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GT-RやタイプRなど相次いで消滅? 燃費&騒音規制と国産スポーツモデルの存亡

掲載 更新 17
GT-RやタイプRなど相次いで消滅? 燃費&騒音規制と国産スポーツモデルの存亡

 規制強化目前で国産スポーツモデルの今後に暗雲?

 間もなく規制が強化されることで、燃費が良くない車の存続が危ぶまれている。当然のことながら、自動車文化や各メーカーのイメージリーダーを担ってきたエンジンで動くスポーツモデルは“燃費の悪いモデル”である場合が多い。

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 果たして、国産スポーツモデルは今後どうなってしまうのか? 実はメーカーの事情によってスポーツモデルが存続できるか否かは大きく異なるようだ。以下、国沢光宏氏が解説する。

文:国沢光宏
写真:トヨタ、日産、スバル、ホンダ、スズキ、平野学、奥隅圭之、茂呂幸正

【画像ギャラリー】9月16日に初公開される新型フェアレディZの歴代車をみる

トヨタもスバルも全車種の平均燃費を17.6km/Lにしなければならない!?

 すでに御存じかもしれないけれど、日本は2020年から、欧州でも2021年からCAFEと呼ばれる厳しい厳しい企業平均燃費規制開始となる。

 例えばトヨタなら、トヨタで販売している全車種の平均燃費を、2020年の規制値であるWLTCモードで17.6km/Lにしなければならない。もちろんトヨタだけでなく日産もホンダもスバルも17.6km/Lです。

 ここまで読んで「燃費の良いハイブリッド車の多いトヨタも、コンパクトカーやハイブリッド車を持たないスバルも同じか?」と思うだろう。「その通り!」です。

2020年9月4日、ついにGRヤリス カタログモデルが正式発表となった(WLTCモード:RZ 13.6km/L、RS 18.2km/L)

 だからトヨタは今になって1600cc過給4WDのGRヤリスを発表した。スープラだってある。スバルの場合、WRX STIやBRZなど受注停止し、絶版モデルとせざるを得なくなったワケ。

 こうなると気になるのが現在発売されているスポーツモデルの状況だ。果たして生きのこれるのだろうか。はたまた、2030年から一段と厳しくなる燃費規制(25.4km/L)を考えたら次世代モデルの開発はありえるのだろうか。

 以下、モデル毎に状況判断と今後の予想を紹介してみたい。絶版になりそうなら早めに購入をすすめておく。

トヨタと日産を代表するスポーツカーの今後に明暗?

●スープラ

2002年に生産を終了してから17年後、2019年に復活したスープラ(WLTCモード:SZ 13.1km/L、RZ 12.0km/L、写真:特別仕様車 RZ Horizon blue edition)

 トヨタはCAFEの優等生といってよかろう。コンパクトクラスのハイブリッドカーで圧倒的な燃費を実現しているからだ。RAV4のような重量級モデルすら基準をクリアしている。

 したがってスープラの燃費でも全く問題なし! チーフエンジニアの多田さんいわく「燃費は気にするなと言って開発しました」。当面安泰です。

●86/BRZ

2020年7月に現行モデルの注文受付を終了したスバルBRZ(WLTCモード:6MT 12.8km/L、E-6AT 11.8km/L)

 スバルの燃費規制が引っかかってきます。だからこそ新型にバトンタッチ出来ず、一旦生産終了になってしまう。

 次期型も燃費改良とスバルの平均燃費改善策がセットにならないと販売することは難しいと考えます。「2400ccターボを搭載する」などというウワサも流れているが100%無理。2021年末に燃費の良い新型登場か?

●GT-R

2021年より厳しい騒音規制が始まるため、新車GT-Rを購入する場合は、2021年の春までにオーダーすべきだという(WLTCモード:5.2km/L~9.4km/L)

 日産の場合、電気自動車やe-POWERで平均燃費を稼げるため、未だ受注を続けられている。CAFEだけを考えるなら、まだまだ売れると思う。

 ただし! 2021年から厳しい騒音規制が始まります。こいつをクリアすることは難しい。2021年一杯での絶版は避けられず。新車を買いたいなら2021年の春までにオーダーすべき。

●フェアレディZ

2020年9月16日に新型フェアレディZ プロトタイプを初公開する(写真:フェアレディZ プロトタイプ ティザーサイトからスクリーンショット)

 CAFEクリアで大騒ぎしているなか、新型Zが登場してくる! しかも400馬力モデルもあるというから驚きますね!

 日産は電気自動車やe-POWERあるから余力あるということなんだろう。少なくとも6年くらい生産されると考えていい。エンジンだけで走る最後の本格的なスポーツカーになるかもしれません。

※フェアレディZ プロトタイプ ティザーサイトはこちら

ホンダのスポーツモデルを買うなら今しかない!?

●シビックタイプR

世界1000台、日本200台限定 シビックタイプR Limited Edition。マイナーチェンジ版も含め、発売が延期された

 現行モデルについていえば、おそらく次期型がデビューする2022年までは販売されると思う。最後の1年で厳しいの、燃費じゃなく騒音規制です。タイヤ太いと、それだけで騒音規制を超えてしまうほど厳しいのだった。

 次期型についていえば「存在しない」方に1000点掛ける! 欲しいと考えるなら来年中に。

●NSX

2017年にフルモデルチェンジした現行型NSX。2020年1月から7月までの累計販売台数はわずか9台だった(WLTCモード:10.6km/L)

 販売台数を考えると打てる手は少ない。NSXの開発にハンコ押した首脳陣も、ここまで売れないとは予想していなかったと思う。

 日本だけじゃなくメイン市場のアメリカだって新型コルベットの登場でトドメ刺された格好。いつ生産中止になってもおかしくないし、次期型の開発にOK出るとも思えないです。燃費規制関係なしに厳しい。

WRXやスイフトスポーツの今後はどうなる?

●WRX

スバルEJ20型エンジンの生産終了決定に伴い、WRX STIが生産終了した(写真:WRX STI EJ20 Final Edition)

 STIは絶版。S4も現在販売されているSTIスポーツがいつオーダーストップになってもおかしくない状況にある。スバル筋から聞いた話だと次期型を開発しており、日本でも販売予定らしい。

 問題は発売時期。スバルに燃費の良いハイブリッドやPHVなど出てこないと厳しいんじゃなかろうか。早くて2021年末か? S4を買うなら今です。

●スイフトスポーツ

スイフトスポーツ(6速MT車)は、17.6km/Lと2020年燃費規制をパス出来る(6速ATではWLTCモード:16.6km/L)

 燃費の良いクルマの多いスズキは、スポーツモデルを作りやすい環境にある。しかも6速MT車だと現時点ですら2020年規制をクリア出来る17.6km/L! 静かなエンジンなので騒音規制だってパスできることだろう。

 コンパクト&軽量なスポーツモデルは生き延びる。素晴らしいコンセプトだと思う。

◆  ◆  ◆

 以上、現在販売されているスポーツモデルの最新状況です。なかなか厳しいものの、遠からず電気自動車やPHV、ハイブリッドのスポーツモデルが出てくるだろう。

 リーフe+など今でも筑波サーキットを1分10秒台で走るポテンシャルを持つ。10年後もスポーツモデルは不滅だ。ただ100%エンジン車が欲しいなら早めに動くこと!

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みんなのコメント

17件
  • 燃費はまだ分かるが、騒音規制は・・・?
    バイクの方が圧倒的にうるさい気がしますけど。。。
  • 騒音規制は、結局バカが吹かしすぎたりするから規制がかかっただけなんやろな。

    普通に走ってたらそこまで迷惑にならんと思うのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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