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現行モデルの初代はかなり優秀だった? 往年のコンパクトカー3選

掲載 更新 11
現行モデルの初代はかなり優秀だった? 往年のコンパクトカー3選

■現行モデルのコンパクトカー、初代はどんなクルマ?

 かつて、日本の自動車市場で販売台数のトップに君臨していたのはトヨタ「カローラ」で、33年間も王座を守り続けていました。
 
 しかし、2000年代からはコンパクトカーやハイブリッド車が市場を席巻するようになり、近年は軽自動車がトップセラーです。

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 ここ数年は軽自動車、とくにハイトワゴン/トールワゴンが日本でもっとも売れているクルマですが、登録車で常に上位に位置しているのがコンパクトカーで、2020年にはトヨタ「ヤリス」が1位を獲得しています。

 コンパクトカーは使い勝手や取りまわしが良好、安価で燃費が良く経済性に優れ、優等生といえるモデルであり、1970年代以降のFF車の普及によって数を増やし、現在に至ります。

 現在も各メーカーともコンパクトカーに力を入れていますが、現行モデルの初代を振り返るとかなり秀逸なモデルばかりです。

 そこで、今に続くモデルの原点となった往年のコンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「マーチ」

 日産は1970年に同社初のFF車として「チェリー」を発売しました。まだFFの技術が固まっていない頃でしたが、その後は「チェリー F-II」、初代「パルサー」へとコンセプトが受け継がれました。

 そして、もっとコンパクトなエントリーカーのニーズが高まり、1982年にすべてが新しい次世代のFFコンパクトカーの初代「マーチ」がデビュー。

 発売前年の1981年に開催された東京モーターショーにコンセプトカー「NX-018」として出展され、市販予定車として車名を一般公募するキャンペーンがおこなわれてマーチに決まりました。

 ボディサイズは全長3760mm×全幅1560mm×全高1395mmとリッターカーとしては当時の標準的なサイズですが、外観デザインは巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが担当。

 ボディタイプは3ドアと5ドアハッチバックが設定され、飽きのこないシンプルなデザインが高い評価を得ます。

 発売当初に搭載されたエンジンは52馬力を発揮する1リッター直列4気筒SOHCのみで、トランスミッションは5速MTと4速MT、3速ATが組み合わされました。

 内装はエントリーモデルらしく装備を簡略化することで、価格は60万円台からと戦略的な価格に設定。すでに市場にはライバルがいましたが、優れたデザインと安価な価格を武器に行動的な女性を中心に人気を獲得します。

 また、装備の簡略化による軽量化も図られ、700kg未満の車重を実現したことから52馬力のアンダーパワーながらもキビキビとした走りが可能でした。

 初代マーチは開発段階からグローバルカーの使命が課せられ、1983年には「マイクラ」の名で欧州デビューを果たし、1985年にはカナダへと上陸。とくに同クラスのライバルが多い欧州でヒットし、もっとも売れた輸入車となりました。

 その後はさらなるユーザー獲得のためバリエーションの拡充を進め、「マーチ ターボ」や伝説的な高性能モデルの「マーチR」と「マーチ スーパーターボ」が誕生。

 女性に向けた仕様の「マーチ コレット」や「マーチ コレット キャンバストップ」が加わり、パイクカー3兄弟のベース車にもなりました。

 初代マーチは1992年に2代目にバトンタッチして生産を終了。10年間販売されて当時としては異例のロングセラーになりましたが、かなり密度の濃い10年間だったのではないでしょうか。

●マツダ「デミオ」

 現行モデルのマツダのコンパクトカーは「マツダ2」で、質感の高い内外装が好評となり、さらにクラスで唯一のディーゼルエンジン搭載車をラインナップしている個性派です。

 このマツダ2の前身が「デミオ」で、初代は1996年に誕生しました。

 当時、バブル崩壊の影響から消費が鈍くなっていたマーケットに、シンプルで実用性の高いコンパクトカーを低価格で供給するために開発されました。

 同社が生産していたフォード「フェスティバ」のコンポーネンツを流用して、短期間・低コストで開発したコンパクトショートワゴンタイプのボディは、全長3800mm×全幅1650mm×全高1500mm(ルーフレール付きは1535mm)と、機械式立体駐車場に対応して実用性をたかめています。

 さらにルーフラインを水平基調にデザインすることで、リアシートのヘッドクリアランスも十分に確保し、大人4名乗車でも窮屈にならない広い室内空間を実現。

 また、シートをフルフラットにすることも可能で、リアシートを倒して荷室を拡大すれば、高い収容力も持っていました。

 エンジンは最高出力100馬力の1.5リッター直列4気筒、または83馬力の1.3リッター直列4気筒を搭載。実用には十分な性能を備えており、組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速AT(1.3リッター車は3速AT)が選べ、駆動方式はFFのみです。

 移動という目的を果たすための手段として、デミオは日常でも週末のレジャーでも不満がなく、ミドルクラスのクルマからの乗り換えや、運転のしやすさもあって軽自動車からの乗り換えなど、幅広い層に受け入れられました。

 デビュー当時の価格(消費税含まず)はエントリーモデルで95万9000円、売れ筋の中間グレードでも110万円台と、かなり戦略的な価格設定でした。

●トヨタ「ヴィッツ」

 2020年にベストセラーになったヤリスの前身は「ヴィッツ」です。1998年のパリモーターショーでヤリスの名で発表され、1999年1月に日本で発売されました。

 ヴィッツは、長くトヨタのコンパクトカーとして貢献してきた「スターレット」の実質的な後継車として誕生。

 プラットフォームからエンジンに至るまで、基本的なコンポーネンツのすべてが新開発され、ボディサイズは全長3610mm×全幅1660mm×全高1500mm、ホイールベース2370mmと、現在の水準からするとかなりコンパクトな3ドアハッチバックと5ドアハッチバックのボディをラインナップしました。

 外観は曲面を多用して丸みを帯びた張りのあるフォルムを採用し、コンパクトサイズながら見た目にも安定感のある印象のデザインです。

 また内装ではクラスを超えた広い居住スペースを確保しつつ、外観と同様に曲面を多用したインパネにセンターメーターを配置する斬新な意匠を採用。加えて収納スペースも多く、実用的かつ機能的でした。

 発売当初に搭載されたエンジンは70馬力の1リッター直列4気筒のみで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、決してパワフルではありませんでしたが、すべてのグレードが800kg台という軽量な車体には十分な性能です。

 その後、1.3リッター、1.5リッターエンジン車を追加し、スポーティな「RS」やビジネスモデル、燃費性能に特化したグレードが設定されるなど、バリエーションの拡充も図られました。

 発売当初の価格(消費税含まず)は83万円から、量販グレードでも90万円台とリーズナブルで、日本のみならず、欧州でも大ヒットを記録し、2000年には日本車として史上2台目となる「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。

 さらに「1999-2000年 日本カー・オブ・ザ・イヤー」の受賞と併せ、ダブルタイトルを獲得する快挙を成し遂げるなど、同クラスのベンチマークとして認められる存在となりました。

※ ※ ※

 コンパクトカーは日本の道路事情や住環境にマッチし、実燃費は軽自動車よりも良好なモデルも多いなど、ベストセラーになるのも納得できます。

 しかし、現状ではヤリス一強の状況となっているのが実情です。実際にヤリスは全方位的に優れたモデルなので売れるのも当然といえますが、ライバル車がいまひとつ元気がありません。

 一般的にコンパクトカーは薄利多売なため、数が出ないことには簡単に改良できないところも、各メーカーは歯がゆいところでしょう。

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みんなのコメント

11件
  • やっぱり初代のヴィッツが好き。
    今のヤリス(GRスポーツ除く)は下品過ぎる。
  • 営業車でヴィッツのユーロスポーツエディション使ってた懐かしい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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