アメリカ軍の要請によって開発されたクルマ
ジープ、Jeepという名前はGeneral Purposeに由来する万能車、Government-use政府用車などという説をはじめとして諸説がありますが、じつはどれが正しいかがわかっていません。ただ、ひとつ言えるのはメーカーが名付けたものではなく、自然発生的に生まれて来た愛称がその名前になったということです。これはフォルクスワーゲンタイプ1のビートルやR30後期型スカイランRSの鉄仮面などと同様と言えます。
ジープの祖先となるモデルは1940年にアメリカ陸軍が国内の自動車メーカーに依頼した「軽量偵察車」にあります。アメリカ軍が依頼したメーカー数はじつに135社、そのうち依頼を受けたのはアメリカン・バンタム、ウィリス・オーバーランド、フォードの3社だけでした。つまりジープはSUVや多目的車として生まれたわけではなく、軍用車として開発されています。
終戦 模倣 ライセンス生産
アメリカの3社は終戦までに60万台を超えるジープを製造しました。アメリカは本土で戦争をしていませんので、その多くが国外で使われたことになります。国内に戻ったジープもありますが、そのまま国外で使用、払い下げられたクルマも多く存在します。そうしたなかで、払い下げられたクルマもありました。払い下げられたクルマは各国の自動車メーカーにも流れ、そこで研究開発用に使われることもあったでしょう。そして模倣されたり、手本にされて生まれたクルマも存在します。またジープはライセンス生産という形で各国で製造されています。日本では三菱自動車が1998年まで製造を行っていました。
ウイリスから数社を経て現在はFCAが商標を所有
ジープの商標は戦後にウイリスによって登録されましたので、以後はジープの歴史はウイリスとともに歩むことになります。しかし、その変遷はかなり複雑です。1953年にウイリスはカイザー社に買収、その後1970年にカイザーはアメリカン・モーターズ(AMC)に買収、1980年にAMCはルノー傘下に、さらに1987年にはクライスラーに入ります。しかし、この後クライスラーはダイムラー・クライスラーとなり、その後クライスラーはフィアット傘下となりました。現在、ジープはFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のブランドとして販売されています。
軍用車スタートのヘビーデューティなモデルであったジープですが、戦後にはすぐにステーションワゴンを登場させます。その後、1963年にはワゴニアという現在でいうSUV的なモデルが登場、ワゴニアの後継として1974年に市場投入されるのが初代のチェロキーです。チェロキーにはさらに高級なグランドチェロキーが追加され、よりSUVとしての方向性を高めていきます。
現在はフィアットグループということもあって、ジープレレネゲードとフィアット500Xが兄弟関係。コンパスもフィアットのエンジンを使うなどしています。しかし、ジープブランドとしてのこだわりは強く、デザインはもちろん、悪路走破性についても高いものが与えられてるのが特徴的です。直近では2019年にジープの歴史を色濃く受け継ぐラングラーがフルモデルチェンジし、変わらぬ人気を博しています。
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