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なんとアルミじゃない! ロールスロイス・ファントムIIがアルミの3倍重い「ステンレス」のホイールを履くワケ

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なんとアルミじゃない! ロールスロイス・ファントムIIがアルミの3倍重い「ステンレス」のホイールを履くワケ

 この記事をまとめると

■ロールスロイス・ファントムIIはステンレススチール製のホイールを採用する

クルマ好きなら誰でも惚れる女性!? ロールス・ロイスの先端にいるのは誰?

■ステンレスは錆びにくくて熱伝導率も高く強度も高い

■加工の難易度は高いものの仕上がった商品は外観に美しい光沢を持つ

 ファントムIIがステンレススチールのホイールを採用したワケは?

 ロールスロイス、いいよね、誰が考えてもさ。たとえスーパーカーを所有していたとしても、たまには贅の極みともいえるロールスとか乗ってみたい。その快適さにはスーパーカーの速さと同じように、麻薬のような快適性があるっていうものです。

 その最上級モデルともいえるファントムが先日マイナーチェンジして、ファントムIIに進化しました。まあ平民としてはファントムが新型に変わろうと変わるまいと、あまり関係のない話ともいえるのですが。

 でもそういうなかから面倒な、というかどうでもいい問題を見つけてくるのが、このWEB CARTOPの編集部。今回の話題は、なぜ「ロールスロイスのファントムIIは、ステンレス製ホイールを履いているのですか?」というものでした。

 これはようするに、鉄やアルミではなく、どうしてわざわざエンジニアはホイールにステンレスを選んだのかという意味なのだろう。大学時代に使っていた金属工学の教科書を引っ張り出し、以後数日それを読む羽目になったのは当然の結果だった。世間はお正月なのに。

 まず説明しておかなければならないのは、クルマのホイールに使用されるスチールやアルミやステンレスは、正確には鉄に炭素を加えたスチール合金であり、アルミニウムに鉄や亜鉛、マグネシウムなどのさまざまな金属を添加したのがアルミニウム合金、鉄にクロムを合わせたステンレス合金だということなのです。

 職人の技術がステンレススチールのホイールを芸術品に変える

 ちなみにステンレス合金の最大の特徴は、そもそもの「ステン」「レス」という名前からも分かるように「錆び」「ない」(実際には絶対に錆びないわけではない、「錆びにくい」)こと。ただし、本当に腐食しないのかといえばそうではなく、加工時につけてしまった小さな傷から腐食が始まることがあるので、その取り扱いには細心の注意が必要なのです。

 ロールスロイスは新型ファントムで、切子面を採用した奥行き感を持つホイールや、あるいは伝統的なディシュタイプのホイールなどを採用していますが、これらはやはり熟練した職人の技があってこそなせるものといっても間違いではないのです。

 それではこの耐腐食性の問題以外に、ロールスロイスがステンレス合金をホイールに採用した理由には何が考えられるでしょうか。

 ちなみにスチール合金製、アルミニウム合金製のホイールとの比較では、ステンレス合金はスチール合金とは同程度の体積でほぼ同重量、そしてアルミニウム合金の3倍程度の重さとなります。これはいわゆるクルマのバネ下重量を考えれば、アルミニウム合金にとって何より有利なことですし、デザインの自由度もアルミニウム合金は鋳造、鍛造含め非常に幅広くなっています。

 ならばステンレス合金をホイールに使うメリットは何なのか。これは前に触れた対腐食性のほかに、彫刻的なデザインさえデザイナーと職人の技によって生み出すことが可能であること。一般にステンレス合金は、熱伝導率も低く(つまり熱を通しにくい)、強度も高いとされているので、耐久性を重視するロールスロイスのようなクルマには、それはベストな選択といえるのです。

 また、ステンレス鋼の熱伝導率は、アルミニウム合金と比較して20~10%の低さ。耐熱性に優れ、高温環境下での使用に適していることも採用の一因と考えることができそうです。

 ステンレス合金は、その種類にもよるものの、じつは加工性という点では非常に切削加工の難易度が高い難削材。しかし、仕上がった商品は外観に美しい光沢を持ち、その美しさもまたステンレス合金の魅力となっています。世界で最高のものだけをカスタマーのもとへと届けるロールスロイス。ホイールひとつをとっても、その伝統の哲学は確かに受け継がれているのです。

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みんなのコメント

40件
  • 昔ある車雑誌にGTRの開発者の水野さんがロールスロイスとトヨタのセンチュリーをVIP対決的な記事として書いていました。記事を読んでびっくりしたのは、日本人と外国人のVIP車の考えが根本的に違うということでした。日本は所謂要人をおもてなしする車としているのに対して、外国は要人を守り安全に目的地に届けるというのが第一目的であるということでした。国によってはオプションで機関銃まで設定できるということです。だからあえて乗り心地の悪いノーパンクタイヤを標準装備していたし、防弾ボディまで特注できるんです。それらの装備を付けてもホイールは変えなくても大丈夫と書いてありました。つまりこの記事のような意味ではなく、2~3トンの車重を支えるのにアルミではなく重いけど剛性のあるステンレスにしたと言うのが真相ではないでしょうか?
  • この内容で金属工学の教科書出さなきゃ書けないのか・・w
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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