アウディ本社は2024年9月2日、3代目となるDセグメントのSUV新型Q5を発表した。新型Q5は、フォルクスワーゲン・グループのPPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション:内燃エンジン車用上級プラットフォーム)をA5に続いて2番めに採用したモデルとなる。
アウディが開発を担当したPPCは、従来のMLB(縦置きエンジン用)プラットフォームの後継となり、縦置きハイブリッド・エンジン用のフレキシブル・プラットフォームで、前輪駆動、AWDの両方に対応できるようになっている。なお生産は、従来と同じメキシコのサンホセチアパ工場で行なわれる。
新型Q5は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンにMHEV(マイルドハイブリッド)プラスをラインアップしている。
もちろん最新電子プラットフォームをベースにした、新しいインフォテインメント・システムと操作コンセプトを採用しており、ライト類ではカスタマイズ可能なデジタルライトシグネチャーを採用。そして最新の運転支援システムも搭載している。スポーツモデルとしてSQ5もラインアップし、さらに今後PHEVを搭載したモデルも追加される予定だ。
■パワートレイン
新型Q5は、全モデルがエンジンに48VのMHEVプラスを装備している。パワートレインジェネレーター(PTG)は、最大230Nmの駆動トルクと最大18kW(24ps)のパワーを発生する。
MHEVプラス用のバッテリーはリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池で、容量は1.7kWhだ。ベルトスタータージェネレーターにより、エンジンスタートとバッテリーへの電力供給が行なわれる。一方、パワートレインジェネレーター(PTG)は電動走行を可能にし、エンジンの負担を軽減して、燃料消費を削減。減速時には、パワートレインジェネレーター(TSG)が最大25kWのエネルギーをバッテリーに回生する役割も備えている。
2.0 TFSIエンジン2.0 TDIエンジンエントリーモデル用のエンジンは、2.0 TFSIで、150kW(204ps)、340Nmの最大トルクを発生し、前輪駆動モデルに搭載。また4輪駆動システムも選択可能だ。
ディーゼルモデルとして2.0 TDIも用意されており、150kW(204ps)、400 mのトルクを発生し、クワトロと組み合わされる。
スポーツモデルのSQ5は、3.0LのV型6気筒TFSIで270kW(367ps)、最大トルクは550Nmを発生し、クワトロとの組み合わせになる。
■走行性能
新型Q5は、改良されたサスペンションにより乗り心地も一段と向上。標準モデルには熟成されたサスペンションが装備されており、オプションでスポーツサスペンション(SQ5は標準装備)も選択できる。
SQ5標準のサスペンションは、周波数応答型ダンパー(FSD)と、俊敏に応答するフロントアクスルと組み合わせている。FSDは、特に高周波の振動(例えば石畳の上など)に対してダンピング力を低下させ、低周波の振動(レーン変更やコーナリング時など)には高いダンピング力を生み出す。オプションで装備できるエアサスペンションは、アダプティブダンパー制御と組み合わされる。
またステアリングは、改良された可変ギヤ比式のプログレッシブ・タイプを採用している。
■エクステリア
第3世代のQ5は、よりスポーティで均整の取れたフォルムで、高めのショルダーラインが力強いシルエットを形成し、フロントライトとリヤライトをつなぎ、車両をより長く見せている。サイドシルの上には、ホイールアーチ上からバンパーに繋がる上昇ラインがダイナミックな印象を与える。
フロント・マスクは、スポーティな幅広のシングルフレームが高い位置に配置されており、垂直に配置された機能的なエアカーテンに挟まれている。立体的なヘッドライトがシャープな印象を与え、シングルフレームの下にはセンサーが搭載される大型のエアインテークがあり、視覚的に安定したワイドなイメージを与えている。
なお、S lineエクステリアおよびSモデルでは、フロントエアインテークが大きく、L字を描くような空力ダクトにデザインされている。
S lineのエクステリアは、マットなアンスラサイトクローム調のアクセントが施されたエアカーテンチューブなど、よりスポーティさを強調し、Sモデルではマットシルバークロームを使用している。また、まS lineエクステリア、Sモデルにはブラックエクステリアパッケージも選択できる。
リヤはラインを最大限に削減することで非常にクリアなデザインを実現。ライトストリップとバンパー間のエリアはすっきりとまとめられており、SUVにスポーティでエレガントなイメージとしている。
ディフューザーは隆起したバンパーの高い位置に一体化され、テールパイプの配置と形状はエンジンによって異なり、ディーゼルエンジンモデルは左側に2つのスクエアテールパイプ、ガソリンエンジンモデルは、左右に長方形のテールパイプを配置。Sモデルには、新たにシャープなデザインの4つのラウンドツインテールパイプが備えられる。
ホイールは、17インチ~21インチのアルミホイールを装備。オプションのエアロ・デザイン・ホイールは、17インチから19インチのサイズを設定している。
S lineエクステリア、Sモデルには標準で19インチホイールが装備され、オプションで鍛造21インチホイール、21インチトリカラーホイールも設定されている。
ライト類では、リヤライトは第二世代のデジタルOLEDライトで、リヤウィンドウ上のスポイラーのプロジェクションライトと組み合わされ、ヨーロッパで初めて導入されるものだ。
このライトはグラフィックをリヤウィンドウの上部に投影し、ブレーキライトの面積を拡張。また、車両ロック・アンロック時の「カミングホーム」、「リービングホーム」シーンにも反映される。そして他車に対するコミュニケーションも表示できるようになっている。フロントはアクティブデジタルライトシグネチャーを表示する。
■インテリア
インテリは、明快で見やすさを重視している。機能性と美しさが細部に至るまで融合されており、水平に構成されたインスツルメントパネルを採用。高品質な素材で作られたトリムが羽のようにインスツルメントパネル全体に広がり、ドアへ移行するところで持ち上がるデザインだ。
インフォテイメントは、運転席と助手席の前にMMIディスプレイを配置。このMMIパノラマディスプレイは、カーブしたデザインとOLED技術を採用し、11.9インチのAudiバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイを搭載。そして、助手席専用の10.9インチのMMIパッセンジャーディスプレイもオプション設定されている。
インテリアの仕上げは、S lineバージョンはダイヤモンドパターンによるキルティングのシート、ソフトラップ、ドアミラー、アームレストが、Kaskade(カスケード)やDinamica(ダイナミカ)といったサステイナブルな素材で仕上げられている。
カバーの一部には、リサイクルプラスチック繊維を含むインプレスムという素材が使用されている。また50%がリサイクル素材から作られるDinamicaはスエードのような外観と感触を備えている。
インテリアは間接照明技術が駆使され、ドアの高品質な素材が美しく照らされ、さらにダイナミックインタラクションライト(IAL)がインテリア全体にLEDライトストリップとして広がり、乗員と車両とのやり取りをサポートしたり、インテリアを演出し、例えばウェルカム機能を提供したり、車両のロック・アンロックを示したりすることができる。
さらに、インテリアの静粛性も徹底して追求され、防音、遮音に加え、空力的な洗練により実現している。
居住性では、リヤシートがフルに調整可能な点が大きな特長だ。リヤシートは前後移動、チルト(傾斜)可能で、トランク容量を増やし、後部座席乗員の快適さを向上させ、かつ3人が快適にリヤベンチシートに座ることができる。シートを折りたたむと仕様に応じて最大1473Lまで収容スペースが拡張する。
収納利便性では、先代モデルと比較してさらに大きくなったセンターアームレスト下の収納スペース、サングラスやキー等の小物を収納する多数の小型収納エリア、15Wの充電パワーを持つフロントセンターコンソールの冷却機能付き非接触充電トレイ、そしてUSB-Cポートは前部に2つ、後部に2つ配置。オプションで、フロントのUSBポートは最大60W、リヤのポートは最大100Wの充電能力を選択できる。これにより、ノートパソコンのような大型デバイスも、走行中に安全に充電することが可能だ。
新型Q5、SQ5はドイツでは9月から予約発注が可能で、正式発売は2025年初頭に開始される予定になっている。
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