現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則467】マセラティ クアトロポルテSは4.7L V8を得て、さらに輝きを増していた

ここから本文です

【ヒットの法則467】マセラティ クアトロポルテSは4.7L V8を得て、さらに輝きを増していた

掲載 更新 1
【ヒットの法則467】マセラティ クアトロポルテSは4.7L V8を得て、さらに輝きを増していた

2008年、大成功作となった5代目マセラティ クアトロポルテに大がかりなフェイスリフトが施され、それと同時に新グレード「クアトロポルテS」が登場した。今回は、当時大きな話題となった4.7L仕様のV8エンジンを搭載するクアトロポルテSの試乗記を振り返ってみよう。この国際試乗会はオーストリア ザルツブルグで行われている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)

アグレッシブで力強いフロントマスクに
「こんなにも違うとは」。大がかりなフェイスリフトが実施された新型クアトロポルテだが、そのニューモデルを実際にこの目で見て、そして4.7Lエンジンを搭載した新グレードの「クアトロポルテS」のシートに座り、もちろんハンドルも握って、とても驚かされた。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

まず、スタイリングの印象が大きく変わり、存在感がより強まった。フロントまわりは、一新されたヘッドライトとフロントグリルなどにより、非常に現代的な表情となった。

バイキセノン式ライト、その下側にLEDを10個並べたターンインジケータ、サイドマーカー、そしてヘッドライトウオッシャーが一体化された新しいヘッドライトは、シャープで機能的なイメージを強調する。

さらに、開口部の面積が広がり、水平方向のバーに代わって垂直方向のフィンが与えられたフロントグリル、フォグランプ付きの大型化されたバンパー形状と組み合わされることによって、それまでの優美さを湛えていたフロントまわりの印象が一変して、アグレッシブで力強いフロントマスクになったと感じられた。

リアまわりでは、全面的にLEDを採用するとともに、中央にリバースランプを配置して周囲を赤いレンズで囲ったデザインへと一新されたリアコンビネーションランプにまず気がつく。そして、左右2本ずつのマフラー出口をより強くアピールするデザインに変更されたリアバンパーによって、よりスポーティでモダンなイメージが与えられた。

ドア下側には、立体的な造形のサイドモールディングが装備され、新デザインの19インチホイールとともに横からの姿を引き締めている。

さて、新型クアトロポルテで最も大きな話題は、ウエットサンプ方式の4.7L V8エンジンを搭載する「クアトロポルテS」がラインナップに追加されたことだろう。

これは、先ごろ登場したグラントゥーリズモSに搭載される4.7L仕様をベースとして、クアトロポルテ専用のオートマチック用チューニングが施されたエンジンで、最高出力は10ps引き下げられた430ps/7000rpmとなっている。

従来と同様の4.2L V8エンジン(こちらもウエットサンプ方式)を搭載する「クアトロポルテ」もラインアップされるが、ともに組み合わされるトランスミッションは6速ATのみである。ちなみにトランスアクスル方式で、自動シフト機構を備えたセミオートマチックミッションの「デュオセレクト」は、新しいクアトロポルテでは設定されない。

常用域で実感する力強さ、そしてスムーズな乗り味
クアトロポルテSの試乗は、音楽の都として有名なオーストリアのザルツブルク、そこの「ザッハホテル」からスタートした。

まずは助手席に座るが、ザルツブルク市内の石畳やそれなりに荒れた路面の一般道を走り出して感じたのは、その重厚感ある乗り心地の良さである。いなしが効いた、ドッシリした快適さだ。

アウトバーンに入り速度域が上がると、その印象はさらに強まった。これは、イタリアンサルーンとしては望外の(といったら失礼だろうが)スムーズさではないだろうか。

しばらく走った後に一般道へ降りて、今度は運転席へと乗り換える。メーターパネルのデザインが、グラントゥーリズモに準じたものに変わっている。数字のフォントが細く斜めになったイタリック調のものとなり、数字間の刻み表示もそれまでの白帯の中に線が刻まれるタイプから、刻みだけが記されたシンプルなデザインになった。センターコンソール部のデザインも新しく、オーディオやナビゲーションなどのシステムが一体となった「ボーズ マルチメディア システム」も装備される。ちなみにこのナビゲーションシステムはとても使いやすく、案内も自然で、大いに重宝させてもらった。

4.7Lエンジンの意味は、走り出すと即座に理解できた。低回転から力強く、2000~4000rpmという常用域でそれまでの4.2Lエンジンとはひと味異なる瞬間的な力強さを実感することができる。

ZF社製の6速ATは相変わらずスムーズで、このところ注目が集まるデュアルクラッチ式ミッションでは、やはりこの滑らかさは味わえないものだろう。パドルシフト操作への反応も素早いので、不満は覚えない。

アウトバーンに入り、アクセルペダルを踏み込む。分厚い加速感とともに、きれいに7000rpmまで回っていくが、そこには4.2Lエンジンが備える、まるで瞬時に回り切ろうとするかのような吹け上がり感はない。エンジン音もどちらかというと低域を強調した太いものだ。

デュオセレクトと組み合わされたドライサンプ式の4.2L V8エンジンが奏でた、あのフェラーリサウンドを彷彿とさせるかのようなクアトロポルテの官能的な響きが楽しめないのは少し残念だが、このセグメントのモデルを求めるほとんどのユーザーにとっては、新しいクアトロポルテSがもたらしてくれる快適な運転性能を好むことは間違いない。

走行状況に応じてダンパーのセッティングを電子制御で可変させる「スカイフックシステム」を備えたサスペンションの完成度も、さらに高まった印象だ。ゆるやかなワインディングや一般道、アウトバーンという状況下で、たとえスポーツモードを選んでも、アッパーサルーンにふさわしい快適さが保たれていた。

前後重量配分が49:51ということによるフットワークの俊敏さも健在で、フロントアクスルの後方にエンジンが位置するレイアウトならではの身のこなしの軽さは大きな魅力だ。その反面、アウトバーンでの高速巡航時にはフロントの接地感がやや軽く思えたのも事実だが、それはやむを得ない部分だろう。

新しいクアトロポルテは、2ドアクーペのグラントゥーリズモ/グラントゥーリズモSが登場したことで、より本質的な魅力が増した。マセラティのスポーツモデルとして求められる性能はグラントゥーリズモに委ね、その分クアトロポルテはサルーンとしての性能をより強く追求することができたのだと感じられた。

クアトロポルテSは、ドイツ車の独壇場ともいえる高級サルーン市場で、ライバルと十分に渡り合える魅力と快適性を備えたといえる。(文:香高和仁/Motor Magazine 2008年9月号より)



マセラティ クアトロポルテS 主要諸元
●全長×全幅×全高:5097×1885×1431mm
●ホイールベース:3064mm
●車両重量:1990kg(EU)
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4691cc
●最高出力:430ps/7000rpm
●最大トルク:490Nm/4750rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●最高速:280km/h
●0→100km/h加速:5.4秒
※欧州仕様

[ アルバム : マセラティ クアトロポルテS はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

子育てもひと段落したのでスズキ「ジムニー」にVWゴルフから乗り換え…「オープンカントリーR/T」をセットして趣味環境は整いました
子育てもひと段落したのでスズキ「ジムニー」にVWゴルフから乗り換え…「オープンカントリーR/T」をセットして趣味環境は整いました
Auto Messe Web
「最悪の出来事だ……」ヒョンデ、タイトル王手ヌービル苦しめたWRCラリージャパンでのトラブルを謝罪。ターボ関連の疑い
「最悪の出来事だ……」ヒョンデ、タイトル王手ヌービル苦しめたWRCラリージャパンでのトラブルを謝罪。ターボ関連の疑い
motorsport.com 日本版
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
くるまのニュース
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
「GT-R」の技術が注ぎ込まれたV6ツインターボ搭載、日産『パトロール』新型が中東デビュー
レスポンス
「アルピーヌA110RGT」が初のヨーロッパラウンド以外となるラリージャパン2024に参戦!
「アルピーヌA110RGT」が初のヨーロッパラウンド以外となるラリージャパン2024に参戦!
LE VOLANT CARSMEET WEB
バイクニュース今週のダイジェスト(11/18~22)
バイクニュース今週のダイジェスト(11/18~22)
バイクブロス
超クラシック! ホンダが新型「ロードスポーツ」発表で反響多数! ロー&ワイドの「旧車デザイン」に「スタイル最高」の声! 女性にも人気らしい新型「GB350 C」が話題に
超クラシック! ホンダが新型「ロードスポーツ」発表で反響多数! ロー&ワイドの「旧車デザイン」に「スタイル最高」の声! 女性にも人気らしい新型「GB350 C」が話題に
くるまのニュース
上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
バイクのニュース
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
くるまのニュース
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
カー・アンド・ドライバー
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
motorsport.com 日本版
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
くるまのニュース
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
くるまのニュース
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
バイクのニュース
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan

みんなのコメント

1件
  • 中古で購入考えた
    新車の半額だ
    やはり輸入車の値落ちは激しいなと
    信頼性が読めなくてやめた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1515.02569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.02002.6万円

中古車を検索
クアトロポルテの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1515.02569.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.02002.6万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村