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かわいさ満点の雛鳥をニコニコ写!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第20回~チゴハヤブサ」

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かわいさ満点の雛鳥をニコニコ写!「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第20回~チゴハヤブサ」

ドライバー3月号(2020年1月20日発売号)からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国をSUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第20回は、長野で撮影した『チゴハヤブサ。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。
 

急降下のスピードはなんと380km/h!
 
「はやぶさ」で最初に思いつくのはやっぱりアレだな。
ブルートレイン。
東京駅から一昼夜かけて西鹿児島(今の鹿児島中央駅)まで走っていた寝台特急だ。ブルートレインはなくなったが、その名前は今でも東北新幹線の列車に引き継がれている。
 

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●走るホテルといわれた寝台特急、通称ブルートレイン。今はすべて廃止になっている
 
ほかにもスズキのバイクや戦闘機でも「隼」があるが、どれをとっても速さの象徴としてネーミングされたものばかりだ。
 
鳥のハヤブサがいったいどれだけ速いのだろう?と調べてみたら、びっくりして「ホンマかいな?」と口をあんぐりさせてしまった。
文献にもよるが380km/hとか書いてある。
 
飛ぶというより急降下のスピードだけど想像の域を超えていた。加えるならF1も超えそうだ。まあ、あまり比べる意味もないのだが、WRCマシンではとてもかなわない(笑)。
 
同じ名前で比べてみると新幹線のはやぶさの最高速は320km/hぐらいだから、ジャストのネーミングですな。ブルートレインのころのスピードではハヤブサが空を飛びながら文句を言ってたんじゃないかな。
「こんな遅くない」って。
そう言えば小惑星探査機も「はやぶさ」だったな。
 

●「はやぶさ」のマークに似た飛翔の写真を探したが、なかなかあの形で飛ぶことは少ないようだ
 
戦闘機もそうだけど昔から人々はハヤブサの能力をちゃんと理解していて、速いものにネーミングするという正確さに驚いた。
 
ハヤブサの撮影は湘南や北海道でトライしてきた。何度か通えば出会えるけど近くで大きく撮影するのは至難のワザ。
 
そんななか、チゴハヤブサなる少し小さくて丸っこいハヤブサがいることを知った。
写真を見るとこれがメチャクチャかわいい。稚児(ちご。子供の意)という形容詞が付く理由がよくわかる。
 

 
これを撮りたい!
しかし、渡り鳥で春から夏に日本に来るらしいが、どこに来るのかわからない。
だが調べると、山形、新潟から長野あたりに来ることが多いらしい。とりあえず長野の妙高高原にGO!
 
楽チンSUVでチゴハヤブサを探しに長野へ
 
今回のお供はフォルクスワーゲン ティグアン TSIエレガンスだ。ガソリンターボエンジンのFF(前輪駆動)である。
 

 
このクルマは室内に数多くの収納があり、USBソケット、12Vだけでなく100Vのアウトプットがあり、簡易カーキャンピングには最適のクルマだ。
 
高速道路の移動はクルーズコントロールがとにかく便利。一度使うともう手放せない。ティグアンにももちろん付いていて、車間距離が微妙なときや前方が開けたときの加速のしかたが鈍くもなく急でもなく、ドライバーの操作感覚とシンクロしていてクルマに任せっきりにできる。
 
最初、何度か出かけて土地勘のある妙高高原あたりからチゴハヤブサ捜索を始めた。
崖があるエリアや神社を探す。
 
しかしそう簡単には見つからない。
そうこうするうちにこのあたりの「えちごトキめき鉄道」にはスイッチバック駅があることを思い出した。
 
スイッチバックというのは急勾配の途中に駅を作らないといけない場合に線路をジグザグ、Z字のように配置して折り返しながら登るように線路を配置したものだ。
 
昔は日本全国、山の中にはあったようだが、電化や車両の性能向上によって次々に廃止された。
 

 
しかし、ここ二本木駅は今でも現役のスイッチバック駅だ。時として上り下りの電車が同時にホームに入ってきたり、ジグザグに行ったり来たりするのを見学できて楽しい。
 

 
隣の関山駅もかつてはスイッチバック駅でその遺構が残っているらしいので、そこにも寄ってみた。
 
民家の庭先からかつてのホームに出られるような感じで、駅跡は雑草が茂りいい感じの風景が広がっていた。
 

 
えーと、オイラは何をしに来たんだっけ? そうそうチゴハヤブサ探しだ。
長野市内に移動しながら、ところどころ何か動物でも見かけないか山道に寄り道してみた。ティグアンは4WDではなくFFだが、路面がきれいなダートは全然苦にならない。ちょっとした凸凹で乗り心地がいいのはSUVとして大切なポイントだ。
 

 
また、ティグアンには応急タイヤではあるけどスペアタイヤが装備されている。これは野山を走るにはとても心強いことである。
 

 
ハンドリングは車高のわりにロール感が少なく、舗装のワインディングも軽快に走る。
加えて言えば、7速DSGのトルコンとはひと味違うアクセルオンのときのダイレクト感と、少し回転を上げるとシャープになってくるガソリンターボエンジンとの組み合わせで、なかなかにスポーティさも感じる。
 
長野市内とその周辺の過去にチゴハヤブサが飛来した情報がある神社や公園を巡る。それぞれの場所でしばらく様子を見ながら通りがかる地元に人に話を聞いてみる。
「前にカメラマンがたくさん来てたね~。でもここ数年、見かけないから、来てないんじゃないな~」というのがほとんどの反応。
 
そして、最後に有力情報を得てそこに向かう。
しかしそこも閑散としていた。
 
これは撃沈、撤収か~と思っていたところ、木の上からフワーッと鳥が飛んだ。
 
あれ? 何だろう?
 
双眼鏡を取り出そうとしているときに近所の人が犬の散歩でやってきた。
カメラと双眼鏡を持つオイラに「あれは今年の雛(ひな)だね!」とひと言。
 
そう、ついにチゴハヤブサに出会ったのだ。
 

とにかくかわいい!
 

 
どうです、この表情。ハヤブサの精悍さよりもかわいらしさが際立っている。雛は3羽いるようで、たまーに親鳥が餌を運んでくるときに集合するということもわかった。
 
どんどん日が低くなってチゴハヤブサたちに西日が差すころ、やっと2羽の並ぶところが撮れた。こうなれば明日、もう1日トライして3羽の集合に挑戦だ。
 

「撮影裏話&テクニック」
 

 
シャッタスピードは高く設定
 
この写真は飛んできたあとのくつろぎモード。体を震わせると羽毛に空気が入り膨らんでいる。見ようによっては兄弟が精いっぱい虚勢を張っているようでほほえましい。木に飛び込んでくるのを予想していたので、高いシャッタースピードを設定していた。
 
ちょっと距離はあるものの念願の3羽の絡みが撮れて万々歳。
 
 

 
[撮影データ]
カメラ:SONY α9
レンズ:FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
撮影モード:マニュアル
シャッタースピード:1/1250秒
絞り:F8
ISO:800
 

旅の締めくくりは絶品そばで
 
撮影には満足。そうなるとお腹も減ってくる。帰路につく前に須坂市にある知り合いのおそば屋さんに寄ることにした。高速のインターチェンジにも近く好都合だ。
 
そば処小杉 須坂店
長野県須坂市福島412−1
TEL:026-248-8864
営業時間:11:00~14:00(ラストオーダー)※売り切れ次第終了
定休日:金曜日
 

 
ここのオーナー、小杉さんはハイエースのキャンピングカーを駆り、美しい日の光と鳥の絡む写真を撮り続けている。
オイラはたまたま栃木の撮影場所で知り合って、その後、山梨の雪のなかでまた出会うという偶然を繰り返す不思議な縁でつながっている。
 
小杉さんが打つ、そば粉十割の雪そばは白く滑らかで、今まで知っていた黒くてワイルドなそばとは違う、初めて食べる滑らかなのどごしだった。
 
白い十割そばと茶そばに舌鼓を打ち、この旅の締めくくりとした。
 
 

「今回のSUV……フォルクスワーゲン ティグアン」
 

 
■フォルクスワーゲン ティグアン TSIエレガンス主要諸元
(7速DCT/FF)
全長×全幅×全高:4515mm×1840mm×1675mm
ホイールベース:2675mm
最低地上高:非公表
車両重量:1520kg
パワーユニット:直4DOHCターボ
総排気量:1497cc
最高出力:110kW(150ps)/5000~6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500~3500rpm
燃料/タンク容量:プレミアム/60L
WLTCモード燃費:14.3km/L
価格:491万1000円
 
〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている

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