2500rpm領域でフルブーストに達する驚異の出力特性
ウエストゲートが開きっぱなし!怒涛の加速を実現するS15シルビア!
老舗“ビーレーシング”が手掛けたS15シルビアは、“全域フラット”をコンセプトに仕上げられたチューンドだ。そのため、一般的なターボチューニングで煮詰めていくアプローチではなく、スーパーチャージャーを組み合わせたツインチャージ仕様としているのがポイントだ。
低回転域から鋭くブーストを立ち上げるために、タービンにはTD06-20Gを選択。エキゾーストサイズは最も小さい8cm2だ。そこに電磁クラッチを搭載するORCのTX12コンプレッサーを組み合わせ、スロットル開度約20%(2V)で作動するように設定。
吸気の経路は“ターボ→インタークーラー→スロットル→スーパーチャージャー”。スロットルの後ろにスーパーチャージャーを配置することで、アクセルオフ時の吹き返しによるスロットルレスポンスやフィーリングの悪化、パイピングの抜けなどを防いでいる。
このツインチャージャー仕様の効果は凄まじく、わずか2500rpmでフルブーストに達するとそのまま高回転域までパワーが追従するという特性を実現。フル加速をしている時は、最初から最後までウエストゲートが開きっぱなしで、ほぼ全域がパワーバンドというとんでもないスペックに仕上がっている。
一方の足回りは、オリジナルセッティングのエアサスを装備。ダンパー機能は伸び側が調整式、エアバックにスプリング効果を持たせるために、低いエア圧でシルビアの車重を支えられるタイプをチョイスしている。
室内は、運転席から型取りしたというメーターフードを助手席に装着。当初はモニターをインストールする予定だったものの、追加メーターに場所を奪われてしまったそうだ。本来、運転席側にしかないはずのメーターフードが助手席にもあるというのはインパクト満点だ。
ドアパネルはカーボン製に交換済み。元々はサーキット仕様の車両向けに開発された軽量化パーツだが、このクルマにはドレスアップパーツとして装着したそう。なお、パワーウインドウのスイッチ類は、純正のものが移植されている。
車両を製作したビーレーシングの今井代表いわく「狙いは正解だったんだけど、予想以上にフルブーストに達するポイントが低回転に寄りすぎたかな。3.0Lくらいまで排気量アップしたような感じで、チューニング感が薄いんだもん。もう一回り大きなタービンを装着しても良いかな」とのこと。
なお、このツインチャージャーシステムは10セット限定(54万円)でキット販売されたが、文字通り一瞬で完売。その後も問い合わせが国内外からあったそうだが、増産をしなかったという激レアのチューニングパーツなのだ。
●取材協力:ビーレーシング 東京都町田市小川1704-1 TEL:042-799-7800
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