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【刷新】新型トヨタ・アクア 身内で共食い? 問われる販売力

掲載 更新 27
【刷新】新型トヨタ・アクア 身内で共食い? 問われる販売力

新生アクア 燃費「30km/Lの壁」軽々超える

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】キープコンセプトで着実に進化【新型アクアと先代アクアを比べる】 全38枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

「やはり燃費の良さで選んだ」

2021年7月19日の正式発売を前に、SNSなどでは新型アクアをトヨタ販売店で予約した人たちのコメントが見られるようになった。

たしかに、蓋を開けてみると、見事な数字が並んでいる。

日本でもすっかり馴染みとなった、国際基準の燃費消費率WLTCモードで、グレードZとGが33.6km/L、グレードXが34.6km/L、そしてグレードBで35.8km/Lと、「30km/Lの壁」を大幅に超えてきた。

先代アクアは、グレードLで29.8km/Lであり、新型は実に約20%もの大幅な燃費改善を実現している。

同じく、Bセグメントの日系コンパクトカーでは、e:HEVを搭載するホンダ・フィットが29.4km/L、またエンジンを発電機として使うeパワー採用の日産ノートがFグレードで29.5km/Lと「30km/Lの壁」にあともう1歩で届いていない状況をみると、あらためてアクアの燃費の良さは際立つ。

むろん、新型アクアの低燃費については、先に登場しているトヨタヤリスの実績を見れば十分に予想はついたことだ。

ヤリス・ハイブリッドもアクアと同じく、エンジン型式M15A-FXEの排気量1.5L直列3気筒を搭載しているからだ。ヤリスはハイブリッドZで35.4km/L、ハイブリッドGで35.8km/L、そしてハイブリッドXが36.0km/Lである。

先代アクアの課題 走りは「カイゼン」?

先行予約した人たちにとって、もう1つ、新型アクアに対する大きな期待は「走りの進化」だろう。

進化というよりは、トヨタっぽく表現すれば「カイゼン」である。

2011年にアクアが市場導入されて以来、筆者(桃田健史)は日本国内はもとより、北米仕様のプリウスcを含めて、様々な機会にアクアを運転してきた。

近年はタイムズカーシェアなどで、アクアを選ぶ機会が多い。

そうしたアクア試乗の際に感じてきたのは、「もう少し走りに厚みが欲しい」という点だ。

走りの雰囲気として無機質なところがあり、また路面からの外力を、シートやステアリングでダイレクトに感じ過ぎる印象もある。

また、エンジン回転数が上がった際、足もとのフロアからの振動も現世代の各車と比べるとやや気になる。

こうした振動や音について、トヨタが示すデータ上では大幅な「カイゼン」がみられる。

まずは、プラットフォームが最新TNGAになったことで、根本的に走行性能が一気に上がることは確実だ。各部の結合構造が最適化され、また超高張力鋼板の適材適所への採用によって、走りが上質化することは当然のことだ。

先代アクアオーナーにとっては、まさに朗報である。

さらには……。

キープコンセプト サイズもあまり変わらず

車内での静粛性が上がっている。

乗車時と停車中では、先代比で1dB改善と微細な変化にみえるが、単なる音の大きさの低減だけではなく、新型プラットフォームとボディ全体からの音の伝わり方が大きくカイゼンしているはずだ。

また、高速走行時の会話明瞭度という指標では、先代比で15%向上と記されている。こうした音と振動のカイゼンについて、実車での確認が待ち遠しい。

別の視点でアクアを見てみると、いわゆるキープコンセプトを徹底している点に注目したい。

なにせ、ボディスタイリングの印象が、まさにキープコンセプト。

ボディ寸法では、全長4050mmと全幅1695mmと先代と変わらず、全高が30mm増の1485mm、そしてホイールベースが50mm増の2600mm。

つまり、先代オーナーがこれまでとまったく同じ駐車スペースを使えて、さらに室内空間が広がったという、至れり尽くせり。

そして、先代オーナーのみならず、筆者のようにアクアをカーシェアで利活用する人にとっても、インテリアが上質で落着きがあり、また近年トヨタ車らしい大型センターディスプレイや大きくなって視認性があがった三角窓など、キープコンセプトの良い点を強調している。

こうした配慮は、これまでアクアを大切してきたユーザーへの心配りである。

身内同士で競合 問われるトヨタの販売力

そのほか、トヨタのコンパクトクラスで初採用となった、停車時の斜め後方視界をサポートするブラインドスポットモニターは普段の生活の中で実用性は高い。

またアドバンスドパークではパーキングサポートブレーキをトヨタとして初採用するなど、アクアに対するトヨタの期待は高い。

そのうえで、やはり気になるのは、トヨタの他モデルとのカニバリ(カニバリゼーション:共食い)だ。

そもそも、アクアという商品は、トヨタにとってプリウスに次ぐ、ハイブリッド専用車種であり、「プリウスはいいが、ウチにはちょっと大きい」といった市場を声を考慮したサイズ感を実現した。

そのため、基本的にはプリウスとのカニバリは起きないはずだが、プリウスのモデルライフが長くなった今、室内空間が広がり、乗り味もインテリアも上質になったアクアへプリウスからの乗り換えが加速し、結果的に次期プリウス需要を先食いしてしまう可能性も否定できない。

さらに気になるのは、販売好調のヤリスとのカニバリだ。

この点については、アクアとヤリスの商品性を、販売現場でユーザーにいかに伝え、ユーザーの要望にどのように対応するかによって結果は大きく変わるだろう。

販売力に定評があるトヨタの真価が問われることになる。

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みんなのコメント

27件
  • 同じ小型車同士で共食いなら良いんじゃね?
    他社が見向きもされなくなるのが心配だろうけど。
  • トヨタ車の総販売数が落ちなきゃ問題無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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