世界最大のカスタマーショー「東京オートサロン2023(以下TAS)」が、1月13日より幕張メッセで開催された。自動車メーカーが本気でカスタムカーを製作して出展する点もTASの魅力だが、そのなかでも毎年驚くような仕掛けを持ったカスタムカーを精力的にリリースしているダイハツにスポットを当ててみた。
■ワイルドなオフローダー風の屋根には
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ブース内の真ん中にジャングルの奥地のようなステージが広がっている。そこに展示されたグリーンメタリックのワンボックス。「アトレー? だよな?」と疑いたくなるほどワイルドに変貌している、2021年にフルモデルチェンジしたアトレーがそこにはあった。リフトアップしてゴツいタイヤを履きオフローダーのようだが、超ハイルーフとも言えるこんもりと盛り上がった屋根も気になる。この「アトレー ワイルドレンジャー」は、今回発表された5台のコンセプトカーの内の1台。その内容や狙いを、ダイハツ デザイン部 第2デザイン室 主査の松井潤二氏にうかがってみた。
昨今のアウトドアブームは軽自動車にも影響が広がり、メーカーもアウトドア風の仕様を出したり、カスタム業界にもリフトアップなどのオフローダー的な改造が流行っている。このアトレーもその流れを汲んでのオフローダー仕様なのかと問うと、松井氏はニヤッと笑いながらこう返してくれた。
「それももちろん意識していますが、このアトレー ワイルドレンジャーはもう一歩踏み込んでいます。ブース展示もジャングルみたいな森を意識していますが、さらに奥地へ探検できるような仕様を狙っているのです。その証拠として一番大きな特徴ですが、あの超ハイルーフに見える部分、じつはボートなんです」。
ボート? 失礼ながら聞き返してしまった。パッと見ではルーフだ。ポップアップ式のテントでも展開できるのだろうと予想していたが、そんな考えは一瞬で消えてしまった。松井氏によれば、ボートはクルマで進めなくなった水場をさらに進むためのものだと想定しているらしい。しかし気になるのが全高の高さだ。リフトアップ量は2インチに収めているようだが、あのルーフはどう見ても軽自動車規定の2mを超えている。そのあたりもうかがってみた。
■ボートに隠された裏テーマとは?
「ボートは、ボディの構造体ではなく取り外しするものですから大丈夫です。構造体ではなく、ルーフキャリヤと同じように4本のボルトで止まっているだけですので、荷物を載っけている感覚と同じです。ボートを外してしまえば普通のルーフですので、車検はもちろん通ります」。さすがメーカーのカスタムカー、その辺りは抜かりなしでした。
松井氏はボートについて次のようにも語ってくれた。「じつはこのワイルドレンジャーには裏テーマがあるんです。ボートの横にレスキューのステッカーが貼ってありますけど、災害時のレスキューに役立てたい狙いもあるのです。最近、水害が多いじゃないですか。そんな非常時に役に立てるよう、そんな願いも込めています」。ボートがあれば、人を安全な場所に移動できたり救援物資が届けられたりするシーンもあるのかもしれない。そこまで見越しているとは。感心してしまった。
インテリアにもアトレーならではのカスタムが見られる。畳むとフラットになるリヤシートに加え、助手席も取り外し長大なフロアができている。これなら、どんなに身長が大きな人でも寝られるだろう。リヤのサイドウインドーはスムージングされているが、その内側にはサバイバル仕様とも言うべきさまざまなアイテムが備えられている。「何日も滞在できる探検仕様を目指しましたので、寝床はしっかりと設けました。助手席は今回外していますが、リヤシートは通常通り展開できますので人を乗せる場合もOKです」。と、松井氏は語ってくれた。
こんな頼もしい相棒がいればアウトドアライフも快適なのだろうと思わせてくれる、ダイハツ渾身のアウトドア仕様。欲しい! と思う人が多そうな現実的なカスタムカーとも言える、夢の膨らむ仕様だった。
カスタムカー詳細 “アトレー ワイルドレンジャー”
ベース車:アトレーRS
エンジン:660ccターボ
駆動方式:4WD
ボディカラー:オリジナル2トーン塗装
カスタムポイント
<エクステリア>
・オリジナルルーフボート
・オリジナルフロントフェイス
・オリジナルサイドガーニッシュ
・オリジナルストライプ
・オリジナル背面ラダー
・オリジナルリヤランプカバー
<インテリア>
・オリジナルシート
・オリジナルフロアマット
・オリジナルシートカバージャケット
<足回り>
リフトアップ
アルミホイール
R/Tタイヤ(ホワイトレター入り)
<文と写真=青山朋弘>
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みんなのコメント
航走性をまともに考えてるとは思えないこんな防水パンみたいな形状のボートでレスキューとか、救助者に負担を強いるだけだわ。