新たな魅力を提案する車種として登場
スペシャリティカーとは、それまで分類されてきた車種に属さない特別な一台という意味だ。1970年の初代トヨタ・セリカが、始まりとされる。
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それまでも、4ドアセダンやステーションワゴンといったクルマのほかに、クーペやハードトップのような外観の格好よさなどを魅力にした車種があった。また、スポーツカーのような走行性能を売りとするクルマもあった。
それらに属さない新たな魅力を提案する車種として、スペシャリティカーは誕生した。その最初とされるセリカは、あえていえばハードトップ的な外観ではあるが、全体的に丸みを帯びた流麗な姿で、なおかつ上級車の雰囲気を持つ。トヨタ車のみならず、ほかのどのクルマとも違う姿は目立つだけでなく、それを選ぶ人のお洒落な感性を伺わせたものだった。
基になった機構は、走りのよさを特徴としたカリーナを活用している。したがって、単に外観が独創的であるだけでなく、走行性能の高さも備えていた。消費者に衝撃的価値をもたらすクルマの誕生だった。
セリカは装備や性能などを選べるフルチョイスシステムを採用していた
また、トヨタの新しい取り組みとして、装備や性能などを選べるフルチョイスシステムと呼ぶ受注方法を採り入れた点も独特だった。グレードという選択肢のなかで、自分で欲しいと思う装備を取捨選択しても、あまり使わないと思える装備が残ったりする場合がある。一方で、完全な受注生産になれば、価格も上がる可能性があり、また納車にも時間を要する懸念がある。必要なものと必要のないものを選んで無駄のない注文ができる、それがフルチョイスシステムだった。
しかし、結局は設定されたグレードで選ばれる傾向が強く、フルチョイスシステムを活用した消費者は少なかったようだ。しかし今日のインターネット時代では、あらためて取り組む価値はあるかもしれない。
初代セリカにはまた、GTVと名付けられた高性能車もあった。そうしたことを含め、初代セリカは斬新な持ち味にあふれたスペシャリティカーだったのである。
好景気を反映した余力のなかで生まれた車種たち
クルマの本質的な性能に、新たな魅力を加えたという意味で、ホンダ・プレリュードもスペシャリティカーといえるのではないか。ことに1982年の2代目は、リトラクタブル式ヘッドライトを含め、前輪駆動(FWD)車とは思えない、ミッドシップカーのような外観が大きな魅力であった。
日産車では、シルビアが初代から特別な存在感を持った車種といえる。だが、セリカやプレリュードほど多くの人々に関心を寄せられることのないまま代を重ね、5代目のS13と型式名で呼ばれるクルマになって、一気に人気を高めた。簡素ながら魅了する造形の力と、後輪駆動(RWD)である点で、プレリュードとは別の魅力があった。この時代はセリカもFWDとなっており、5ナンバーでRWDという貴重な存在でもあった。
いずれのスペシャリティカーも、好景気を反映した余力のなかで生まれた車種であり、いずれも2000年以降に廃止となっている。余力を楽しむゆとりがクルマからなくなり、実用一点張りとなっていくのである。
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みんなのコメント
むしろ、RV的な車と、軽自動車の台頭。
じゃないかなと。
あと、少子化か。若者がいないんだよね。
無くなっていったのはランエボとインプの格安高パフォーマンスカーの影響も実は大きかったのではと思います。
セダンなのにスタイリッシュでカッコ良いクーペ達より速くてスポーティなんだから。
メディアもそちらしか殆ど取り上げなかったでしょ。
S13、R32の頃は良くメディアに出ていたけどその後になるともうあまり出てこなかった。