もくじ
ー フェス参戦にも最適なキャンピングカー
ー 豪華な部屋と収納式テント
ー キッチンまで備えた「4人部屋」
ー 短時間で展開できるふたり用テント
ー 追加装備の影響を感じない走り
ー 目的は快適な旅か、冒険か
ミニ・カントリーマンPHEV 「商売の都合上のクルマ」か 試乗記
フェス参戦にも最適なキャンピングカー
ひとクラス上の暮らしをしたくないだろうか。ただし、一般的に思い浮かべるのとは違う意味で。それは豪邸に住むわけでも、5つ星ホテルに泊まるわけでもないが、道行くひとびとより確実に数フィート高い世界に身を置く生活だ。そこには雨露をしのぐ屋根も壁もあり、明かりもベッドもある。そしてその生活の場は、クルマの屋根の上にある。
あまり魅力的な提案には思えないかもしれない。しかし、クルマで野に出て、そこで一晩過ごしてみてほしい。普通ならば、ロマンティックなアウトドアの夜がやって来る前に、慣れないテント設営で四苦八苦するところだ。このステップを飛ばして、乗ってきたクルマでそのまま快適に過ごせたら、より贅沢な時間を楽しめるのではないだろうか。アドベンチャー気分は目減りするかもしれないが。
我々は今回、サフォークで行われる音楽フェスの会場に、最新のタイヤ付きシェルター2台で向かった。1台はミニ・カントリーマン(クロスオーバー)に、テント内蔵のルーフボックスを装着したもの。もう1台のメルセデス・マルコ・ポーロは、さらにアメニティの充実した、Vクラスがベースの本格キャンピングカーだ。
豪華な部屋と収納式テント
その誕生以来、ほぼすべての間、クルマはひとびとにとって脱出の道具だった。苦しい労働やつまらない日常から、恋人の腕の中や夢に見た休日の目的地へと向かう脱出の手段だ。エンジンがクルマとその乗員、そして荷物を運ぶに十分な力を発揮するようになると、カタツムリよろしくここに小さな家を組み込み、そこに住み着こうという考えが生まれるまでに長くはかからなかった。
最初の例は1910年、ピアス・アローのツーリング・ランドウ。つまりモーターホームやキャンピングカーの歴史は1世紀を超え、冒険旅行のテント代わりとなってきた。
キャンピングカーは何十年にもわたり改良が重ねられ、その最新版の1台が、十分なアコモデーションを備えたメルセデスのマルコ・ポーロである。テントもまた改善され、ミニのグラスファイバー製ボックスはルーフの上にふたり分の宿泊スペースを確保できる。£2,762(41万円)と決して安くはないが、その中には長方形の囲いとマットレスが収納されている。当然ながら、これに車輛価格が加わるわけだが、今回持ち出した最上級グレードのクーパーSオール4との組み合わせでも£39,372(579万円)で、マルコ・ポーロよりは安い。
キッチンまで備えた「4人部屋」
今回のマルコ・ポーロはVクラス220dスポーツ・ロングホイールベースをベースとしており、本体価格は£53,825(792万円)。
さらに£1,345(20万円)の追加ウォーターヒーターや、£695(10万円)サイドオーニングなどを含む£7,000(103万円)ほどのオプションが装備されている。製作はこの手のクルマのスペシャリストであるヴェストファーレンが手掛けるが、メルセデスの正規ラインナップ扱いとなるモデルだ。
ロングホイールベースを利して、ソファベッドとルーフ上のダブルベッドを合わせて4人が寝られるスペースを確保。さらに2口のコンロを備えるキッチンや冷蔵庫、衣装戸棚なども備える。モーターホームとの差は、シャワーとトイレがついていないことにある。
ヨット用のウッドが張られたフロアの上にいても、このコンパクトな世界は十分に楽しめる。だが、電動スライドドアを開き、サイドオーニングを手動で開き、誰かに手伝ってもらって伸縮式アルミポールを立てれば、その世界は外へともう少し広がる。
短時間で展開できるふたり用テント
だが、この日除けを展開するより短時間で、ミニのルーフボックスはテントに変貌する。上下を留める3つのストッパーを外すと、ボックスのリッドは4本のガスダンパーによって緩やかに持ち上げられるのだ。コツさえわかれば、作業は1分ほどで完了する。あとは引き出したアルミの梯子を上れば、マットレスとふたつの枕が乗り込むのを待っていてくれる。このエアトップと呼ばれるルーフテントは、イタリアのオートホーム社とミニのデザインティームによる共作で、これさえあればクルマを停めたところがその日の宿になる。
今回われわれは、これらに乗って金曜日に会場入りし、日曜まで2泊3日を車中泊で過ごすこととした。「われわれ」に含まれるのは、わたしと妻、旧友と彼のティーンエイジャーの子供二人である。
辿り着いたのは、ヘナムパークで行われるラティテュード・フェスティバルの観客が集まるオートキャンプ場。ロンドンから300kmを優に超える道のりは、両方を乗り比べるには十分な距離があった。それはまるで、飛行艇とプライベートジェットのように違った。いっぽうはルーフに大荷物を積んだスポーティなハッチバック、もういっぽうは車内に部屋を設えたようなミニバンなのだから、そう感じたのは当然だ。
追加装備の影響を感じない走り
メルセデスの方は、大胆にスロットルを操作しているぶんには立派なパフォーマンスを見せる。2.2ℓのディーゼルが、パワーあふれるというよりそれを絞り出すようなエンジンだからだ。リラックスした休日の足だと考えれば問題はない。コーナーでは重さを感じるが、しっかり走り抜けてくれる。
ミニはしなやかで、走りは熱く、ルーフ上に畳んだペントハウスの影響をほとんど感じさせない。クーパーSのバッジから期待されるほど楽しいわけではないが、ミニらしからぬ柔軟さがある。日常遣いでも十分以上に満足のいくクルマだ。
マルコ・ポーロは、毎日乗るには重く、しかも贅沢だといえるだろう。しかし、一夜を過ごしてフェスの開演に備えるには最高だ。フロントシートを回転させれば、4人で折り畳みテーブルを囲むこともできる。運転時のポジションのまま回すとボディに干渉することもあり面倒だが、操作に難しいところはなく、テーブルの展開はシンプルだ。座ったまま調理や皿洗いもできるが、ルーフを持ち上げれば立ったまま車内で動けるスペースもある。
このルーフ部に収まるダブルベッドは実に快適だが、身動きするのや、持って上るのを忘れたものを取りに戻るのは厄介だ。USBポートも備わるが、携帯電話の充電は遅々として進まないシロモノだった。230V外部電源につなげば話は違うのだろうが、あいにく今回のキャンプ場にその設備はなかったのである。
目的は快適な旅か、冒険か
ミニのテントには、そうした外部設備は必要ない。そこに備わる電気製品といえば、バッテリー式のライトだけだ。しかし、フラップのジッパーを開けてラダーを引き出して上るときには、懐中電灯が必要だろう。中に入れば大きな網棚があり、服や荷物はそこに置けるが、四隅に支柱があるため、ふたりで寝るには身を寄せなければならない。立つことはできないが、座るには快適で、雨風をしのげて換気窓もあるこのルーフボックスは、なかなかの優れモノだ。
メルセデスは、十分なスペースと設備を備え、外部電源を用いればエンジンを切ってもエアコンだって使える。ただし、引き出し式ソファベッドの寝心地には不満があり、外から電力を取れないときにはバッテリーを使い切らないよう注意しなければならない。しかも、ジャンプスタートをするには、マニュアルをしっかり読む必要がある。
マルコ・ポーロの方が洗練され、穏やかなペースで未知の場所へ旅するには優れている。しかしエアトップ付きのミニは、もっと気ままな冒険が楽しめて、大胆になれるクルマだ。
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