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打倒テスラ!! 勝負はここから3年? トヨタBEV戦略のカギはお得意のコストダウンにあった

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打倒テスラ!! 勝負はここから3年? トヨタBEV戦略のカギはお得意のコストダウンにあった

 4月7日に新体制方針説明会が開かれ、カーボンニュートラルに向けたマルチパスウェイを継続しつつ、BEVの開発強化が打ち出された。今後の動きはどうなるのか?

※本稿は2023年4月のものです
文/ベストカー編集部、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年5月26日号

打倒テスラ!! 勝負はここから3年? トヨタBEV戦略のカギはお得意のコストダウンにあった

■新体制方針説明会で示されたBEV開発のポイント

今回チラ見せされたレクサスから2026年に発売される新世代BEVスポーツモデルは、2021年12月にBEV戦略説明会で公開されたスポーツコンセプトEV(写真)とも少し違う印象。今後ベストカー本誌&Webで深掘りしていきたい

・BEVのリーダーを選任し開発、生産、事業を一元化した専任組織を新設
・専任組織はTNGAの有効活用により、生産工程を半減しコストダウンを実現
・2026年までにBEVの専用プラットフォームと次世代電池搭載のBEVを発売
・2026年までにBEVの新車10台を投入、販売台数は年間150万台を目標

■BEV開発について言及

新体制方針説明会でチラ見せされたレクサスから2026年に発売される新世代BEVスポーツモデル

 新体制方針説明会では多くのことが語られたが、やはり気になるのは、遅れているとされるBEV開発のテコ入れについて具体的な言及があったことだろう。

 佐藤社長は2月の新経営体制発表会見で「従来とは異なるアプローチによってBEVの開発を加速させる」と明らかにし、レクサスからEV専用プラットフォームとバッテリーを最適化した「クルマ屋が創る次世代BEV」を2026年に投入すると明らかにした。今回、その具体的なシルエットがチラ見ながらわかった(上写真)。

 さらに2026年末までに新たに10モデル、年間150万台のBEV販売を打ち出したが、これは2021年12月にBEV戦略説明会で発表した「2030年までに350万台」という目標の中間目標となる。150万台といえば、昨年のテスラの販売台数をも上回るものだ。

2022年世界のBEV販売ランキング。トヨタのEV販売は約2万台と、世界でのシェアは0.3%にすぎない

 上の表にあるように2022年のトヨタのEV販売は約2万台と、世界でのシェアは0.3%にすぎず、ハードルは高いと思われるが、グローバルで見れば中国やアメリカなどトヨタやレクサスブランドが強く、導入に向けた支援策も厚い、BEVが売れる地域はあるので、けっして不可能な数字ではないと関係者は話す。

 異例だったのは中嶋裕樹副社長(CTO=チーフ・テクノロジー・オフィサー)が、次世代BEVに向けた「専任組織」を新設し、ワンリーダーのもと、開発、生産、事業まで一気通貫した組織を作りあげ、GW明けにも正式発表すると明かしたことだ。

 これまでトヨタのBEVは「ZEVファクトリー」が担当し、bZ4XやRZもここで開発された。

 しかし、満足度は必ずしも高いわけではない。EV専用プラットフォームe-TNGAを採用するが、完全専用というわけではなく、一部のプラットフォームは共通化されており、生産ラインもHVやガソリンモデルと混流とされていた。

 電池性能についても、例えばbZ4Xは、1日に2回しか急速充電ができなかったり、急速充電性能が物足りなかったりとテスラをはじめ欧米のBEVに比べるとストレスを感じさせるものだった。ソフトの変更で改善されつつあるが、見直すべき点は多い。

 中嶋副社長はそのことを念頭に「次世代BEVは電池を極限まで使う」という表現で、飛躍的な性能を期待させた。

 専任組織はZEVファクトリーが「ZEVカンパニー」のような組織に発展するのか? リーダーは誰になるのか? 気になるところだ。

■広く普及させるには、コストダウンが不可欠

次世代BEVに向けて新設される「専任組織」はグローバルでの販売台数「1000万台で支える組織」とした

 次世代BEVの製造手法についても言及された。肝となる次世代プラットフォームは、EV専用の新型TNGAを採用、開発原単位を50%削減、内製投資を50%削減、サプライチェーンの協力による部品の最適化などによって大幅なコスト削減を目指す。

 さらにこの組織はグローバルでの販売台数「1000万台で支える組織」とした。少し解説すると、トヨタはハイブリッドモデルの原価低減に努め、第4世代ハイブリッド(新型プリウスは第5世代)はガソリンモデルに比べ10%も利益が高いという。

 宮崎洋一副社長(CFO=チーフ・フィナンシャル・オフィサー)は、(1)その儲かるハイブリッドが今後新興国に広がることで収益増が見込め、(2)バリューチェーンによる収益拡大、(3)TPSと原価低減、の3本の稼ぐ力で次世代BEVの開発費を賄いながら着実に成長していくとした。1000万台で支える組織とはそういった意味だ。

 トヨタ初の本格BEV、bZ4Xでトヨタは大いに勉強させられたということだろう。

 次世代BEVに注目が行くが、2025年までにbZシリーズ(コンパクトSUVやラージSUV、スモールクロスオーバー、セダン)を中心に数多くのBEVの発売が予定され、それらのモデルをどこまで魅力的なモデルに引き上げられるか? 2025年までの3年間が試金石となるかもしれない。

【番外コラム】クルマの知能化で夢がかなうかも!?

AE86(写真)やソアラなど、あの時代の乗り味が知能化によってどう蘇るのか!?

 方針説明会ではクルマの知能化についても説明があった。

 トヨタがウーブン・バイ・トヨタと開発を進める車載ソフトのプラットフォームArene(アリーン)OSによって、先進安全性やマルチメディアはいつも最新モデル同様にアップデートできることはもちろんだが、走る、曲がる、止まるといった「乗り味」をカスタマイズすることができるという。

 例えば最新の電動モデルであっても、初めてお金を貯めて買ったスポーツモデルの乗り味も今風に蘇らせることができるというから、おじさんたちには朗報と言えそうだ。

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