昨今のアウトドアブームもあって、フランスから上陸した個性的なミニバンの人気が高まっている。実用性、デザイン、コスパ、様々な角度から人気の理由を探ってみた。
アウトドアブームもあって、ファミリーやグループでクルマを利用してデイキャンプに出かける人が増えている。では、キャンプ場にどんなクルマで出かけるのがベストなのか? すぐに思い浮かぶのはSUVや1BOXカーだが、実用的だけど遊び心がないという声も聞こえてくる。そんな人たちの期待に応えてくれそうなのが、スタイリッシュなマルチビークルだ。今回はスーパーハイトワゴンのような要素を持つ個性的なフレンチバンを2台紹介しよう。
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今年3月に日本上陸を果たしたしたのがプジョー『リフター ロングGT』だ。同社は2019年10月に『リフター』というバンタイプの5人乗りモデルを投入した。今回はその3列シートモデルだ。2列シートのモデルは後席乗降用のスライドシートを備えており、室内空間も広く、アウトドア愛好家から支持を集めた。デビューエディションとして特別仕様車を先行発売したところ、1週間で完売するほど人気だった。
今回発売された3列シートモデルの『ロングGT』はプジョー最新のシャーシを採用。ホイールベースを190mm、全長を355mm、全高を20mm拡大し定員も7名となっている。3列目はワンタッチで折りたたむことも取り外すことも可能で、車内に広大な空間を確保できる。ちなみに2列目もセパレートシートになっており個別に折りたたむことが可能だ。パワーユニットは1.5Lディーゼルターボと8速ATの組み合わせで、エコカー減税の対象になっている。
ちなみに前輪駆動だが、トラクションコントロールをベースに開発されたアドバンスドグリップコントロールが後輪も制御するため、走破性も高いのも特徴だ。
一方、ルノーの『カングー』はフランスで1997年にデビューし2002年3月から日本に正式に輸入された。今回紹介するモデルは3代目で本国では2021年5月から発売されているが、2023年2月に日本に上陸した。
モデルチェンジのたびにボディーは大きくなるがそれでも全長4490mm、全幅1860mm、全高1181mmなので、日本の道路でも使い回しやすい。パワーユニットは1.3Lガソリンターボと1.5Lディーゼルターボの2種類。操縦安定性はいいがハンドルを切ると同時にゆらっと傾く印象がある。こういったフランス車特有の性格は好みが分かれそうだ。
待望の3列シート7人乗りモデルが登場
プジョー『リフター ロング』
Specification
■全長×全幅×全高:4760×1850×1900mm
■ホイールベース:2975mm
■車両重量:1700kg
■排気量:1498cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
■最高出力:130㎰/3750rpm
■最大トルク:130Nm/3750rpm
■変速機:8速AT
■燃費:18.1km/L
■車両本体価格:455万円
※GT
最近のプジョー車の中ではおとなしい印象のフロントマスク。全幅は1.9mあるが絶妙な着座位置や見切りのよさもあり、あまり幅の広さを感じることはない。『ロングGT』は1グレード。
3列シートということでホイールベースは2975mmもある。ルーフレールやサイドプロテクターは標準装備。ドアウインドウの下隅に採用している曲線はデザインの遊び心だが、視界は狭い。
リアゲートは1枚で上に開く。床は2列目がスライドダウンする。床面は広くフラット。ゲートの開口部は路面から約620mmで床面との段差もなく実用的だ。ラゲージトレイも標準装備。
先進装備を纏って進化を遂げた超実用車
ルノー『カングー』
Specification
■全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm
■ホイールベース:2715mm
■車両重量:1650kg
■排気量:1460cc
■エンジン形式:直列4気筒SOHCディーゼルターボ
■最高出力:116㎰/3750rpm
■最大トルク:270Nm/1750rpm
■変速機:7速AT
■燃費:15.3km/L
■車両本体価格:419万円
※インテンス
フロントマスクは『カングー』独自のデザインだが、モデルチェンジのたびにかわいらしさが失われていくという声も聞かれる。黒い樹脂製のバンパーを搭載した日本仕様モデルも選べる。
全長もホイールベースも長く見えるが『リフター ロング』より全長は270mm、全高は90mm、ホイールベースは260mm短い。後席用スライドドアのウインドウは5分の1だけ残して開く。
『カングー』といえば、リアゲートは左右に開くダブルバックドアが代名詞。開口部の床面は580mmと低く、荷物の積み下ろしもしやすい。左右ともに180度開くのは珍しい。
暮らしにちょっとした刺激を与えてくれる楽しいクルマ
プジョー『リフター ロング』
エンジンルーム
1.5Lのディーゼルターボは2500回転から唸り音が高まるが、振動はアイドリング時でも小さく4200回転まで回る。実走燃費は17km/Lぐらい。
運転席と各種装備
ハンドルの上からメーターを確認する室内設計。センターコンソールが大きく後ろに伸びており、助手席に移動するのは不可能。
シートスペース
ドアの下縁にあるボディーの張り出しが意外と目障り。どのシートもサイズは大きめでゆったりしている。頭上スペースも広い。
ラゲージスペース
3列目の後方にも荷室のスペースがある。またリアゲートから3列目に出入り可能。前席の頭上には収納スペースがある。ゲートはやや重め。
【 ココがポイント!】FF車なのに4WD車のように制御できる技術を搭載
センターコンソールにある大きめのダイヤルは8速AT(P/R/N/D)で下にはマニュアルモードボタンがある。左上のダイヤルは4WD車のように制御できるグリップコントロール機能。
【 ココがポイント!】狭いスペースでも荷物の積み下ろしができるガラスハッチ
リアゲートは大きく水平に開くので雨の日は雨よけとして機能する。また写真のようにウインドウ部分だけを開けることができる。ゲートの開閉防止対策も完璧だ。
ルノー『カングー』
エンジンルーム
4気筒ディーゼルエンジンはSOHC。ガラガラ音がやや気になるが1500回転からトルクがあり上昇も速い。1.3Lのガソリンターボも選べる。
運転席と各種装備
コンパクトに集約されたメーター類。中央のナビ画面も前方視界の妨げにはならないが、Aピラーの根元部分が大きく、死角が生まれる。
シートスペース
インパネシフトなのでサイドスルーも可。2列目は3人掛けで、背もたれは別々に動くが、6対4の可倒式。スライドダウンにも対応している。
ラゲージスペース
2列シートなのでラゲージは標準状態でも広い。ドアを閉めると運転席からのミラー中央部分にドアの支柱が映り死角となってしまう。
【 ココがポイント!】走行モードはノーマル/エコ/ベルフォの3種類
1.5Lディーゼルターボ+8速ATは、トルクフルな走りでパワー不足を全く感じさせない。ちなみに0→100km/hの加速は12秒台で遅くはない。ガソリンエンジンも選べる。
【 ココがポイント!】2段階で開くバックドアは狭い場所でも開閉が容易
両開きのリアゲートは左右とも90度開くが、ロックを外すと180度近くまで開く。これはフォークリフトで荷物を入れる時、ギリギリまで荷室に近づけるようにしているため。
3列シートも選べる『リフター』、ガソリンも選べる『カングー』
プジョー『リフター ロング』
[運動性能]クセのないハンドリングで爽快に走る。オフロードもグリップコントロール機能を上手に使えば難なく走行できる。18点
[居住性]全高が高い分、室内スペースも広い。3列シートはリアから乗降可能。2列目シートは1脚ずつ動かすことができる。18点
[装備の充実度]先進安全装備、快適装備は備わっている。ルーフレールは標準装備。アウトドア用のオプションパーツも豊富。19点
[デザイン]フロントマスクはほかのプジョー車のように縦長のライトが欲しかった。ドアのコーナー部分は見切りがイマイチ。17点
[爽快感]1.5Lディーゼルターボと8速ATの組み合わせは、トルクフルな走りで力不足を感じさせない。0→100km/hは12秒台。18点
[評価点数]92点
ルノー『カングー』
[運動性能]ハンドルを切るとゆらっとくる動きはフランス車らしい。シャーシの造りはハイレベルで剛性感もしっかりしている。18点
[居住性]『カングー』は2列シートのみ。リアシートが6対4の2分割だと使い道が限定されてしまうという声も聞かれる。17点
[装備の充実度]運転支援、駐車支援システムも用意。ルーフレールはディーラーオプションで日本専用も用意されている。18点
[デザイン]おとなしくなった外観は好みが分かれる。黒バンパー仕様+観音開きのゲートは日本専用の仕様となっている。18点
[爽快感]1.5Lディーゼルターボは数値では『リフター』に劣るが実測値は0→100km/hが11秒台。コーナー走行も楽しめる。18点
[評価点数]89点
取材・文/石川真禧照 撮影/望月浩彦
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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みんなのコメント
カングー、今日も可愛いね。愛してるよ。このコメ欄のおじさん達が君に心無い事を言ったとしても、気にしなくて良いんだよ。いじめられたらすぐ私に言うんだよ。私が守ってあげるからね。君をいじめる奴をやっつけてあげるからね。カングー、君は私の宝物だよ。ありがとう。