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登場から40年! 今はなきホンダ プレリュードを振り返る

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登場から40年! 今はなきホンダ プレリュードを振り返る

セリカ、シルビア、プレリュード……いずれも一世を風靡したクーペではあるが、時の挟間にその名は消えていった。

ちょうど40年前の1978年にデビューし、その後活況を呈したスペシャリティ・カーの先鞭をつけたのがホンダ プレリュードである。以後2001年に生産を終了するまでの23年間、5世代にわたったプレリュードは各モデルで先進的なチャレンジを行っており、その記憶を辿りながら話を進めていこう。

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初代プレリュードはホンダらしいユニークなクーペだった。ボディは全長×全幅=4090mm×1635mmとコンパクトで、ボディ剛性にこだわったクーペだった。ハンドリングはFFとは思えないほどクイックで、少しの操舵でグイグイと曲がっていく。アクセルも最初から少し踏み込むぐらいに積極的に駆動力をかけていけるクルマだった。

反面、ドライビングのちょっとしたきっかけでオーバーステアが顔を出し、滑りやすいコースでは流れだそうとするリアを抑えるのに神経を使った。ホンダがいかにFFのステア特性にこだわっていたか、という見本みたいなクルマだったと思う。メーターも同軸上にスピードメーターとタコメーターが配置され、視線は確かにずらさなくて済んだが、目が回って面食らった覚えがある。

初代のSN型プレリュードは海外でも人気が高く、この好調な販売が次のプレリュードにつながっていく。

よりエレガントになった2代目

2代目プレリュードはフロントフードをさげて、FFでありながら、いかに薄いノーズにして、伸びやかなデザインを作るかに心血を注いだモデルだった。フロントフードの低さはミドシップのフェラーリを目標としていたと聞くから、そのがむしゃら振りは想像がつくだろう。

そのためにフロントサスペンションは一般的なストラットから全高を抑えられるダブルウィッシュボーンに、エンジンの前にあることが多いエアクリーナーもエンジン後部に配置することでこれらの難関をクリアできた。

全幅も5ナンバーボディ枠一杯の1690mmまで広げられた。4295mmの全長と、1295mmという全高は初代とほぼ変わらなかったから広く、長く、低いクーペプロポーションの構築に成功している。時あたかもバブルに向けて盛り上がっていくころあいでプレリュードは“デートカー”とも呼ばれ、若者の垂涎の的だった。

ハンドリングは初代のドキドキするようなクイックさは影を潜め、リアの接地力が大幅に上がって安定性の高いものになった。誰でも馴染みやすいものになったのはよかったと思う。2代目では今では当たり前になっているABSがオプションで選択できたのも当時は目新しかった。

3代目の目玉は4WS

3代目は2代目のブラッシュアップ版だった。流れるようなデザインはさらに磨きがかけられ、このデザインの完成形となった。細いA/Cピラーはクリーンなキャビンを作り出し、同時に明るい未来を予感させた。時代はバブルに突入してイケイケだったのだ。

メカニズムでは何といっても量産車初の機械式4WSがユニークなポイントだ。これはハンドルが小舵角の時、後輪は前輪と同位相に、ハンドルを大きく切ると後輪は逆位相になるというのもので、例えばレーンチェンジや長いコーナーなどではリアタイヤのコーナリングフォースが高くなって安定志向になり、ハンドルを大きく切るような場面(大抵は低速だ)、駐車時などは小回りが効くようになる。速度などを考慮した制御はできないが、シンプルなメカニズムで大きな話題となった。

実際、早い操舵でレーンチェンジなどをすると後輪がグンと押さえつけられるような動きをするのが印象的だった。また壁すれすれに止めてハンドルを一杯に切って前進したらリアフェンダーは壁に接触するだろうか? というような軽口もあったのが思い出される。実際、レアケースでは起こるようだったが、その後あまり話題に上らなくなったので、その動きは理解されたのだろう。

個人的には4WSの理屈はわかるが、どうもリアがドライバーの意思とは違った動きをして、実はあまり好きにはなれなかった。

この3代目プレリュードは翌年登場した日産のS13型シルビアと激しくスペシャリティカーのトップ争いをすることになる。一世を風靡した紫門ふみの『東京ラブストーリー』が「ビッグコミック」で始まったのが1988年、そしてTVドラマ化されたのが1991年1月だったから3代目プレリュードはまさにバブルの時代に若者と共にあったのだ。

迷いを感じた4代目

1991年9月に登場した4代目はこれまでのデートカーからイメージを一新してスポーツクーペへコンセプトを変え、骨太のデザインになった。ここからプレリュードが築いてきたポジションへの迷いが感じられる。全幅も1765mmと初めて3ナンバーサイズになり、エンジンも北米仕様と同じ2.2リッターが搭載され、VTECエンジンでは200psの出力を出すに至った。

4WSは、制御に限界がある機械式から電子制御に変更され速度などのパラメーターが入るようになった点も新しい。しかしバブルの崩壊と重なったことで、スペシャリティカーの市場は急速に萎んでしまい、プレリュードもこの後凋落の道を辿ることになる。

現行NSXにも通ずる革新的技術を搭載した5代目

1996年から2001年まで生産されていた5代目プレリュードも、クーペの衰退を止めることはできなかった。あまり人気のなかった野生的なデザインの4代目プレリュードからオーソドックスなデザインに戻され、縦長のヘッドランプがポイントだったが、あまりにも特徴のないデザインになってしまい、存在感はさらに薄くなってしまった。

私にとって印象的だったのはスーパー耐久に参戦していた“九州のホンダ使い”との異名を持つ、黒木選手のプレリュードである。研究所の支援も想像されるがクラス区分的にも不利なプレリュードでしぶとく戦い続けた。彼らが使っていたのは、後のタイプRにつながるタイプSというモデルで、エンジンも赤いヘッドカバーの220psのH22Aを積んでいた。

また30kgほど重いATTS(左右駆動力分配システム)を使っていたのも興味深かった。軽量化が戦闘力の重要なポイントのレースでは大きなマイナスだったにもかかわらず、何とかモノにしたのはさすがだった。

旋回力を上げてタイヤを使い切るメカニズムは、のちにレジェンドやNSXの4WDシステム(SH-AWD)につながるもので、この時のデータが活かされているとしたら面白い。

この5代目プレリュードでスペシャリティクーペの幕は降ろされ、クーペはDC5型インテグラと統合される形になった。そのインテグラも2006年に終了した。

プレリュードに対してはその特異なポジションゆえであったのか実験的なメカニズムも投入され、多くの話題を提供してきた。今にして思えば、プレリュードのようなクーペが存在できた時代は輝いていた。

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