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今でも斬新:シトロエンXM 新時代を告げた:アルファ・ロメオ156 ハッチバックを再定義:フォード・フォーカス 欧州COTYの1番を選ぶ(5)

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今でも斬新:シトロエンXM 新時代を告げた:アルファ・ロメオ156 ハッチバックを再定義:フォード・フォーカス 欧州COTYの1番を選ぶ(5)

1990年代 シトロエンXM/アルファ・ロメオ156/フォード・フォーカス

今回の審査員、レイ・ハットンは、欧州COTYが1955年に開かれていたら、シトロエンDSが受賞したに違いないと考えている。先進的な技術の民主化は、これまでの審査でも重視されてきた要素の1つといえるからだ。

【画像】歴代の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞モデル 英国編集部が選出した代表的な15台 ベストは? 全127枚

確かにDSから10年ほどは、それに匹敵する技術を実装したクルマはほぼ登場しなかった。その後継モデルが、1990年代に欧州COTYを受賞したとしても、意表を突かれる結果ではなかったといえる。

1989年に発表されたXMは、奇抜な技術を積極的に採用してきた、シトロエンの姿勢に忠実だった。シャープなスタイリングを手掛けたのは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。合計13枚に分割されたガラスエリアは大きく、明るく開放的な車内空間を生んだ。

フロントノーズはくさび状に尖り、ヘッドライトはスリム。空気抵抗を小さく抑えている。低いボンネット内に収まったのは、2.0Lか2.1Lの4気筒ユニットで、ボディサイズを考えると燃費は感心するほど優れていた。

当時のAUTOCARは、XMを「世界最高の乗用車」だと称賛したが、その大きな理由となったのが、進化したハイドラクティブ・サスペンション。窒素ガスが充填した球体と、専用オイルを充填したダンパーで構成される、通称ハイドロサスだ。

基本的な技術はCXの延長上にあるが、XMはコンピューターとセンサーで制御。走行速度やブレーキの圧力、ステアリングの角度を検出し、サスペンションが調整された。優しいクッションのような乗り心地だけでなく、緻密な姿勢制御も叶えていた。

ハイドロサスの乗り心地が好きなら気に入る

真っ白なXMをお持ちいただいたのは、オーナーのロブ・ドレイパー氏。今でも見た目は凛々しく、充分にアバンギャルドだ。

だが、スティーブの印象は冴えない様子。「ハイドロサス特有の乗り心地が好きなら、とても気に入るはず。でも、ボディやインテリアのデザインは、CX以上に良いとは思いません。特別さも薄く、製品的な訴求力は超えないでしょう」

「想像より豪華ではないようですね。運転姿勢は、商用バンのように起き気味。でも、嫌いではありませんよ」。と話すのは、奇抜に感じたというマット。

「XMには、それ以前のシトロエンと同様に、ステアリングホイール上のスイッチなど、新しいアイデアが盛り込まれています。長距離移動に適した、素敵なクルマだと思います」。と評価するレイだが、欧州COTYで最後の曲者だったとも付け加える。

確かに、1994年はフォード・モンデオ、1995年はフィアット・プントが欧州COTYに選ばれた。その後、1998年に選ばれたのが、アルファ・ロメオで初受賞となった156。発表は、1997年のドイツ・フランクフルト・モーターショーだった。

フィアット傘下の同社にとって、転機となる記念すべきモデルで、欧州COTYもその実力を高く評価した。スタイリングは、社内デザイナーだったウォルター・デ・シルバ氏。ジュリアやジュリエッタなど、象徴的なモデルからの影響を感じさせる。

ルーフラインはクーペのようにカーブを描き、リアドアのハンドルはピラー部分と一体化。フロントのナンバープレートは、逆三角形の盾型グリルを避けるようにオフセットされ、同時期のサルーンと一線を画す。

すべてが当時基準で素晴らしい156

当初のエンジンは121psの1.6Lと157psの2.0Lという直列4気筒に加えて、24バルブ2.5L V型6気筒も用意。魅力的なラインナップを構成した。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマクファーソンストラット式。シャシーはフィアット・ベースだったが、大幅な改良が加えられていた。当時の審査員、56名中、40名が最高得点を与えている。

その年の2位は、フォルクスワーゲン・ゴルフ Mk4。3位には、新しいアウディA6が続いた。

デビッド・ウォラル氏がオーナーの、ブラックの156を運転すれば、優勝を掴んだ結果に疑問は抱かない。「この156は、年月が経つほど良く感じられるクルマの1台ですね」。とスティーブが笑顔を見せる。

「スタイリング、ボディサイズ、サウンド、ハンドリングなど、すべてが当時基準で素晴らしいと評価できます。かつてのアルファ・ロメオらしい、信頼性という弱点は抱えていましたが」

レイも156の魅力には勝てない。「これは、見た目と同じくらい優れた走りを叶えた、新時代のアルファ・ロメオの始まりを告げました。今でも、コンパクトなスポーツサルーンとして充分に楽しめます」

マットもうなずく。「大きなドアのボタンを押した瞬間から、ドライバーを喜ばせるためにデザインされたことが伝わってきます。ドライビングポジションは良くありませんが、運転は素晴らしい。見た目も。良いクルマだと思います」

ハッチバックへ期待するすべてを再定義

1999年の欧州COTYに選ばれたフォード・フォーカスも、伝統あるブランドの新しい幕開けを告げたモデルだった。「ニューエッジ」と称された、モダンでシャープなデザインは、まさにそれを象徴していた。

3ドアと5ドアのハッチバック、4ドアのサルーン、5ドアのステーションワゴンというボディスタイルが用意され、マルチリンク式サスペンションをリアに採用。クラス・ベンチマークといえる秀でた走りを、グローバルモデルとして世界各国で披露した。

今回のフォーカスは、フォード・ヘリテイジ部門が管理する車両。エンジンは1.6Lで、新車時は中心的な選択肢といえた。3名の審査員は、いずれも肯定的な意見を口にする。

「フォーカスは、エスコートからの飛躍でした」。と振り返るのはレイ。「ステアリングは完璧で、操縦性はこのクラスの最高水準。入念な技術開発が施され、スタイリングは端正で、パッケージングも優秀といえます」

スティーブも続ける。「発売当時は、驚くほど完成度の高いクルマでした。乗り心地はしなやかで軽やかで、現代にも通用します。先代からの驚くべき進歩でしたね」

そんな好印象を、マットがまとめる。「フォーカスが優れていたことは間違いありません。ファミリーハッチバックへ期待するすべてを、再定義したモデルだと思います」。1990年代の欧州COTY代表として、相応しいコメントだろう。

協力:フォードUK社

1990年代の欧州COTY代表 3台のスペック

フォード・フォーカス(1.8 TDCi/1998~2004年/英国仕様)

英国価格:1万4550ポンド(2001年時)/5000ポンド(約93万円/現在)以下
生産数:200万7229台
最高速度:177km/h
0-97km/h加速:9.8秒
燃費:15.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1303kg
パワートレイン:直列4気筒1753cc ターボチャージャーSOHC
使用燃料:軽油
最高出力:116ps/3800rpm
最大トルク:28.5kg-m/1850rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

アルファ・ロメオ156(2.0ツインスパーク/1997~2007年/英国仕様)

英国価格:1万9574ポンド(2000年時)/1万ポンド(約186万円/現在)以下
生産数:67万3435台
最高速度:207km/h
0-97km/h加速:8.3秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1305kg
パワートレイン:直列4気筒1970cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:157ps/6400rpm
最大トルク:19.0kg-m/3500rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

シトロエンXM(ターボSD/1989~2000年/英国仕様)

英国価格:2万640ポンド(1992年時)/1万ポンド(約186万円/現在)以下
生産数:33万3405台
最高速度:178km/h
0-97km/h加速:13.1秒
燃費:11.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1717kg
パワートレイン:直列4気筒2088cc ターボチャージャーSOHC
使用燃料:軽油
最高出力:111ps/4300rpm
最大トルク:25.2kg-m/2000rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

この続きは、欧州COTYの1番を選ぶ(6)にて。

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みんなのコメント

3件
  • sae********
    シトロエンXMにアルファ156にフォードフォーカスとても刺さるラインナップですね。
    個人的にはファミリーカーで今手を出すと泥沼確定だけど無性に欲しくなる不思議な魅力がある車たちです。
  • tax********
    あれ?XMのデザインはベルトーネのはず、当時ジウジアーロいたのかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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