114psしかなく、0-100km/h加速も冴えない9.6秒だった。
とはいえ、アルミホイールとボディと同色のフロントグリル、ブラックのオーバーフェンダー・モール、リアスポイラー、2本出しのマフラーなどで着飾っている。充分にスポーティだ。
車内にはスポーツシートとチルト調整可能なスポーツ・ステアリングホイール、パワーウインドウを装備。リアシートは分割で倒せ、利便性も高い。ショールームでのアピール力は悪くなかったが、公道へ出ると活気不足に不満が上がった。
そこで、1993年に150psの2.0L 16バルブエンジンを投入。0-100km/h加速は8.0秒へ短縮している。
ボディには16Vという小さなエンブレムが貼られ、ルーフ後端に角のようなアンテナが追加された。トラクション・コントロールと、ブレーキの摩耗インジケーターも備わる。
1996年にはGTIの誕生20周年を記念して、アニバーサリーとカラー・コンセプトという、2種類の限定仕様を欧州向けに提供。1997年に8バルブエンジンが退役し、3代目ゴルフも4代目へ交代している。
今の英国の中古車市場で目立つのは、8バルブのGTI。16バルブの方が優れているし、選びたい3代目ゴルフではある。だが、この年式を考えると、走行距離や状態が選ぶべき基準といえる。
今後の値動きは読めない。手頃な価格のうちに、手を伸ばすのも悪くないと思う。3代目ゴルフGTIも、今振り返れば悪くないホットハッチだったと感じるだろう。
オーナーの意見を聞いてみる
アンドリュー・ファーガソン
「3代目ゴルフGTIの8バルブを数年所有しています。近年、モデルへの注目度は上昇しているようです。乾燥したガレージで大切に保管し、状態を保ち、ここぞという時以外は乗らないようにしています」
「信頼性は高いクルマですが、ここ3年間の間に、保守整備と車検更新で800ポンド(12万円)くらいは支払っています。最高出力は114psなので、スポーツカーのように速くはありません」
「3代目GTIの魅力は、動力性能ではなく、操縦性の精度や感触にあると思います。ゴルフなので、代を重ねる毎に磨きは掛けられています。インテリアはスマートですし、脆い部分もありません。年々、その良さは高まっているように感じます」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
エンジンオイルのチェックは欠かせない。フィラーキャップに、クーラントが混入して生じる乳化成分が付着していないか確かめる。
試乗する場合はエンジンが冷えた状態で始動し、温度上昇につれてタペット音が小さくなることを確認する。排気漏れにも注意。150psの16バルブエンジンでアイドリングが不安定なら、アイドル・コントロールバルブの不具合かも。
トランスミッション
ベアリングやシンクロからの異音がないか確認する。リバースに入れる際の引っかかるような手応えは、徐々に悪化する可能性がある。本来は滑らかだ。
クラッチのミートポイントを確かめる。セルフ調整のケーブルに不具合があると、摩耗が早くなる場合がある。クラッチの滑りも確かめたい。
サスペンションとブレーキ
車検整備の際、ブッシュやダンパー、スプリングなどの深刻な問題は明らかになるはず。サスペンション・ストラットは、12万8000kmくらいで交換が必要。コーナーでリアタイヤが安定しないなら、ブッシュ類の寿命かもしれない。
ブレーキはディスクとパッドの厚みを確かめる。エンジン始動後に、ABSのチェックランプが消えることを確認する。長期間乗らないでいると、ハンドブレーキが固着することは珍しくない。
ボディ
フロントガラス周辺やテールゲート、サイドシル、リアドアのヒンジまわり、フロントフェンダー、ホイールアーチ内、サスペンションのストラット取り付け部分は錆びやすい。ドアが重いため、ヒンジのたるみにも注意したい。
インテリア
すべての電装系が動くことを確かめる。パワーウインドウの動作も忘れずに。エンジン始動後、すべてのチェックランプが消灯するか、試乗時は確認したい。
英国ではいくら払うべき?
1000ポンド(15万円)~1499ポンド(21万円)
114psの8バルブ・エンジンを載せた3代目ゴルフGTIが英国では見つかるが、走行距離は長め。かなりの整備作業も必要だろう。
1500ポンド(22万円)~1999ポンド(29万円)
8バルブのGTIでも、状態は良くなってくる。整備作業が前提となる16バルブのGTIも、多少含まれてくる。
2000ポンド(30万円)~2999ポンド(44万円)
車検がそのまま通るような、状態の良い150psの3代目GTIが英国では買える。114psの、状態の良いものも選べる。
3000ポンド(45万円)~4999ポンド(75万円)
かなり状態の良い8バルブのGTIが英国では出てくる。150psでも、程度はだいぶ良くなる。
5000ポンド(76万円)以上
極上といえる150psの3代目GTIが選べる。ただし、この金額を出せばMk5のゴルフも視野に入ってくる。
知っておくべきこと
30年近く昔の3代目だからといって、部品の入手は難しくない。フォルクスワーゲン・クラシックパーツやヘリテージ・パーツセンターというサイトで、今もほぼすべての部品が入手できる。
前のオーナーが変更した部品も、市場価値や購入者の好みに合わせて変えたり、オリジナル状態に戻すことも難しくない。
英国で掘り出し物を発見
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 2.0 16V 5ドア 登録:1997年 走行:19万6300km 価格:2500ポンド(38万円)
しばらく倉庫に眠っていたゴルフGTIだが、車検は新規で取得済み。タイミングベルトと補機ベルト、ラジエター、エアコン・コンデンサー、リアウインドウのレギュレーター、プラグ、フィルター、テールライトのシールなど、新しい部品に多数交換されている。
予備のブレーキディスクも付けてくれるらしい。予備のシートも。
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みんなのコメント
5万キロでATが滑る。
今の現行車は違うんだろうが、
もう懲り懲り。