現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【再検証】トヨタ「プリウス」よりも燃費がよかったホンダ「インサイト」どうして販売面で成功できなかったのか

ここから本文です

【再検証】トヨタ「プリウス」よりも燃費がよかったホンダ「インサイト」どうして販売面で成功できなかったのか

掲載 49
【再検証】トヨタ「プリウス」よりも燃費がよかったホンダ「インサイト」どうして販売面で成功できなかったのか

とことん燃費を追求したホンダスピリッツを感じる1台

 ホンダ初のハイブリッドカーとして、1999年に登場した初代インサイト。ハイブリッドという分野でトヨタに先を越されたホンダが開発したこのモデルは、「絶対プリウスに負けない」という意地と意気込み、そしてホンダスピリッツにあふれるクルマでした。その力の入れようは、初代NSXや歴代タイプR並みと言っても過言ではないものでした。そんな初代インサイトのこだわりを中心に振り返ってみましょう。

絶対王者のカローラを引きずり落とした小さな巨人! 「初代フィット」は衝撃のコンパクトカーだった

開発目標はずばり「低燃費世界No.1」

 初代インサイトの開発目標は「低燃費世界No.1」と至ってシンプル。この世界一を実現するために、当時のありとあらゆる最新技術が取り入れられました。そして実現したのが10・15モードで35.0km/Lという当時世界トップの燃費性能。ライバルとされていた初代プリウスの28.0km/Lを上まわる燃費性能を実現しました。

 しかし、ホンダらしさが表れてるポイントと言えるのが、「走る楽しさ」にもこだわっていたという点。当時のプレスリリースには「環境性能」や「燃費」という言葉とともに、「走りの楽しさ」やそれに類するような言葉も目立つぐらい、随所にこだわりが見受けられるのが印象的です。

 世界一の燃費性能を実現するため、初代インサイトは「パワーユニットの高効率化」「空力性能の追求」「車体の軽量化」の3つを大きな柱としました。それぞれの分野でホンダの最高技術が用いられていたのです。

モーターはアシストに徹した「パワートレイン」

 まず「パワーユニットの効率化」について。ホンダとしては初めてとなるハイブリッドシステム「IMAシステム」は、軽量かつ高効率でシンプルでした。エンジンは当時世界最軽量となる燃料効率を飛躍的に向上させた、1LリーンバーンVTECエンジンで、フリクション低減にも配慮して開発。そこに薄型DCブラシレスモーター、ニッケル水素バッテリーからなる電動アシストが装備されていました。

 エンジンとトランスミッションの間にモーターを設置し、主動力はエンジンでモーターはあくまでアシストに徹することで、システムをシンプルかつ小型にでき、軽量化に貢献しています。また、組み合わせるトランスミッションは専用開発のCVT「マルチマチックS」と、シフトフィーリングにもこだわり軽量化にも貢献してくれる5速MTのふたつが用意されていました。

NSXの知見を生かした「軽量化」

 次に「車体の軽量化」について。パワートレインの開発でも軽量化は重視されていましたが、当然車体の開発においても軽量化は重要とされていました。最大の特徴はアルミボディを採用しているということ。これには量産車初のオールアルミモノコックボディを実現した、初代NSXの知見が生かされています。

 また、単にアルミを使うだけではなく、複雑な断面形状の成形が可能な押し出し成形材や、成形の自由度が高いダイキャスト成形材など、複数の成形方法を採用。この点はNSXよりも進んでいるポイントと言えます。こうした開発の結果、820kg(5速MT車)という超軽量ながら、当時のシビックに比べて曲げ剛性、ねじり剛性ともに向上させているのです。

デザインの時点で最優先されていた「空力」

 そして「空力性能の追求」。いかに空気抵抗を減らすかという目標にもとづいて、さまざまな工夫が施されています。通常クルマのデザインを決める場合、イメージスケッチにデザインを起こし、空力を配慮したデザイン処理をスタイリングに落とし込んでいきます。しかし、初代インサイトは空力を最優先した理想的フォルムを元にクレイモデルを試作。この試作デザインを繰り返し検証しながら、視界やヘッドクリアランスなど実用性能を追加していきました。独特なフォルムの2シータークーペは空力性能ありきで生まれたデザインとパッケージなのです。

 そのほか、ホイールスパッツやフロアのフラット化など、さまざまな部分で空気抵抗を意識した空力処理を実施。その結果Cd値0.25という当時の量産車世界最高レベルの空力性能を実現していました。

「負けるもんか」な気持ちが存分に込められた1台

 世界最高の燃費性能を実現するため、ありとあらゆる先端技術を投入した初代インサイト。細部を見ていくと燃費性能に対して「負けるもんか」という気持ちが存分に表れているのを感じ取れます。

 のちに登場していった数々のハイブリッドカーはエコカーであることはもちろんですが、日々の利便性なども配慮されていました。しかし、初代インサイトの開発目標は「低燃費世界No.1」。その目標を実現するために多少の利便性をも犠牲にしたのが、プリウスと比べてヒットにならなかった理由と言えるでしょう。2シータークーペというパッケージにそのキャラクターが表れているとも言えます。

 しかし、量産車でこれほどまでに燃費スペシャルで開発されたモデルはほかにありません。ホンダスピリッツを肌で感じたいのであれば、タイプRだけでなく、初代インサイトという選択肢も大いにアリと言えるでしょう。

こんな記事も読まれています

夢のように走った「RR」 3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2) クラス優勝の常連
夢のように走った「RR」 3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2) クラス優勝の常連
AUTOCAR JAPAN
東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)
東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)
AUTOCAR JAPAN
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
WEB CARTOP
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
日刊自動車新聞
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
GQ JAPAN
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
乗りものニュース
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
motorsport.com 日本版
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
グーネット
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
グーネット
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
AUTOSPORT web
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
GQ JAPAN
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時は一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に構築
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時は一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に構築
日刊自動車新聞
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
@DIME
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
日刊自動車新聞
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
乗りものニュース
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
motorsport.com 日本版
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
レスポンス
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
AUTOSPORT web

みんなのコメント

49件
  • 2名しか乗れない、荷物もろくに詰めない、スポーツカーでもない
    実験用に近い車でホンダにもHBの技術がありますよ
    と出した車
    ホンダも売れると思って出していない。
  • 2代目インサイトは簡易HVにも拘らず
    あたかも「ホンダのHVは安い」
    と世間を騙すように謳ったもんだから
    トヨタが怒っちゃったんだよな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

335.5372.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.9329.8万円

中古車を検索
インサイトの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

335.5372.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.9329.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村