デビュー8年目「アルファード」はなぜ売れ続けるのか？ 次期モデルで最も向上が期待される性能はなにか？

アルヴェル二強時代からアルファード一強体制へ
トヨタの最高峰ミニバン「アルファード」。かつては姉妹車の「ヴェルファイア」と自社内で切磋琢磨していた時期もありましたが、現在のヴェルファイアは2.5Ｌガソリン車（FF/4WD）と、ハイブリッド（4WD）の3グレードのみのラインアップとなっているのに対して、アルファードは違います。

アルファードのパワートレインは3種類が用意されています。
・2.5Ｌガソリン車（直列4気筒、FF/4WD）
・3.5Ｌガソリン車（V型6気筒、FF/4WD）
・2.5Lガソリンハイブリッド（直列4気筒、4WDのみ）

もちろん7人乗りだけでなく、8人乗り仕様も設定（ヴェルファイアは7人乗りのみ）。もっとも手頃なのは8人乗りのエントリーグレード「X」（FF）で、価格は359万7000円と、多くの人に手の届くミニバンになっています。

一方、ショーファードリブン（運転手付きの車）としても使われるハイブリッドの最上級グレード「ハイブリッド エグゼクティブラウンジS」は、エントリーグレードの倍以上となる775万円を超える価格となっています。3.5Lエンジン車の最上級グレードも760万円オーバー。キング・オブ・ミニバンとして多彩な選択肢を用意しています。






2021年はミニバンとして最も売れたクルマになった！
恐るべきは、けっして安くはないアルファードが好調に売れていることでしょう。2021年度の販売台数は7万9726台で、これは登録車の販売ランキングで7位。「ホンダ フリード」を抑えてミニバンとしてはもっとも売れたモデルなのです。

しかも現行アルファードのデビューは2015年1月です。タイミング的にはいつフルモデルチェンジをしてもおかしくありませんが、8年目でもこれほど売れているのですから、あえてモデルチェンジを実施する必要性もないといえます。

全体としては古さを感じる部分があるのは否めませんが、純正ナビゲーションの画面サイズを10.5インチに拡大するなど、ディテールのアップデートはしっかりと実施していますから、目に見えて商品力が衰えているとはいえません。そもそもライバル不在といえるほどの商品力があり、姉妹車の「ヴェルファイア」が実質的にフェードアウトしようとしている中で、アルファードの存在感はますます増しているのが実情でしょう。




モデル末期でも取り回しのいい現行型狙いのユーザーは多い
存在感といえば、アルファードはボディサイズも全長が5メートル近くあり（4935～4950mm）、全幅も1850mmとビッグサイズです。高いシートポジションや見切りのいい視界もあって、市街地での取り回しはそれほど苦労しませんが、フルモデルチェンジとなればボディサイズが拡大することは必至。むしろ熟成によって完成度を上げた現行型を買うというのは賢い選択でもあるのです。

けっして新しくはないアルファードが好調に売れている背景には、そういう風に考えるユーザーが多いからかもしれません。あえてフルモデルチェンジというチャレンジをすることなく、熟成を進めるというトヨタの戦略は正しいともいえます。

一方、現行アルファードのウィークポイントは燃費。ハイブリッドでもWLTCモード燃費は15km/Lを割るほどで、ガソリン価格高騰やカーボンニュートラルといったトレンドからすると燃費改善への要望が高まっているのは確実です。




LLクラスと呼ばれる大型ミニバンで燃費を改善するには、プラットフォームから見直した軽量化、ハイブリッドであればエンジン熱効率の改善やバッテリーの高性能化などが必須になります。そうした部分で性能を向上させようと思えば、抜本的な改善ができるフルモデルチェンジしかありません。そうした思いが、アルファードのフルモデルチェンジを求める声につながっているともいえそうです。






文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）
写真：
1～3枚目：アルファード 特別仕様車 S“TYPE GOLD III”
4～5枚目：ヴェルファイア GOLDEN EYES III

Comments

確かにいい車でよく売れているが、貯金やら生活費を考えて買わないと、後が大変だよ。
安いアパートにアルファード、ミスマッチだよね。

見栄を張る庶民が多すぎ。子供の教育費まで削って乗る家族が多すぎ。