皆さんはクルマを購入する際にどこに注目しているだろうか? サイズ、ルックス、それとも価格? もちろん、これらやその他の要素を総合して購入車種を決定するのだが、加えて注目してほしいことがある。
今回は、クルマを日常使いする際に重要なポイントとなる「最小回転半径」について考えていきたい。なぜ最小回転半径が重要なのか、そして各車の最小回転半径はどのくらいなのかを見てみよう。
クルマの肥大化に悩む人、必見! 「最小回転半径」を見極めればデカいクルマも怖くない!!
文/長谷川 敦、写真/スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、日産、三菱、写真AC
最小回転半径が小回りのしやすさを決める!
狭い道に入っていくときや、駐車の際に生きてくるのが最小回転半径。こうした状況では小回りが利くクルマが便利で、ストレスなく運転することができる
SUVやクロスオーバーモデルが人気の絶頂期を迎えている現在だが、これらのクルマはホントに日本国内の道路事情に適しているのだろうか? 実際、日本の住宅地にはたとえ都市部でなくても狭い道路が多く、大柄なクルマでは不便な場合も多々ある。
だが、大きいクルマだって走る地域の事情に応じた対策が施されている。狭い交差点でもスムーズに曲がれる大柄なクルマもあれば、いかにもキビキビと曲がりそうなのに、意外に大回りのクルマもある。では、何がその違いを生み出しているのか?
それがクルマの最小回転半径だ。これはハンドルを左右のどちらかに目いっぱい切った状態で走った際に、外側のタイヤ中心が描く円の半径を指している。つまり最小回転半径が小さいクルマほど小回りが利くということになる。
ということで、一度各メーカーのウェブサイトに掲載されているカタログの性能表(主要諸元)を見てもらいたい。そこにはサイズや装備、各種性能とともに最小回転半径の数値も記されているはずだ。
ただし、カタログに記載されている最小回転半径は実測値ではない。実際の走行では路面の抵抗(グリップ)や車両誤差、測定いかんによって結果にバラつきが出てしまうため、最小回転半径のカタログデータは車体の設計時点で算出されたものを記している。
クルマによって最小回転半径が違うのはなぜ?
日本の各地には写真のような狭い道が多く、そのため小回りの利く軽自動車やコンパクトカーの人気が高い。大柄な輸入車が苦戦しやすいのにもこうした理由がある
各車のカタログデータを見てもらえばわかるように、最小回転半径にはかなりの開きがある。車体サイズが違えば回転半径も変化するのは感覚的にも理解できると思うが、同じようなサイズのクルマ同士でも、回転半径が異なる場合は意外に多い。
もちろん回転半径が違うのには理由がある。主な理由はタイヤハウスのサイズとタイヤそのもののサイズだ。
操舵を行うフロントタイヤは車体前部のタイヤハウス内に収まっているが、たいていの場合左右の前輪に挟まれた空間にはエンジンをその周辺機器が置かれていて、さらにはタイヤを支えるサスペンションもある。そのなかで十分な操舵スペースを確保するのは至難の業といえる。
タイヤが自由に動ける余裕があれば、当然ながら操舵輪の切れ角も大きくでき、結果として最小回転半径は小さくなる。
操舵輪の切れ角に影響するのは車体側の設計だけではなく、タイヤそのもののサイズも大きく関わってくる。この場合切れ角に影響が大きいのはタイヤの直径ではなく幅だが、大径タイヤは幅広なことが多いので、やはりサイズは無視できない。
同じ車種であっても、スポーツ志向の強いグレードには標準よりも大きなタイヤが装備されることがあり、このケースでは最小回転半径も大きくなっている可能性が高い。
ただし、大径のタイヤを採用しつつもタイヤ幅を広げずに標準仕様と同じ最小回転半径を確保する車種も存在している。
あのクルマの最小回転半径は?
ここからは気になるクルマの最小回転半径を見ていくことにしよう。なお、ここで比較するのはあくまでカタログデータであり、実際に運転していての曲がりやすさはフロントオーバーハングの長さや視界などにも影響されることをお断りしておく。
ちなみに、一般的に最小回転半径が5m以下だと小回りが利くといわれている。
●コンパクトSUVはどのクルマがよく曲がる?
まずは人気の国産コンパクトSUV(クロスオーバーモデルも含む)をチェック。
・スズキ クロスビー/4.7m
・ダイハツ ロッキー/5.0mまたは4.9m
・日産 キックス/5.1m
・トヨタ C-HR/5.2m
・マツダ CX-30/5.3m
・マツダ CX-3/ 5.3m
・トヨタ ヤリクロス/5.3m
・ホンダ ヴェゼル/5.3mまたは5.5m
・三菱 エクリプスクロス/5.4m
・スバル XV/5.4m
上記の結果はほぼ想像どおりといったところだが、車体サイズが小さく思えるヤリスクロスの数値が大きいのが意外だ。
なお、同じトヨタ製で車体サイズがヤリスクロスより大きいカローラクロスの最小回転半径は5.2mと小さく、それが使い勝手がよいという評価につながっている。
コンパクトSUVでは最も小回りが利くのがスズキ クロスビーだった。カタログスペックの4.7mは、5人乗車が可能なことなどを考慮すると立派な数値といえる
●ミニバンの最小回転半径
現在ではSUVと並ぶ人気を誇る国産ミニバンのなかから、代表的な車種をピックアップして最小回転半径を比較した。
・トヨタ シエンタ/5.0m
・ホンダ フリード/5.2m
・スズキ ランディ/5.5m
・三菱 デリカD:5/5.6m
・日産 エルグランド/5.7m
・トヨタ アルファード/5.6mまたは5.8m
ミニバンといってもサイズはさまざまで、装着されるタイヤも15~18インチと幅広い。やはりタイヤが小さいモデルは最小回転半径も小さく、ビッグタイヤはこの点において不利になる。
もちろん、クルマの性能が最小回転半径だけで決まるものではないのは言うまでもない。
ミニバンにおける“最小回転半径王”はトヨタのシエンタで、5.0mを達成
最小回転半径を小さくする裏ワザとは?
最後は、いかにも小回りが利かなさそうに思えるのに、思いのほか小さい回転半径を実現しているクルマを紹介したい。
●トヨタ クラウンクロスオーバー
2022年にデビューしたクラウンの新世代モデルがクラウンクロスオーバー。このクルマは全長が4930mmと長く、さらに超大径の21インチタイヤを採用しているのにもかかわらず、最小回転半径は5.4mと小さめ。
実は、これには後輪も操舵する「DRS(ダイナミック・リア・ステアリング)」によるところが大きい。低速での旋回時には逆位相(前輪とは反対向きに操舵する)に動くDRSのアシストにより、ミッドクラスのセダンより小さい回転半径を実現している。
2022年に完全リニューアルを果たしたトヨタ クラウンの第一弾がこのクラウンクロスオーバー。ホイールベースは2850mmと長いが、見た目以上に小さく回れる
●日産 新型フェアレディZ
いかにもキビキビと走りそうな印象のあるスポーツカー。しかし、こと最小回転半径を考えると、意外に小回りが利かないクルマも多い。
スポーツカーには幅広・大径タイヤが装着されることが多く、さらに安定したコーナリング性能を発揮させることを目的に4本のタイヤをできるだけ車体の四隅に配置するため、車体サイズにしてはホイールベースが長めになり、これが大きめな最小回転半径につながる。
そもそも本来スポーツカーは狭い路地を走るのが主目的ではなく、高速での走行安定性とクイックなコーナリング性能が重要で、最小回転半径を小さくすることにそこまで注力はされていない。
しかし、2022年にデビューした日産の新型フェアレディZは、5.2mとスポーツカーとしてはかなり小さな最小回転半径を実現した。直接の競合車種ではないものの、同じFRスポーツカーであるトヨタ GR86の最小回転半径5.4mに比べるとやはり小さい。
フェアレディZが小さな回転半径なのはホイールベースが短いから。先のGR86が2575mmなのに対し、フェアレディZは2550mmであり、これが最小回転半径の違いにも影響している。
日産が2022年に発表した新型フェアレディZ。高速走行を得意とするスポーツカーだが、最小回転半径は5.2mと小さく、狭い路地でも比較的運転は容易
ここまで見てきたように、クルマの最小回転半径はさまざまで、同じようなカテゴリー&車格のモデルでもその違いは小さくない。
アナタがもしクルマの購入を考えていて、車種選択で迷っているなら、住んでいる地区の道路事情を考慮しつつ、最小回転半径も判断材料のひとつにするのは悪くないだろう。
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ホイールガリが怖くて左に寄せないし