のっけから充電エラー頻発で暗雲垂れ込める1000kmチャレンジ
今回は、中国BYDの新型コンパクトEVドルフィンで1000kmチャレンジをしてきたのでその様子をリポートしたいと思います。
BYDの2023年の年間販売台数が300万台超え! 世界の新エネルギー車市場をリード
まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。
*走行ルート 海老名SA下り(神奈川県)→加古川北IC(兵庫県)→海老名SA上り(神奈川県)
*走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムは常にONにして快適な状態をキープ ・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のドルフィンロングレンジ純正タイヤ装着の場合はズレがほとんどなかったので補正なし)
それでは行ってみましょう。
(1) 海老名SA下り→浜松SA下り(150kW充電器)
・走行距離:192.2km ・消費電力量:100%→18% ・平均電費:4.15km/kWh ・外気温:3~6℃
やはりドルフィンは高速域の電費性能があまり高くなく、とくに制限速度120km/hが続く新東名の区間は、想定以上に電気を消費してしまいました。
ところが問題は、浜松SAで30分の充電セッションが終了したあとに、再度充電をスタートした際、充電エラーが発生してしまったことです。充電エラーは、そのほかのEVでもたまに遭遇するのですが、以前検証していたAtto 3ではエラーは発生していなかったので、これ以降の充電に対しても不安が残る形になりました。
(2) 浜松SA下り→桂川PA下り(90kW充電器)
・走行距離:220.1km ・消費電力量:85%→9% ・平均電費:4.95km/kWh ・外気温:0~5℃
2回目の充電スポットは初めて訪れる桂川PAでした。ここは最近になって90kW充電器が2台設置されており、関西圏を移動する際は貴重な充電スポットとなります。当初の予定では20~30km手前の草津PAの90kW充電器を使用するはずだったのですが、まさかの工事中で充電器が使えず。
じつはここまでは事前の計画で把握済みだったものの、充電器検索アプリ上では、もう1台の44kW充電器は使用可能という表示であったにもかかわらず、なんとそれも使用できず。よって、平均車速を落としてなんとか桂川PAにたどり着いた格好となりました。
そして、浜松SAと同様に、この桂川PAにおいても充電エラーが頻発。何度も繋ぎ直して最終的には充電することができたものの、原因がわからないので充電への不安がつきまといます。
(3) 桂川PA下り→加古川北IC→草津PA上り(90kW充電器)
・走行距離:220.7km ・消費電力量:93%→10% ・平均電費:4.65km/kWh ・外気温:−3~6℃
いよいよ折り返し地点を通過して後半戦に突入です。外気温もマイナス3℃と真冬の環境ということもあり、電費が伸びません。それを考慮して桂川PAでは充電残量93%まで充電を行ったものの、草津PA到着時点での充電残量は10%まで低下。
このドルフィンについては、充電残量7%程度から出力が制限されてしまい、充電残量5%程度になると、強制的にパワーダウンするということもあり、もう少し余裕を持った運用が求められると感じます。
そして、もっとも気になった点は充電の入りが悪くなっているということです。OBD2経由でバッテリー温度を観察していると、1回目の充電のスタートよりもバッテリー温度が高い状態で充電をスタートしているため、途中の充電出力制限のタイミングが早くなっていることが確認できました。
じつはこの現象は、春に実施したAtto 3においてもまったく同様に確認されており、海外市場でもAtto 3やEVセダンのHanについても同様の様子が確認されています。日産リーフで長年指摘されていた「熱ダレ問題」と似たような現象なのかもしれません。
1000km走破にかかった時間は約13時間
(4) 草津PA上り→浜松SA上り(150kW充電器)
・走行距離:195.4km ・消費電力量:85%→11% ・平均電費:4.72km/kWh ・外気温:0~1℃
トータル走行距離もようやく800kmを超えました。一方で、1回目の充電セッションである浜松下りのような充電性能は発揮できず、67%まで回復させるのに48分もかかってしまっています。
さらに、恐れていた充電エラーも再度発生。ここまでの充電セッションを確認する限り、充電エラーが発生しているのはABB製の急速充電器であることから、ドルフィンを長距離走行させる際は、ABB製の急速充電器を避けたほうが無難かもしれません。
この充電エラーについては、詳細がわかり次第、最新情報をアップデートしたいと思います。
(5) 浜松SA上り→駿河湾沼津SA上り(150kW充電器)
・走行距離:116.0km ・消費電力量:67%→15% ・平均電費:3.83km/kWh ・外気温:6~9℃
最後の充電スポットは駿河湾沼津SAです。ここにも150kW級の急速充電器が存在しますが、先ほどと同様にABB製であることで、ドルフィンの充電の際は注意が必要です。一方で、すぐ横にはニチコン製の90kW充電器も存在することから、充電エラーによって充電ができないということはありません。
ちなみに、浜松からの区間は120km/hを出すことができるので、そのぶんだけ電費は悪化します。ドルフィンのCd値は0.301とEVのなかでは優れた数値ではないので、今回の検証のようなタイムトライアルでない限りは、時速100km程度に抑えたほうが電気代の節約という観点では無難かもしれません。
(6) 駿河湾沼津SA上り→海老名SA上り
・走行距離:76.0km ・消費電力量:37%→9% ・平均電費:5.0km/kWh ・外気温:8~9℃
海老名SAに到着しました。トータルタイムは12時間59分、平均電費は4.53km/hでした。そして、充電にかかった時間は4時間オーバーと、これまでに行ってきた1000kmチャレンジのなかでもっとも充電の時間が必要だったEVの1台となってしまいました。
確かに、冬場であったことで電費が悪化してしまっていることは考慮に入れるべきですが、想定以上に時間がかかった要因は、なんといっても「熱ダレ問題」です。問題は、充電にかかる時間が最初の充電セッションと比較しても長くなってしまうことで、長距離になればなるほど不利になるという点。
こうなると、当初想定していた充電時間よりも多くの時間が必要となり、この後の行程に影響が出てしまうわけです。日産リーフオーナーとしても、とくにドルフィンについてはリーフとは異なりバッテリーの温度管理機構が搭載されていることから、もっとも残念な部分であったといわざるを得ません。
実際に、1000km走行するのに10時間ジャストで走破するEVが複数出てきていることからも、同じ走行距離で、車種によっては3時間も必要な時間が変わってしまうのがEVの現状です。長距離を中心に運用するのか、それとも自宅充電しかしないセカンドカーのような運用を想定しているのかによって、購入すべきEVが大きく変わってしまうという点は、押さえておきたいポイントです。
いずれにしても、BYDの新型コンパクトEVであるドルフィンロングレンジについては、充電エラーと充電出力制限によって期待以下の結果に終わってしまいました。
ただし、このドルフィンについては、セカンドカーとしての運用として日産サクラとも競合関係にあることから、サクラの倍の航続距離、倍の充電性能、などという点を考慮すると、それでもなお、非常にオススメできるEVであることは間違いありません。
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みんなのコメント
徳島の公立高校で貸与していたタブレットが変形したり焦げたりした。
中国製はそれだけリスクが高いということ。
旧車じゃあるまいし今どき熱ダレするようなクルマというのも製品としては欠陥車。
真夏どうなんの?